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3・3 再稼働と艶めき

「おい、そこ右だ!腕を狙われてるぞ!」

「バカか、そっちは左だ!しょうがない奴だな、何度も助けないぞ!」

 ネーシャがオレの右側にやってきて、オレの腕に噛み付こうとしていたゴリラドッグを払い除けようと手刀を横一線。

「痛ぁーい!!このバカ犬離れろ!放せ!放せっ!」

 がっつり腕に噛み付かれて軽くパニックになって噛み付かれた腕をブンブンと振り回すネーシャ。

 それを素手で殴って叩き落とすオレ。

 さっきからずっとこんな感じだ。ちょっと予定と違いすぎるんだが。


「ネーシャ、お前、怪力以外全くダメじゃん……」

「貴様!魔族である私になんて口の利き方だ!痛い!やめろ足を噛むな!駄犬がっ!もう!」

 いや、涙目じゃんお前。


「えと、少し相談があるんですけど……」

 小一時間掛けてようやく二頭のゴリラドッグを倒してからオレが切り出した。

「何だ、言ってみろ、聞いてやらんこともないぞ」

「街で剣か何か武器を買って頂きたい!」

「能力から見てもたぶんオレは魔法を使う系が得意なんだろうけど、なんせMP10しかない!」

「幾らかレベルを上げて、魔法が使えるようになるまで武器が必要だと思います!素手はちょっと効率悪いかな!」

 いちいち、魔族をバカにしてとか言われるのもめんどくさいので丁寧に言ってみた。


「魔族が武器を使うとかありえんだろ!」

「どう見たってオレ魔族じゃねーだろ!」

「……」

 確かに。と言う顔で黙り込むネーシャ。

 ばか、間抜け、可愛い尻尾め!何を今更そんな顔してやがる。

 どこからどうみてもただのイケメンの人だろうが!あ、オレまだ自分の顔確認してないわ。


「だが、買うと言っても金ならないぞ」

「……なんか売れる物とか持ってないのか?」

 とりあえず倒したゴリラドッグを異世界ポケットに[ゴリラ]という登録名でしまいこみながら聞く。

「そうだな、売れるものといえば今着てる服くらいだが……売るか?」

 全力で首を横に振る。うん、縦には振りたいし、それたぶん売れる、いろんな意味で、そしてオレ的には嬉しいかも知れんが、真っ裸の魔族に監視されながらレベル上げするとか、オレのど変態っぷりが魔族にまで浸透したらどうしてくれるんだ。


「お前が魔族ならスキルで魔吸収(ドレイン)が使えるんだがなぁ……」


 ん?ドレイン?あーーーーーっ!!

「オレ、それ、使える、かも……」

「何!?使えるくせに忘れてたのか!?そんな奴が私のことを文無し怪力女とか責めていたのか!?」

 お、おう、そこまで言ってねーし、こいつオレと同じでそこそこの被害妄想あるな。


「しかし、お前さっき自分は魔族ではないとのたまったばかりではないか!」

「いや、魔族じゃねーよ!でも使えるもんはしょうがないだろ!」

 全く納得行かないと言う顔でこちらを睨むネーシャ。


「ま、まぁ、魔力回復できるんならちょっと魔法使ってみるよ、試しときたいしな」

「うむ、謝罪は後ほど受けるとして、よかろう、試してみろ」

やばい、上から目線は腹立つ。だが感情豊かにピコピコ動く尻尾可愛い、でもうさ耳にも会いたい。


 魔獣を探して少し歩くと五頭の群れになってるゴリラドッグを見つけた。

 木陰に隠れながら射程距離はわからないがとりあえず適当な魔法を唱えてみる。

死の舞踏(エンドレスステップ)!」

 効果あってくれ!


 ビクンッ!

 ゴリラドッグが五頭が一瞬体硬直したような反応を見せた。結構広範囲に効果がありそうだ。

 てか、え?それだけ?ビクンッってだけ?MPは残り1、ドレインはスキルだからMP減らずん使えるかな?

 よし、ドレインを唱えてみようとゴリラドッグの方へ手を伸ばした。


 すると先ほどの魔法の効果かゴリラドッグ達が飛び跳ねたり左右に揺れたりとダンスをするように目まぐるしく動き出した。

「よし!なんかわからんが効いたっぽい!」

 ゴリラドッグ達は狂ったように動き回った挙句バタバタと倒れ出す。それと同時にオレの体に力がみなぎってくる!

