旅行の延長
大きな扉を開け、真っ暗な部屋を出た。そこにはセピア色に輝く空が彼方まで無限に広がっていた。
「あ、あの。」
(何。)
「ここは?」
(道。)
「そうではなく...。」
(あーゴメンね。ここからは私が説明するよ。ここには正確な名前が無くて色々な魂が通り過ぎて行く場所だから強いて言うなら道って私たちは呼んでるの。)
「じゃあ俺らは死んだんですか?」
(ちょっと違うんだよなー。そのことに関しては目的の所についてから話すよ。)
「道が無いのは?」
(ここはその者達によって見える景色が変わる。あたり一面血みどろだったり、草原だったりとね。)
「宗教との関連はあるのか?」
(宗教というよりは個人の考え方かな〜?)
(無関係では無いが、やはり個人の考えが強いだろうな。その宗教に影響されても最後に自分は何を思うのか、と言うところが根底にあるからな。)
「結局は自分自身か。」
(そういうことだな。)
「じゃあ私たちは天国に行くってこと?」
(今回は特例として少し違う場所だ。)
(ついたぞ。)
(司令官、例の者達をお連れしました。)
ギィ〜ッ。
さっきよりかは少し小さい扉が開いた。
(入れ。)
中から男性の声が聞こえた。
(はっ)
バタン。一行はその中に入って行った。
(初めましてだな。島中聯・逢沢峯音・内見勇気・倉敷名古屋・鵜川堅・一ノ瀬シエラ。)
「はい、なぜ僕らの名前を...」
(知っているさ、ずっと探していた君らのような者たちを。)
「あなたは?」
(私の名前はガブリエル・ジェネラレーン。この部隊の司令官だ。)
「私たちはどうしてここによばれたのでしょうか?」
(呼んだのは助けてほしいからだ。わたしたちに力を貸してほしい。)
「理由は〜?」
(私たちの祖となる存在のもの達は、宇宙とそこから始まる時間が出来上がる前にいたのだ。平和で言語もなく会話ができていた。そう、君たちの言う天国に少し似ている場所だ。だがそこに魔が刺した、破壊と争いを好む者達が現れた平和と秩序を守る為に戦っただが勝てそうになかった。そこで祖はこう思った。)
「あのさ、元の場所に返してくんない?言ったら勝手にあたしらのこと殺したわけでしょ、謝罪とかはないの?」
その場の温度が一気に下がった。
ガチャッ、ガチャッ、ガチャン機械のような体のガブリエルが頭を下げた。
(申し訳なかった此度の非礼を詫びよう。)
「名古屋、もういいだろ?」
「うん。」
名古屋を勇気が止める。
「それでそれで、続きは?」
「峯音は好きだよね、こう言う話。僕もだけど。」
興味津々な峯音と聯。
(ありがとう。では続けよう。祖は、いくつかの次元を作り、奴らをばらけさせ少しずつ無くしていこうと。初めは良かった、だがそこで変化が起こったのだ。奴らはそこで秩序を捻じ曲げたのだ。争いを引き合いにし同種殺しを遺伝子に刻んだのだ。その進行を止めようとしたが遅かったのだ。数が多すぎたのだ。管理者である私たちではもうどうすることもできない。そこで君たちの手を借りたいのだ。)
「どうする?」
「やろうよ。いつか死ぬ時に悔いないように!!」
「だな。」
「さーんせーい。」
「異論はないよ。」
「わかったよ、やる。」
堅とシエラを中心に、みんな賛成で固まる。
「と言うことですよ、ガブリエルさん。」
「殺されちゃったのはびっくりだけど、怒るとかは無いですよ。」
堅とシエラ入った。
(ありがとう。もう少し説明すると、失敗すると君たちのいた次元にも被害が及ぶ。100%の成功とは言わないが失敗のないように頼む、君たちのみが頼りだ。)
「はい。」
聯が答える。
(テレポートの用意は出来ている。来てもらってさっそくで悪いがいいだろうか?)
「平気です。」
峯音が答えた。
ギューーーガチッゴグン。テレポートが起動した。
(今は君たちにかかっている。頼むぞ。)
「任せてください。」
シエラが言った。
(達者でな。)
(死ぬなよ。)
「了解です。」
勇気が言う。
バチバチバチッ。
テレポートが作動した。彼らの姿は見えなくなった。
その直後に6人は、草むらにいた。