第一話〜ヴィルとリザ
その日は晴天だった
下を見ても上を見ても怖いくらいきれいな青だった
俺たちは今、昔地球と呼ばれた青い青い惑星の上空を飛ぶ空中都市にいる
「ヴィル!お前、またこんなところにいたのか!」
頭上から声がする。俺は寝転んでいた体を起こした。
「リザ…うるせぇえなぁ…せっかく気持ちよく寝てたのに…」
「うるさくない!ど·う·せ、また空を見ていたんだろ!」
そう言ってリザは頬を膨らませた。そんなリザの顔を見ると、無性にからかいたくなる。
「考え事をしていたのさ」
「寝てたんじゃないのかよ…で、一体どんな?」
俺は思わずにやけてしまいそうになるのを抑えて言った
「嵐が来て…雷がリザにあたらないかなぁ、みたいな?」
「ヴィル‼」
リザの細くて白い手が俺の身体を叩いた。
いくらリザに叩かれようと、あんまり痛くないんだよな。ほんと…
「小っせぇなぁ」
思わず声が漏れてしまう。その声を耳のいいリザは当然聞きつける。
なんだと!
と、膨らませた頬をいっそう大きくさせた。
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俺たちの話をしよう。まぁ、ちょっとした自己紹介だと思ってくれればい。
俺はヴィルウェル·カーター。リザからは“ヴィル”と呼ばれている。
好きなことは…なんだろうな、空を眺めることだろうか?どこまでも広がる真っ青な空が俺は好きなのかもしれない。
あっちにいるちっこいのがリザ·ナイレイ。
おっと、リザが怒ってる。
…
…
え?ちっこくないって??…俺がでかいだけ?
そんなわけ無いだろ〜??俺がでかいのは置いておいて、リザはちっこいよ
…
…
え…もう俺とは話さない…!?!!?
おい、待て!言い過ぎた…すまん!!!
…
…
向こうに行っちまった…
後で何か美味しい菓子でも作って持っていかんとな…
この空中都市は見ての通り2つの三角錐みたいな大きな島で成り立ってるんだ!
一つは俺たちが今いる島。下町って言うんだ。
下町はこんなに広いのに俺とリザの二人しか住んでないんだぜ!
え?二人だけで寂しくないのかって?
そんなことないさ!どれだけ騒いだって誰にも注意されることはないし、リザといる毎日はこれでも結構楽しいからな!
ただ…まぁ、全然って言ったら、嘘になるかな…
もう一つ、俺たちの真上に見える島があるだろ?
あれは高国って言うんだ。
高国は島の中でも3つに別れているらしい。
一番外側にある国が“ロウァー”
二番目が“アレッジ”
そして、その中心にあるのが“アルバ”
そうそう、言い忘れていたが、下町から高国へは行けないんだ。と言うか行けない。
下町の西の端にあるロープウェイで一応繋がってはいるけど上まで乗っていく椅子とか籠が無い。
じゃあ、どうしてロープウェイがあるのかって?
それはまた今度教えてやるよ




