初めての異世界
「あのさ、ノリで来ちゃったけどどうしたらいいの?」
「...どうしたら正解?」
「ふざけてないで...」
(ここはまだ、比較的君たちのいる世界に似ている場所だ。君たちには次元を安定させる手助けをしてほしい。)
勇気と名古屋の話の間を割ってガブリエルが話す。
「次元を、...どうすれば?」
聯が尋ねる。
(簡単なことだ。人と仲良くするだけだ。)
「それだけ?」
シエラが聞く。
(ああ、悪いもう時間が無いんだ。行き先など細かいことは、メッセンジャーで送ってある。)
「メッセンジャー?面白そう!」
峯音が謎の興味を持った。
(視界の左下にあるだろう。念じれば開くからそれを見て欲しい。)
「じゃあ念じたら次元も安定したりして。」
説明をしているガブリエルとそれを聴いてるみんなは堅を話の外においていった。
(以後わからないことがあればそれで連絡してくれ時間はかかるかもしれないが必ず返そう頼んだぞ。)
「ということだ。...でどうする。」
堅が聞く。
「まずはメッセンジャーを各自読むでいいんじゃない?それしかないでしょ。」
シエラが返す。
「ああ〜!!」
峯音が叫ぶ。
「どうした!?」
堅が聞く。
「スマホがあった。」
驚き交じりに峯音が喜ぶ。
「ほんとだ。」
聯も驚く。
「これ圏外になってないか?」
勇気が疑問に思う。
「ほんとだ、次元が違うと繋がらないんだね。」
名古屋が確認する。
「とりあえず何をするべきなのかをメッセンジャーで確認しよう。」
聯が皆んなをまとめる。
一行はメッセンジャーと呼ばれるものでガブリエル達の要望を確認した。
この宇宙には無数の次元があり、すべてバランスを保っていた。だがいくつかの次元の地球が、今僕らの住んでいる次元の地球と融合し破壊されようとしている。融合しようとしている次元は、大陸が割れる・争いが絶えないと言ったことが大陸間で起こるようになる。こうなる理由は次元が歪み磁波が異常を起こし、大地や生命に影響を与えるからとのこと。本来ならペアでしか融合しないが、今回のように複数の次元が一度に歪み、交じり合い中心にまとまろうとすることは稀で。その原因が未だわからず、時間だけがなくなっている現状をなんとかして欲しいのだ。このように文書での説明になってすまない。君たちの次元はその中心地他の次元の余波の集めになっているため、まだ時間の猶予があったのだ。今いる次元はかなり危ないので早急にことに当たって欲しい。まずは近くの都市に行き現状を聞いてもらいたい。人と人との輪を作りその場の人と一緒に危機を乗り越えて貰いたい。言い訳かもしれないが、現状では手が回らないのだ。すまない。あと地図はこちらにある。かばん類は帰るときに渡す。持ち物はボックスに入れてあるのでそちらで確認して欲しい。視界の左下にある。
[以上がメッセンジャーで書かれてたことだった。]
「文章長かった〜。」
「そんなに長くないだろww。」
疲れ気味な峯音とそれを見て笑う堅、そこへシエラが少し驚きながら言った。
「方位磁石が狂ってる!」
「マジできたんだ、異世界に。」
シエラの一言に動揺する聯。
「緑星人ばっかだったらどうしよう。」
「とりあえず口から卵吐かれたら押し込もうか。」
「まずどこ行くか決めようか。」
名古屋と勇気の話を無視して話を進める聯。
「あっち行こう〜。」
そう言って峯音は自分の後ろを指差した。
「行くあてないし、そうしよっか。」
とシエラは笑顔で言った。
「じゃあ出発。」
聯の一言でみんなは歩き出した。
「なかなかつかないな、もう一年歩いた気がするんだけど。」
名古屋が不満気味に言う。
「まだ1時間よ。」
シエラが余裕そうに答える。
「ウへ〜、みんな一旦休もう。」
「なんか5分置きに言ってないか?それ。」
峯音に軽くつっこむ勇気。
