第19話
第2章、開始です!
相変わらず、稚拙な文章でスミマセン……。
起きると、色々変わっていた。
何故か知らないが、『眠っていた』という設定なので、私は眠ったまま、時間が経過していたのだ。
なので、国の人口は100万人に届いているし、それでも全員女性だし、宰相の才能を持っている女性も存在していた。
で、話を聞くところによると、大魔王国とゴーファス王国との交渉は、凍結状態らしい。詳しくは後で話すと言われた。
そして、危惧していた、生態系の崩壊も始まっていて、ジャイアントラットが大量発生して、各国、困っているらしいが、この『女傑国』では、新生児がある一定の年齢になったら狩ってレベル上げするのに、格好の獲物となっているらしい。ジャイアントラットは、基本、群れては行動しないからだ。自主的に人を襲うことも無い。
なので、メイド長はスパルタ教育で宰相の才能を持つ子供を育てて、一応の、宰相として国を動かすのに十分な才能を発揮してくれて、国の発展は著しいが、宰相がメイド長に頭が上がらない状況だという。
一応、私に従属する者同士の子供は、私に従属するようになっていてくれて、わざわざ従属させる必要は無かったが、とりあえずその者たち全員の能力を、才能の上限まで上げておいた。
あと、どうしても国王の許可が必要な書類が貯まりに貯まっていて、仕方の無い物のみ、宰相の許可で動かして、何とか国が成り立っているらしいが、この書類を全部、処理しないと、近い将来、国が崩壊しかねない勢いの切羽詰った状況らしく、起きて簡単な説明を受けた後、すぐに執務室に連れて行かれ、書類の山と向き合うことになった。
「えーと……問題のありそうな書類を選別してここに」
言霊でそう言うだけで、問題のある、許可願いの書類は全部集まった。
賄賂とか、裏社会の問題だとか、問題のありそうな案件は幾つかあったが、人間、悪性を一切持っていない人間は居ないということを考えると、許可せざるを得ないという判断を下し、許可の印を押した。手を翳すと、『月読よりの許可である』という音声が聞こえるものだが、虹色のインクを使っているし、偽造はかなり難しいと思われる。
他の、問題の無い書類も、全て言霊で一気に許可印を押したし、次の仕事に取り掛からなければならない。
――まず、外交だ。
大魔王国は、放っといても大丈夫。魔王に勝てる人間は、ゴーファス王国にはいない。『勇者が現れた』という情報を宰相が教えてくれたが、見たところ、ジャイアントラットの狩りに必死になっているようだ。
身形を整えて……というところで、はたと気付いた。
以前は、錯乱していながらも、『見慣れていた』状態が続いていたから、鏡を見ても何とも思わなかったが、深い、どれ程か分からない程の眠りの果てに、自分の姿を久し振りに見たが故に気付いたのだが、瞳は黒と金色のオッドアイだし、深緑の髪の毛に、ひと房だけ、若白髪が混じっていた。
正直、奇跡が起きて産まれた、絶世の美女。
そういえば、肉体的にも、18歳頃の、女性の美しさの1つのピークの年齢にまで育っている。
ただ、装備は物騒だった。美しくも、凶悪な装備。
外交という場に行くのだから、身形は美しくしなければならない。
まずは、風呂に入ろうと思ったら、メイドが3名ほどついて、キチンと全身を洗って、着替えまで手伝ってくれた。
ほんのり、全身から良い香りがする。
ステータスに衰えが無いかを確かめたが、そんなものは無かった。
女王復活記念祭を行うと言っていたので、私も、その時には、皆に何かの礼をせねばなるまい。
国のことは、宰相に任せて、外交官と共に、メイドも何名か従え、ゴーファス王城の城門前に転移した。
驚かれはしたが、門番に目の前を槍で交差して行く手を遮られ、「何者だ?」と問うて来た。
「『女傑国』の女王だ。国王にお目通り願いたい」
「ならん!
そのような聞いたことも無いような国の者を、国王様に会わせるなど、まかりならん!」
「ほぅ……。
こちらとしては、既に国に攻め入れられていることも確認しているし、本当に、私と敵対して良いのだな?
一介の門番の判断で、戦争になるのだぞ?」
「……!
