2日目
日が昇った。
誰かの声が聞こえる。
「おっさん、変な形のバッグ持ってんな。暇ならキャッチボールしようぜ」
10歳くらいか?元気のよさそうな子供が明らかに暇つぶしのおもちゃを見つけた顔で話しかけてきた。寝起きで頭も回っていない中で答えた。
「軽く遊んでやろうか?」
10分も付き合えば帰るだろうと思いながら答えた。
「あっちにフリーのバレーボールコートがあるから、そっち遊ぼうぜ」
バレーボールか。どうせならテニスしたいなぁ。
コートに着くとあまり管理がなされていないのか、だれも使っておらず、ネット外れて端に落ちている。幸いハードコート的な床はボコボコではないようだ。年に2・3回しか人がいるのも無く、管理人は居ない。表の注意書きには「仲良く交代で使いましょう」しか書いていない。
私「で、何して遊ぶ?」
子供「キャッチボール」
私「どうせキャッチボールするなら、テニス教えてやろうか?」
子供「テニスって何?初めて聞いた」
私「またまた。テニスぐらい知ってるだろ?」
子供「知らないよう」
私「まあいいや。始めようか。ほら、ラケット」
子供「なにこれ?初めて見た」
不思議だなとおもった。10年もグァムで暮らしてればラケットぐらい見たことあると思っていた。実際にグァムでITFなどの大会もあったはずなのに。と思いながらも簡単に持ち方を教えて、ボールを打たせてみた。
ポカーン。
何球かに一球は当たるようになった。
「ナニコレ!?超楽しい!!!」
子供は夢中になった。気づいたら日も高い。だが、そこまで気温が高くないところが助かる。
子供「そろそろ昼飯だ。帰んなきゃ」
私「そうだな。親も心配するし。またな!」
子供「はい。お礼のLP。」
手の平をかざされた体の一部が暖かい。ってか何だ!?
私「今なにしたの?」
子供「え?お礼のLPをあげたんだよ。僕の力だと少しになっちゃうけどね」
私「時間がないところごめん。LPって教えてもらっていい?実は病気で物忘れがひどいんだ」
子供相手に嘘をついた。ちょっと自己嫌悪だがしょうがない。
教えてもらった内容。
・LPとはその人の生命力からなるポイント
・仕事や相手に感謝される行動をすることで分けてもらえる。
・上限はあるが、人によってその値は様々
・LPで様々なサービスや商品と交換できる
だそうだ。なんていうか、生命力を決済サービスで支払う的な感じか。前の世界でも現金払いだったからなんか合わないな。
子供「今日の遊び、またおしえてね!じゃあね!」
行ってしまった。また暇になってしまった。
そして、お腹が空いた・・・
幸い持っていた空の水筒に近くの水道から水を持ってくることが出来た。
やることもないし、サービスの練習でもするかな。
近くのバレーボールネットを引きずってきて、ポールの下の方に結び付けた。
もくもくとサーブを打つ。レッスン前だったので、100球程度ボールを持ってきており、これは助かった。
夕方になり、さすがに水だけでは空腹に耐えられなくなった。最初に合ったコンビニにより、ライスボールを見つけた。
「120LPか…」
自分が今何LP持っているのかもわからない。ただ、空腹には耐えられず思い切ってレジに並ぶ。
「助かった・・・」
自分は200LP持っていた。あの子に感謝だ。あと、頭の中で詠唱するとわかることも店員が教えてくれた。
「LP表示」
これだけで頭に残値が浮かんでくる。便利!
コートの横にある小屋になんと水シャワーが付いていた!クラブハウスのようだが、だれもおらず、生活感も無い為にここで一晩過ごすことにした。
「明日から仕事しなきゃな・・・」