「このまま一生出られなかったらどうしようか?」
「らしくないな、でもまあそれは無いな。ここからは山道だからうまいこと行けば人に会えるかもな。すぐに。」
不安を抱えた聯とそれを断つ堅。そこへ名古屋と勇気が言う。
「緑星人と出会ったらどうする?やっちゃう?」
「いやその前に卵は吐かそうぜ。」
「...お前らの頭の中はそれしかないのか...。」
堅がため息まじりに言う。
「人が見えた。」
シエラが人を見つける。
「色は?」
峯音が聞く。
「なんで聞くのが色なんだよ。」
また堅がつっこむ。
「楽しそうだしいいんじゃ無い?」
「半分がバカってどうなってんだよ!」
聯が笑い、堅が呆れる。
「で、どうするの?」
シエラが聯に尋ねる。
「僕が行くよ、待ってて。」
聯が前に出る。
『待って言語通じるのかな?まぁなるようにしかならないか。』
一気に聯が緊張する。
「大丈夫かな。」
堅が言う。
「どうして?」シエラがたずねる。
「言語通じるのあいつ知らないんだ。」
堅が答える。
「多分大丈夫だと思うけど、なんで言ってあげないの?」
シエラがまた尋ねる。
「あいつが知らないことに、今知った。」
堅が困ったように言った。
「多分それみんな知らない。」
シエラがきっぱり言った。
「メッセンジャーの二つ目、に、書いて、あったん、だけ、ど。」
堅はどんどん焦り始め、表情が硬くなっていった。
「なにそれ知らないんだけど。」
シエラが再三返した。
「いざという時のためにもっと近くで待機しよう。」
逃げる様に堅はその場を後にした。
「あたしもあの木の上で待機してる。」
そういって名古屋は木に登り逆さで待機しだす。
「逆さで待機する意味ないだろ。」
堅は呆れたように言った。
「まず木の上で待機する方が間違いだと私思うんだけどな。」
シエラは頭を抱えた。
聯は通り過ぎようとしている人に声を掛けようとした、そしたら逆に声をかけられた。
「あんたらなにしてんだ。」
通りすがりの人は言った。
「あんた...ら?」
言語が通じていると思いながら聯は聞いた。
「いや、後ろの...」
通りすがりの人が指をさしながら言う。
「えっ?」
聯は後ろを振り向くと唖然とした。
「幹に隠れてるやつはまだわかるが、枝にぶら下がっている子は何がしたいんだ?」
通りすがりの人は困惑した。
「多分彼女なりの心配をしてくれてるんだと思います。」
聯は困惑した様な動揺をしながらも答えた。
「まぁ、あれだ。あんたらが悪い奴って俺は思わねえよ。でも見ない顔だから、どっから来たのかだけ教えてくれよ。」通りすがりの人は笑って言った。
「ここは何て言う国なんですか?」
聯は言った。
「国?馬鹿言うなよ。ここは日本たぜ。」
通りすがりの人は言った。
「ああ、だったら...。」
聯はみんなを集めて今まで自分たちの身に起きたことを話した。
「なるほどな〜。にわかに信じがたいが、まあボックスのこと教えてもらったし。いいぜ、少しなら力を貸せるだろうからな。これから暗くなるし、うちに来いよ。てことで、これから宜しく。」
通りすがりの人は言った。
「ありがとうございます。」
「「「ありがとうございます。」」」
聯を筆頭にみんなは礼を言った。
「礼には及ばないさ俺は榊鉱太郎だ。」
みんなは榊に自己紹介をした後家に連れて行ってもらう。
「「緑星人じゃなかったな。」」
勇気と名古屋は言った。
「まだ言ってる。」
シエラが呆れながら言った。
「なんだ緑星人って?」
榊が聞いた。
聯がその事の経緯などを申し訳なさそうに説明したら、榊は笑いながらこう言った。
「あはは、悪いな俺がその緑星人じゃなくって。」
「ごめん。」
「いいっていいって。それよりもあんたの友達おもしれーな。それよりもしであったら教えてくれよ、その緑星人に。」
謝る聯に対して榊は笑いながら返した。