めでたくないよ・・・
・・・評価ポイントが二桁に・・・本当に感謝です。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!
区切り方を間違ったようで今回は少し短めです。次は逆に少し長くなる予定ですが、続読の方、よろしくお願いします。
神様に対して結構きつめに毒づいたところで話を続けた。
「とりあえず、それは保留するとして。なんで倒されたはずの魔王が復活してまた攻めて来てるの?」
「どうやら駆逐されなかった魔物たちが再び王を決めて戦力を増強したようですね。」
なるほど、って勇者たちー。貴方達のミスじゃないですか。キッチリ倒しておいてよ、面倒くさいんだから。
「それで、因みにどれぐらいの戦力になってるの?っていうかこの世界の兵力では倒せなかったの?」
「一応討伐隊は編成されたのですが魔大陸に入るところで強い魔物の軍勢に出くわしてしまい、恥ずかしい話ですが、部隊が半壊してしまったのですよ。それからは防戦一方ですね。なのでもう戦力は伝説時代と等しいぐらいかと。」
・・・め、面倒な。まあ、倒せなかったから私に話が回ってきたんだろうけど。
とりあえず始めっから状況を整理すると。
1、勇者たちが魔王を滅ぼした。
2、勇者たちの帰還後、魔王が新たに生まれる。
3、聖大陸に攻め込んできた。
4、自分達の戦力では倒せなかった。
5、そこに強大な魔法を使う私が現れた。
6、利用して魔王を倒してもらおう!
うん、かんっぜんにとばっちり、巻き込まれですね。
「もし、私が無理ですって言ったらどうなる?」
イーヴァさんはその問いに笑みを返してきた。
はい、処刑台行きってことですね。私は大きく溜息をつくと、再び両手を上げて降参の意を示す。
「了解。分かりましたよ、行きます行きます。まだ死にたくもないですしね。」
逃げるのは簡単だけど、せっかくのアドバイザーを殺したくもないし。イーヴァさんは私のその言葉に大きく頷き、笑顔を見せた。
「ありがとうございます。引き受けて頂けてなによりです。それでは今日はマナさんもお疲れでしょうから宿舎に案内します。詳しい話はまた後日という事で。」
その笑顔を見ながら、よく言う、断ったら処刑台って脅迫してたくせに。と少し毒づく。
まあ、私は異世界では右も左も分からない素人。アドバイザーがついてくれただけ御の字と言うべきかなと考えながら、イーヴァさんの後について宿舎に向かう。因みにラインさんはずっと黙ってついてきていた。腰の剣に手は添えたままであることは言うまでもない。
「ではこちらがマナさんの部屋になりますのでご自由に使っていただいて構いませんよ。何かあれば私の部屋まで来てください、突き当りの部屋ですので。後、トイレ、シャワーは部屋ごとにありますが、広い浴槽は一階にありますのでそちらも使っていただいても構いませんよ。」
イーヴァさんに案内されたのは騎士団詰所から歩いて五分程にある、見た目はコンクリートで出来た建物だった。因みに五階建てで王宮務めをしている人の女子寮らしい。
男女を分けるのはいつの時代、いや、どこの世界でも同じなんだなーと思いながら中を案内され、着いたのはその最上階にある五〇三号室だった(各階に十部屋ずつある)。因みにエレベーター付き。一体いつの時代背景なんだろうか、この世界は。
まぁ、魔法がある時点で考えてはいけない気もしなくはないけれど。あとで聞いたところ、私が電気で動かしていると思ったもの全てが魔法が動力になっているらしい。やっぱ魔法って便利だねー。
余談だが、女子寮に着くところでイーヴァさんはラインさんに帰ってもらっていた。やっぱり流石にラインさんも女子寮は気が引けるようで普通に帰って行った。私に、何もするなよ、というように睨みながら。だいじょーぶ、何もしないよー。する気もないし。
「うわあ・・・」
部屋に入って思わず声を上げてしまった、今度は空を飛んだ時とは違って悪い意味で。確かに王宮務めならば仕事優先になって私生活が疎かになるのは分かるけどね、これは流石に。
「ほんっとーに何もないなー。」
ベッド、クローゼット、机などの最低限度の生活に必要な物しかなかった。必要ないものといえばカーテンぐらい・・・いや、必要か。女子寮なら。一瞬考えてしまっている時点で私も女子として失格なのかもしれないね・・・。
私はクラスの女の子みたいに女子女子してないからいいものだけど、流石にひどいなー。取りあえずは。
「イーヴァさん。」
「どうしました?何か問題でもありましたか?」
イーヴァさんは首を傾げる。やっぱりこの人も感覚が麻痺してるんだなと思いながら、いつもより少し感情をこめて言った。
「明日買い物に行きましょうか。」
私の言葉の迫力に押されたようで軽く引いたが、それでも頷いてくれた。
その後、寮のルールなどを教えてもらったり、管理人さんに挨拶に行ったりして時間を潰した。管理人さんは気さくな人で、丁度お菓子を作ったから食べていきなさいと、お茶会に招いてくれた。因みに作ってくれたお菓子というのはココアとプレーンのクッキーでとても美味しかった。
今度プリンでも作って渡しに行こう。喜んでくれるといいなー。
そして最終的に、出された夕飯の美味しさに驚きつつ、シャワーを浴び、ベッドに入って、そのベッドが何気にフカフカなのにまた驚きつつ眠りに落ちて、私のながーい異世界初日が終わりを迎えましたとさ。
めでたし、めでた・・・くない!
前勇者達が文句言われてますね。彼らも頑張ったのに・・・
また、最後のセリフから分かるように、マナは地味にお菓子作りが好きです。しかし、反対に料理一般は出来ないというよく分からない人なんです。
感想、ミス指摘などお待ちしておりますので何卒よろしくお願いします。