ちょ、ちょっと待っていろ!」
門番が1人、城へと向かって行く。
すぐに戻って来て。
「貴賓室に案内する。ついて参れ」
「そうか。ならば参ろう」
城は、贅の限りを尽くしてはいたが、戦争に対する防衛の役割も、きちんと果たすように作られていて、正直、暮らしづらいのではないか?と思ったが、口出しせず、貴賓室まで案内された。
「ここで少々待っていろ」
「否、外交官を連れて来ている。そちらの外交官と、まずは話をさせてくれないか?」
「……それでも、少々待っていろ」
そのうち、外交官が呼ばれたが、この城に彼女より強い者がいないことは確認済みなので、1人で行かせる。不安そうだったが、「お前の実力なら大丈夫だ」と言っておいた。
暇をさせない為なのだろう。菓子や果物・飲み物も用意されたが、幾つか抓んで、メイドに「どう思う?」と訊ねたところ、「我が国の食べ物の方が美味しいですね」と言ったので、見張りの兵士に下げさせて、わざと、少し余りそうな量の菓子・果物・飲み物を用意した。
「……マスターの能力、便利ですよね」
メイドの1人がそう呟き、他のメイドが慌ててたしなめたが、私は「良い」と言ったら、その場は落ち着いた。
「便利すぎるのも、困りものだがな」
と、先程の呟きに答えておいた。
「……マスターって、異世界人ですか?」
答えたことで、興味をそそられたのだろう。そんな質問をしてくる者もいた。
「ああ、そういうことになるな」
「……もしかして、本来は男性?」
「ああ……口調はさほど気にしてなかったから、気付かれたか。
その通りだ。
キャラクターが女性になったことに関しては、ちょっと複雑な事情があって、私も良く分からん」
等々、会話のタネは尽きず、暇な時間を持て余すことはなかった。
それは良いのだが。
いきなり、武装した兵士が複数入ってきた時には、ちょっと驚いた。
そして、護衛を帯びた、位の高そうな人物がやって来た。
「私が、このゴーファス王国の外交官だが。
何かね?貴君の国の外交官は、交渉の為だったら、我が国の将軍まで殺すのかね?」
「……?
事情が良く分からぬ。
私の国の外交官を呼び寄せた上で、話を纏めさせていただきたいのだが、如何かな?」
「不要だ。
『我が国への従属を求める』という話に、『断る』ということになり、口論となった結果、駆けつけた我が国の将軍が、貴国の外交官に殺された。
それが、貴国の外交のやり方かね?」
「……?
ちょっと待て。
何か?我が国の外交官が、貴君に対して、国としての従属を求めたのかね?」
「……?
……!
ああ、そうだ!たかが外交官の分際で、国としての従属を求めてきた!
これは、立派な国辱行為である!」
嘘だ。私のスキルが見抜いた。恐らくは、言った・言われたの関係を逆転させることで、話を優位に持っていこうとしている。
「やはり、外交官の話の確認が必要だ。呼び寄せて良いか?」
「不要だと言っている!
皆の者、殺れ!国王たる証拠も無く、たとえ国王だとしても、そのような卑劣な国に屈するつもりはない!
遠慮無用だ!全員殺せ!」
メイドが全員、立ち上がった。……いや、制圧は出来るだろうけどさぁ……。
「慌てるな。落ち着いて座っていなさい、全員!」
私のメイドは、本当に落ち着いて座っているが、敵方は、震えながら座っている。恐らく、この状況で、何故座っているのか分からなくて、混乱していて、落ち着いてはいるが、何故、落ち着いているのかも理解できず、心の何処かが怯えているのだろう。
「外交官殿。
私が、我が国の外交官に会いに行って確認を取るのと、私が外交官を無理矢理呼び寄せるのと、どっちが良い?」
震えながら、外交官は悩み、落ち着いているが故に、こう答えた。
「ワタクシが案内致します」
「あ、そう。ありがとう。
じゃ、メイドちゃんたちもついて来てね。
外交官殿、案内を頼む」
外交官が、立ち上がれるようになったことを確認し、心の底から、ホッとした表情を見せた。
「こちらでございます」
とりあえず、ついて行きながら、場内を探査した。
うん、大丈夫。ちゃんと外交官の居場所へと案内されている。……牢屋へ。
さて。言い訳が楽しみだ。
掲示板に書き込むネタも増えたな♪と、ちょっと、考える事が多過ぎて困るほどの状況を楽しみながら、案内されて行った。
現実化したことで、真のオープンワールドとなりました♪
……という名目の、作者のご都合主義です。スミマセン……。




