第11話
お茶菓子は、中々の美味だった。
思わず、口も軽くなる。
「正直、一番困るのは、領土なんだ」
「ならば、妾の領土の一部を譲ろう。
正直、暴走する者が領土を広げて、統治し切れんのだ。
宰相!地図を持って参れ!」
宰相さん、優秀だな。3分で世界地図を持ってきたぞ。
「正直、国を三つ持てる位の領土を持っているのだが、統治し切れているのは3分の1位なのだ。
そこで、この2つのエリア、どちらかを譲ろうと思うのだが……」
一方は、海に面している。もう一方は、山に面している。
「じゃあ、こっちで」
当然、海に面している方を選んだ。
単純に、新鮮な海産物が好みだからだ。
「ついでじゃ。
宰相。最低限、この国を維持する為に、必要な人材をどう思う?」
「メイドと、文官と、兵士。ついでに言えば、将軍。
ですが、理知的な将軍は生き残っているので、最悪、将軍の追加は不要かと」
「兵士は却下だな」
私は、即座に言った。
「凶暴性を持っていない保証が無い。
私を除く、人類最強レベルの軍隊でも、アンタラの勢力なら、勝てるだろ。
あと、私と、魔王と、人間の国の国王で、和平条約を結ぶ。
破った場合、連絡を寄越せ。協力してやる」
「りゅ……竜王の国とか、海竜の国とか、精霊王の国とか、脅威は幾つもあるのだが……」
少し悩んでから、私はこう言い出した。
「ちょっと、試したいことがある。
その間に、10名、戦闘の才能のありそうな、地位の高い者を厳選して、呼び寄せてくれ。
私は、その間に、アイディアが可能なものかどうか、試してみたい」
私は、このレベルの言霊使いになったことで、恐らく、ある程度は可能になっているであろうことを、この期に試すことにした。
「私の全能力を最大まで引き出したい」
レベルを確認。LV:Ex.MAX。
この世界では、どんなキャラクターにも成長限界があるのだが、プレイヤーキャラクターのみ、上限が解放されているのだ。
なので、レベルを確認後、こんなメッセージが来た。
『第一段階の、能力の封印を施しますか?』
とりあえず、YESを選ぶ。
『第二段階の、能力の――』
こんなことが、合計十二回起こり、恐らく、全封印を解いたら、勝てぬ者は居ない存在になるのだろうと感じた。
「月読様、10名、厳選致しました」
宰相が声をかけてくる。……10名全員、女性だった。宰相、分かってる~♪
「じゃあ、一気に行こうか。
『最大限界能力獲得』
……うん。とりあえず、この位の戦力があれば、大丈夫じゃないかなぁ?」
魔王が、能力を確認したのだろう。頭を抱えてこう言った。
「妾の認識が正しければ、竜王自らでも攻め込んで来ない限り、撃退できるわ。
こんな能力を簡単に与えられる、お主が恐ろしい」
「そう。
じゃ、魔王のメイド、生き返れ~♪
魔王の文官、生き返れ~♪
……はい。確認しなくても、大体は把握出来るよね?
じゃあ、領土は貰っていくから。
あとは、和平交渉の時に、連絡するから。
あ、会食は、せっかくだから、頂いて行こうかな。
今度、私の方でも、最大限の会食の場を用意させてもらうよ。
問題は、人間の国かな?
人間は、結局、欲深だからなぁ……。
まぁ、いざとなったら、力尽くで従わせるか。
領土に関しては、感謝してるから、それなりのお礼はするけど、簡単な用事で呼び出したら、肝心な時に動かない、ってなるからね。
国がピンチって位の時に、呼び出してね~♪」
「了解仕りました。
……宰相。そろそろ、前菜から順にお出し出来る位には準備が出来ているんじゃないの?
妾はともかく、月読さんは、これからが忙しい模様だ。さっさと始めて差し上げろ」
「はっ!
……では、こちらへ」
結果、魔族の最上級の会食と言うのは、中々の美味が多かった。――否、珍味と言うべきか。
ただ、数品、ゲテモノがあったので、それは断ったことは追記しておこう。
次話が、都合上、非常に短くなってしまう為、1日2話掲載したいと思っております。