4.介入
4.介入
美帆は真っ暗な世界に浮かんでいた。
颯人に殺してもらえた幸せを、噛みしめながら。
そこは温かい水の中にいるかのようだった。美帆の体は漂いながら、徐々にはるか向こうの光へと向かって移動していく。
あの光に飲み込まれたら、自分は生まれ変わることになる。美帆はそうはっきりとわかった。
長い長い時を経て、あの白い光がかなり近づいてきたころ、美帆の前に一枚の鏡が漂ってきた。
美帆はそれをつかんで、何気なくのぞき込んでみる。
「あ……っ」
そこでは颯人がただひたすらに責め苦を受けていた。何度も何度も惨殺され、そのたびによみがえりまた苦しみを受けるのだ。
『僕は罪深い人間なんだ。こんな苦しみじゃたりない。もっともっと苦しまないといけない』
鏡の中から、颯人の声が聞こえてきた。
これは地獄ではない。颯人が自らの罪の意識から、自分を閉じ込めた煉獄だ。
颯人を助けなくちゃ。
美帆ははっきりとそう思った。
生前、自分は颯人に助けられ続けてきた。
今度は、私が彼を助けるんだ。
あの時みたいな弱い私じゃなくて、もっと、強い私になって。