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第26話

読者の集まりやすい時間を探る為、1時間ずつ掲載を早めていって、アクセス数が伸び易い時間帯が掴めたら、固定しようと思います。

それまでは、不都合は恐らく生じないと思いますので、ランキングなんか全然狙えないですが、読者の掘り出しをさせて下さい。

勝手ながら、申し訳ございません。

 宰相に戻った事を伝えたが、特に仕事は増えていなかった。


 優秀な宰相だ。いっそのこと、新たな女王を据えれば、国の運営の全てを任せられるのではないかと思ってしまう位に。

 ……そういや、リミカさんの連れて来た奴隷は……ああ、牢屋か。直接、やり取りしたかったが、宰相が『十分な報酬を与え、リミカ様も満足しておられました』と言っていたから、まぁ、何かあれば、また来てくれるだろう。


 しっかし、宰相に限らず、私の部下は優秀だなぁ……。

 女性同士で子作りし、お互いに妊娠してしまうのが利点でもあり欠点でもあるが、そのシステムを完成させてちゃんと人口を増やして、計画だけ立てていた『宰相』として最高の能力を持つ(飽くまで、私が女王として楽をする為に)人材を出産・育成し、先輩・後輩という関係を無視してでも、効率的なピラミッド構造を作り、ここまでの大国にしてくれた。


 計画以上の部分も計画以下のこともあるが、私が不在が故に、という副産物であったし、こっちはしばらく放置しよう。


 ……一ヵ月後位に、3ヵ国交渉というものがあるので、それには参加して欲しいと言われていたが。


 とりあえず。王女と姫に会いに行ってみるか。


 宰相に、牢屋に行く旨を伝えておいてくれとメイドに伝え、メイドを2人連れて、地下牢まで行ってみた。


 意外と明るく、寝床もちゃんとしているが、それ以外には何も無いとも言える。

 トイレ?この世界の中では、排泄の必要は無い。故に、堆肥を作るのも、その代替品を用意しなければならないのだが、まぁ、何とかなるものだ。

 冷たい床ではなく、薄いが絨毯も敷いてあるし、牢屋としては、破格の待遇だと思う。


 それでも、不満を持っていたのであろう、王女と姫たち。

 黙っていた者は、まだ賢かった。だが、姦しい連中には、「黙れ」と言霊で命令しておいた。


 スキル:『神の目』で観察する。才能のレベルまで、全部見える。LV.MAXでその位の性能は無いと、困るのだが。


 フム……。


「そこの、大人しい姫」

「……」

「黙らなくて良いから、質問に答えてくれ」

「……へ?

 ……私、ですか?」

「とりあえず、完全治癒。

 さて。他の王女や姫から虐待されていたようだが、一番まともそうだから質問してみたい。

 答えるつもりはあるか?」


 そう言ったのだが、彼女は、全身を、服の中身まで確認して、虐待の痕が消えていることを確認していた。


「へぇー、凄いですねぇー」

「……質問したいんだけど、答えてもらえるかい?」

「はい、何なりと」


 スカートを軽く持ち上げて礼する仕草等、相当に高等な礼儀作法を学んでいるものと思われる。動作に澱みが無い。……私には無いものだ。故に、どの程度、高等な礼儀作法なのかは分からないが、王族として振舞うには十分な礼儀作法を学んでいるものと期待したい。……ただ、言動が、『跳ねっ返り』ぶりを現していたが。


「女王の役目を果たしてもらいたいんだけど、出来る?

 ほとんどは、宰相以下の役人がやってくれるけれど、女王の許可を必要とする書類をチェックして、問題が無ければ、許可印を押すだけで良い。

 簡単な仕事だ。問題のある書類に対してだけ、宰相と相談の上、対処を判断して欲しい。

 ……出来るか?」

「……ご命令とあらば」

「ああ、ちなみに。

 君臨はしてもらうけど、権力としては、宰相の方が上ということにするけど、構わないかな?」

「……?

 この待遇から、改善していただけるのですよね?

 もちろん、異存はございませんが」


 そら、そうだろうけどよぉ……。


「……まぁ、牢屋より良い待遇は約束する。

 ちなみに、虐待されていた理由は?」

「……あの国で、『この国は腐っておりまする!』と申したところ、義姉や義母から。

 母は、『長いものには巻かれろ』と申しておりましたが。

 政略結婚で、嫁に出すには、良さそうな貴族家もあるだろうからと、生かされておりましたが……」

「とりあえず、従属。

 あと、限界まで能力アップ。

 ……牢から出してやってくれ。


 ああ、あと、そっちは、隷属。

 メイドとして使える程度には、教育してやってくれ。頼んだよ。


 じゃあ、行こうか」

「お待ち下さいませ」


 牢屋から出された彼女は、恭しくお辞儀をしてから、こう問うてきた。


「ご尊名を、お聞かせ下さいませ」

「月読だ」

「『ツクヨミ』様ですね。

 私が女王となると言うことは、あなた様は、それより上位の存在、ということに……。

 お立場に、相応しい地位をお持ちになられた方がよろしいかと」

「ああ、いいよ。そういう堅苦しいのは。

 月読と呼んでくれ。

 こっちでの扱いは、どうなっているんだったかな……。

 ああ、『異世界人』だ。

 そう言ったら、事情を察してくれるかな?」

「はい。

 成る程。

 ところで、この国の名は――」

「『女傑国』だ。

 基本的に、女性しか入国出来ないようになっている。

 私は、心の中身が男だから、男にロクでもない奴が多いのも分かるし、そういう奴が多くなる理由も、理解している。

 だから、女性のみの国を作りたかった。

 ああ、女王は世襲制ではないし、子供を産みたければ、それを可能にするシステムも存在する。


 ちなみに、一ヵ月後に3ヵ国交渉が待っているが、その場には、私も列席するようにしたい。


 それと――ああ、メンドクサイ!詳しい説明は、宰相に聞いてくれ。私が丸投げしても回る国を作る為に、色々準備していたから、宰相は国政に関して、プロフェッショナルだ。

 徐々にでいい。慣れていってくれ。


 あと、意外と重要な事なんだが。

 度を超さない、国の腐敗は仕方の無いことだから、一分の隙もない、清廉潔白な国作りは、やらないでくれよ。ただ、度を超していると思うことは、宰相が許可状への押印を願い出てきても、宰相と相談の上、私を呼んで欲しい。宰相が呼び方を知っている。


 女でも、悪いことをしたい奴は悪いことをしたいもんなんだな、って分かったから、ある程度の制限内で、目を瞑っている。


 ついて来てくれ」


 もう少しだ。

 もう少しで、私がバックにつくことで、強大な『女傑国』が完成する。

 ――男の要らない国が。


 チクッと、私の胸に走った痛みは、何であったのか。


 ……まぁ、良い。余計な、『感情』という奴だろう。

 私の理想には必要の無いものだ。


 さあ、とりあえずは一ヵ月後まで、この女王で国が回るのか。

 ……見てみようじゃないか。

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