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財団たちのSCP収容記録  作者: 大粛清
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SCP-2799 『航海者』

久留間田

レベル3職員、SCP-2799の担当研究員


レベル4職員、久留間田の同期、サイト-21施設副監理官

「んー、まったく。サイトを行き来するのが面倒だなぁ。」

「どうした、久留間田(くるまだ)?」

(ガン)か...。俺って今、このSCPの研究をしてるんだよ。」

「おいおい、勝手に持ち出していいのかよ?鉱物とかならまだしも、SCPだぞ!?」

「問題ないんだ。こいつのオブジェクトクラスは、Thaumiel(タウミエル)。簡単に言えば、財団の最終兵器だ。」

「へ?そ、それじゃあ、お前が何でそれを?」

「O5から、『お前なら、この壊れた奴直せるだろ?』ってな。確かに、エージェントの中で手先は器用だが、無理難題を押し付けられたよ。」

「でもよかったじゃないか。実質昇格だろ?ここで付きっ切りだろ?」

「いや、最近はサイト77とサイト59を行き来している。久しぶりにここに来てもうSCP-2799-3。この懐中時計を見ているんだ。」

「あー、つまりそのSCPが分裂しているのか。というか、壊れてるんだよな?聞きたいんだが、こいつの異常性は?」

「こいつの異常性、それはね、SCPなどの危険物を発見することができるという異常性だよ。真ちゅう製の六分儀、方位磁針、懐中時計、見張り用望遠鏡の4つがそれぞれ動いて、その危険物を近くの対象に幻覚として見せるんだ。」

「ふーん。ん?それじゃあ、治ったら真っ先にお前が餌食なるのか?」

「まぁ、そうなるんじゃねぇの?元から家族もいないし、引き取ってくれる人もいなかったからな。財団としては切り捨てても、ダメージはないだろうしな。」

「もっとさ、他の解決方法はないのか?自分自身に被害がない方法とか?」

「あるにはある。しかし、ジャック・ブライト博士、およびSCP-963を完全に収容しなければならない。しかし、上がそれを許可してくれないんだ。あんな危険人物、さっさと収容すればいいのに。」

「ま、どう言ったって上には届かないんだ。コーヒーでも飲んで休憩しとけよ?」

「お前もな。隈酷いぞ?」

「まぁ、こっちのサイトも問題が多々あるからな。」

「・・・今日夜空いてるか?」

「まぁ、空いてはいるが...。どうした?」

「久しぶりに飯でも食いに行こうぜ。もちろん俺のおごりでな。」

「わかった。でも、お前のおごりじゃなく俺のおごりでな。いつもおごってもらっているが俺の方が給料多いんだからな。じゃ、あと3時間、作業頑張ってな。」

「お前もな、鴈。またあとで。」

「あぁ、またあとで。」


[2時間後、サイト-21でSCP-833の収容違反が発生。鴈施設副監理官含む5名の職員がこれにより死亡しました。]


久留間田研究員が迅速に対処したため、SCP-833は完全に収容されました。

その結果、久留間田研究員は自殺。更に、彼が持っていたSCP-2799-3はこの収容違反により紛失されました。

以下は、久留間田氏の最後の遺言である音声記録です。


「鴈、お前、一緒に飯食いに行こうって、言ってたじゃないか。お前はとうに浸食されてた事は分かっていた。しかし、俺がお前を殺すことになるとは思ってもなかった。しかしだ、後悔はしていない。お前と過ごした日々、楽しかった。昔から独り身だった俺を、同期だからって仲良くしてくれて。だから言える。お前は俺の一番の友だ。死ぬときは一緒だと思っていた。しかし、いざとなると、腕が振るえるんだ。いつかこうなることは分かっていたというのに。俺は、後悔をしていた。でも、俺はもう後悔、してない。このSCP-2799-3は俺に勇気をくれた。ずっと一人ぼっちだった俺は、時が止まっていた。でも、お前がそれを動かしてくれた。この時計みたいにな。だから、最後に言わせてくれ。友よ、ありがとう、そして、さようなら。」


[2発の銃声]


--記録終了--

報告書より一部抜粋


SCP-2799 【航海者】

オブジェクトクラス: Thaumiel

説明: SCP-2799は真ちゅう製の六分儀(SCP-2799-1)、方位磁針(SCP-2799-2)、懐中時計(SCP-2799-3)、見張り用望遠鏡(SCP-2799-4)からなる一連の骨董的なポルトガル製航海用具です。


収容手順

SCP-2799-1、SCP-2799-2、SCP-2799-3、およびSCP-2799-4は、独立した4つの財団施設、サイト-77、サイト-59、サイト██、サイト██それぞれに別々の異常物品保管ロッカーに保管します。


運用中、SCP-2799の供給する情報は、月ごとに交代する1名のDクラス職員を装置から2m以内の場所に拘束した上で、最低2名の研究者によって観測されます。


サイト19で収容違反を起こしたSCP-076-2は未発表の数の職員を殺害し、██人を負傷させました。違反の際ジャック・ブライト博士はオブジェクトEO-963を手で輸送しており、最初のKIB(killed in breach)期間となりました。およそ█日後、D1-113はエリア内の瓦礫を除去する命令を受け、SCP-963を発見しました。詳細はインタビューログ963を参照してください。続く調査で、SCP-2799-4はブライト博士の顔を写している事が判明しています。


補遺

監視技術の改善及びよりよい人員資源により、異常物体を検出するありふれた手段の使用において、もはやプロジェクトNavigatorからの情報は長い間必要とされていません。 SCP-2799とすべての関連技術は引退し、財団によって長期に渡って使用されず、プロジェクトを活性化する計画は現在のところありません。


http://scp-jp.wikidot.com/scp-2799

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