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3.解釈とインベントリ

知らない土地で地図ないと不安ですよね、、

 雫ことマイルドは今、

 都会的であり中世的でもある街の真ん中にいる。

 きっとこの街を出れば、ダンが言っていたような冒険の舞台が広がっているのだろう。


 しかし、地図がない。もっとも、なにも持っていないわけではない。

 マイルドは、「インベントリ」と書かれたディスプレイの表示に

 "2"という通知が来ているのに気づいていた。


「インベントリ」をタッチして開く。


 -インベントリ一覧-

 ・カード ×20 New!

 ・鉄棒(メタモルフォーゼ可) ×1 New!


 通知が"2"であった通り、アイテムの内訳は"New!"と書かれた2種類だった。

 それはカードと鉄棒。

 この"カード"が"CROSS×DECIPHER"のキーアイテムであることはマイルドもよく知っていた。

 では、鉄棒とは一体何だろうか。

 おそらくは初期装備のようなものだろうが、

「メタモルフォーゼ可」という意味ありげな記述に興味が湧く。


「鉄棒...」


 マイルドはそう呟いた。すると、鉄の棒が手に取り出された。

 声に出せば取り出せると知っていたわけではないのだから、たまたまである。

 マイルドが握って丁度いい太さの、長さ50㎝ほどの鉄棒がインベントリから現れた。


「うわ!出てきた!これでモンスターとか倒すってことかな、」


 あまりにもシンプルな鉄棒1本には、心もとなさを感じざるを得ない。


 少し振り回してみた。意外と軽い。

 現実ではありえない動きを思う存分できることにワクワクする。


 しかしそうは言っても、ここは街の中心である。

 鉄棒を振り回している人間など一人もいない。

 マイルドがいかにも初心者の女の子だから微笑ましく見過ごされているが、

 これが装備も揃ったベテランのプレイヤーだったら"荒らし"と認定され、

 不可思議な力が働いて存在ごと上書きされていたことだろう。


「メタモルフォーゼ!」


 味を占めてマイルドはさきほど興味を持ったその言葉を口にした。

 すると、真っ直ぐだった鉄棒はぐにゃんぐにゃんと形状を溶かし液体のようになった。


「うわわ!え!ちょ、、どうしたらいいのっ、ま、まとまってよっ」


 予想外のアクションに動揺が隠せない。

 しかし、"まとまって"という言葉に反応し、"元"鉄棒の形状が定まっていく。

 みるみる動いて、そして、球体となった。つまり、鉄球である。


「も、もしかして、、好きな形になれるのこのアイテム?」


 マイルドの勘は当たりである。

 メタモルフォーゼが可能なこの"鉄棒"は、指定した通りの形状に変化することが可能なのだ。

 初期プレイヤーが遭遇する予期せぬ場面においてこの特性は大いに活躍する、、とされている。


「伸びろっ」


 天界を掻き回しそうないたずらな声でマイルドはそう発した。

 やはりぐにゃんとして、それからぎゅうんと空にまっすぐ勢いよく伸びる。

 始めの50㎝を優に超え、マイルドの身長と同じくらいかそれ以上になった。

 マイルドは152㎝であると自覚しているので、そのくらいだろうとあたりをつけた。


 これくらい長ければもはや中距離武器である。

 マイルドはその有用性を実感し、それから伸びきった"鉄棒"をインベントリにしまった。



 相変わらず地図はないから、どこへ行けばいいのかはわからない。

 しかし、街を出ればどこかへは通じていることだろう。

 予想以上に汎用性の高い"鉄棒"を持っていることがマイルドに心の余裕をもたらしていた。


 あとは"カード"の使い方次第である。

 有限な"カード"は、無駄遣いできない。

 しかしそのことをわかっているのかわかっていないのか、

 マイルドはずんずんと街の通りを進んでいくのであった。


「西門」と扉に大きく書かれた広場に出たところでマイルドは一度立ち止まった。

 大扉は出入り自由なようで、それなりに人がいて賑わっている。


 マイルドは扉を少しの間見つめ、それから目を瞑り、ひとつ深呼吸をした。

 高まる気持ちを十分に感じ取って、すぅっと目を見開く。


「よしっ!いくよ!」


 マイルドは「西門」をすたすたとくぐり抜けた。

 少し先には、木々生い茂る森が広がっているようだ。





"鉄棒"は初期アイテム扱いなので、全プレイヤー持っていることになります。

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