階層主ー①
扉、それは俺がいた所と同じものだった。
俺は扉を開けて中を見る。
そこには普通のオークより2回り大きく、真っ赤なオークがいた。
「ぶもぉぉ!」
オークの手には剣と盾が持たれている。
遠目でわかるかなりの業物。
対して俺はそこらへんにいたオークから奪った剣。
剣技なるものは覚えたが通用するかわからない。
俺は一歩を踏み出す。
「は?」
目の前にオークが現れた。
オークはすでに剣を振りかざしている。
「っ!!」
俺は咄嗟に横に飛んでそれを回避する。
「はぁ、はぁ、はぁ」
危なかった。
あと少し遅れていれば俺は死んでいた。
「・・・」
俺はオークを見ながら剣を構える。
「!?」
見ていたオークは次の瞬間、消えた。
ガキィィィン!!
間一髪
上に掲げた剣とオークの剣が硬質な音を出す。
「クソ!」
俺は必死になって思う。
生きたい。
生きたい。
生きたい。
生きたい!
『告:精神が非常に不安定です。大罪『**』を獲得』
何か声が聞こえた。
しかしその直後、体が軽くなる。
俺は生きる。
そのためにはあいつが邪魔だ。
俺の邪魔をするならどうする?
殺す。
俺は生きたい。
だれであろうと、もう、俺は指図されずに生きたいんだ。
「ガァァァァァ!!」
俺は吠えた。
俺の剣に『気』ではないオーラが纏われる。
「ぶもぉ?」
オークもその異変に気付いたようだ。
欲しいものは必ず手に入れる。
何が何でも。
もう、指図されずに生きるんだ!!
『大罪【**】が解放されました。ユニークスキル【強欲】を獲得』
俺の体に黒いオーラが纏わりつく。
「貰うぞ」
バキン!
打ち合った剣はオークの剣が一方的に折れた。
「ぶもぉ!?」
驚くのも無理はない。
だけど今は戦闘中だ。
俺はそのままオークを斬りすてる。
「ぶもぉぉぉぉぉ!!」
雄叫びをあげてオークは倒れる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
なんとか勝てた。
とりあえず一旦ここから離れて休憩したいな。
俺が振り返って休もうとしたその時、不意に体をなにかが貫いた。
「え?」
それは先程折ったオークの剣。
後ろを向くと首を飛ばしたはずのオークが蘇っていた。
「っぐ・・・、嘘だろ・・・?」
「ぶもぉぉ!」
俺はそのままオークに蹴られて壁まで弾き飛ばされる。
「がは!?」
赤い血が流れる。
しかしそんなこと言ってる暇はない。
俺はなんとか剣を構える。
「クソ・・・が!第二ラウンドってか?」
「ぶもぉぉ!」
戦いは、まだ終わってなかった。