 お?何だこれ、魔力が完全に回復してる!?

 相手を倒してしかもドレイン効果まで!?


 よし、これはだいぶ使えそうだ!

 とりあえずこの調子で使えそうな魔法を全部試してみよう!


 ネーシャの方をみるとなぜか悔しそうな顔をしてこちらを見ているが、

 そんなことは気にせず森の奥へと進み、次の魔獣を探すことにした。


 それから、何故かことごとくゴリラドッグにしか遭遇しなかったが、

 色々試した結果、使える魔法の大体の効果が分かった。

 ・死の舞踏:相手が死ぬまで踊り狂う、相手が死ぬとドレイン効果あり。

 ・死の叫び:強烈な叫び声がオレの口から飛び出し、相手を仮死状態にする。

 ・死の迷夢:身体が霧状になり物理攻撃を受けなくなる。

 ・死の片鱗:相手の身体の狙った部位を爆発させる。グロい。

 ・死の宣告:放った瞬間に紋様が飛び出し相手の体に刻まれる、その後オレの好きなタイミングで相手を絶命させれる。怖い。


 うん、我ながら薄気味悪い魔法ばかりで鬱になりそうだ。

 レベルも5まで上がった段階でMP成長率x666のお陰かいつの間にかMPは3300ほどになっていた。

 いや、チートだわ。しかもオレの魔法どれもMP1~10くらいしか消費しないんだけど……。

 そんな感じで、ゴリラドッグが何頭現れようが敵ではなくなった。


 調子に乗ってゴリラドッグ無双をしていると急に、

「……お前、何故そんなに急に強くなるんだ!」

 先ほどからオレが敵を倒すたびにイライラがこぼれ出ていたネーシャがついにオレに突っかかってきた。

「いや、知らねーけど、転生者の特典だよきっと、強かったらなんか不都合でもあるのか?」

「ないっ!ないが、あまり実力差を見せられると……」


 何やら少しモジモジし始めるネーシャ。

「お、何だ?魔族ってもしかして自分より強い者に対して惹かれちゃったりするのか?」

 何となくそんな気がしてカマを掛けてみる。

「人族ごときが調子に乗るな!私は剣聖とやり合ったほどの腕だぞ!」

 おっとそういえば、すっかり忘れてたがこいつオネエ様の剣を迷夢ですり抜けてたな。

 実は魔法だったらそこそこ使えたりするのか?


「そういえばあの時迷夢を使ってたけど、他にも魔法が使えるのか?」

「何だその迷夢って言うのは?」

 モジモジはおさまらないが強気に返してくるネーシャ。

「さっきオレも使ったじゃん物理攻撃すり抜ける魔法だよ」

「私が使える魔法はこれだけだ!」

 そう言うと手をオレの方に突き出して拘束(ラバンド)と唱える。

 オネエ様の家でネーシャが使った拘束の魔法だ、そして何故か拘束されるオレ。

 バチンッ!


「おい、オレを拘束してどうする……」

「ふっ、生意気なお前にはお仕置きが必要だと思ってな、そろそろ謝罪も聞きたいしな……んふ……」


 拘束の勢いで倒れたオレの上に乗ってくるネーシャ。

 あ、あれ?これってお仕置き?ご褒美の間違いでなく?


「す、少し大人しくしてろ……」

 言葉とは裏腹に照れた感じでオレの身体に手を伸ばしてくるネーシャ。

 やばい、夢とは違うリアルな吐息と触感にまだ何も始まってないのにオレの魔砲が敏感に反応する。

 期待度マックスの状態のその瞬間、すっとネーシャが立ち上がりオレの拘束を解いた。

 あ、あれ?

「何をやってる、サボってないで次の魔獣を探しに行くぞ」

「え?……」


 こ、これはもしや爺様の発情を抑える魔法が作動しちゃった?

 爺様まじ恨むわ。出来るかわからないひ孫の代まで恨むわ。

 いや、もしかしたらその気にさせて何もしない系のお仕置きか!?嫌いじゃない。

 いずれにせよ、魔族が強い者に惹かれる=強さを見せるとネーシャが艶っぽくなると言う事実!


 ふふっ、オレにはまだ使ってない危なそうな能力が一つある。

 これを見せた時のネーシャの反応が楽しみだ。


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