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初簡
温かな部屋の落ち着きと、午後の香りが混ざり合わさって、私の思考は境界線を失っていた。
私は部屋に漂う幾つもの文字集合体に軽く目を通す。
それは、実に無駄な探訪でいて、有意義な探訪でもあった。
意識が部屋に溶け込んで、元々持ち合わせている自由具合に拍車をかける。
何処かまで連れて行ってくれる奇跡の舟は、今日も沈まない。
読書という際限なき脳内活動、制限なき空想活動。
また別の、手が届く範囲内の文字を手に取り、眼で自由を追い辿る。
さあ、次の小説、次の歌、次の詩、次の学、次の物語へ。
私は旅立つ、縛られることのない、法則無用の求める世界へ。