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チートってのも悪くないね。  作者: 葉月 コウ
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突撃、しますか…

ストックが、ストックが……

あ、今回も続読よろしくお願いします

 「ここみたいだよ」


リンが足を止めて言ったのは、何というか……うん。


「テンプレ中のテンプレだね……」


と言ってしまうほどのテンプレ。人気のない倉庫群の中の一つだった。まぁ、一つだけテンプレっぽくないと言えば、現実世界ではあまり見ることのない、レンガ造りの倉庫だという点。赤かったら横浜だね、ここ。


 『クアリー』のレベルを上げると、中には子供たちであろう反応、誘拐犯のグループだと思われる、動き回っている大人の反応。それに……奥まったところに集まっている数十人の反応。まさか本当にオークションが開催されているとは……現実世界はひどいものだと思っていたけど、ファンタジー世界も対して変わらないね。


 「どうやって助け出すの?」


さて、どうやってだろうね。ハッキリ言って助け出すことは簡単、子供たちのいる部屋の壁を魔法で壊してそこから子供たちを逃がせばいいだけ。だけどそれでは壊した時の音に気づかれて誘拐犯グループにも、オークション目当てで来ているであろう貴族達にも逃げられてしまう。


 かといって逃げられないように真正面から突っ込んでいったら子供たちを人質に取られて動けなくなる……ん? あ、そうか。考えれば簡単なことだった。


「リン、ちょっと後ろ見ながらついてきてくれる?」


「いいけど……どうするの?」


「ん? 穴を塞ぐだけだよ?」


リンに後方確認をしてもらいながら正面扉側へと進む。地面は砂利であるために神経をとがらせて、音を出さないように慎重に、かつ素早く。


 誰にも気づかれずに正面玄関から見て左側方の壁に張り付くようにして、顔だけ出して見張りの人数を目視で確認する。一、二……合計で三人、か。見張りとしてはちょうどいい数だね。でもまあ、何人いようが全く関係がないわけなんだけど。


「『グラビディ』」


「「「!」」」


ちょっとキツめの加重力で見張り三人を地面に倒れさせる。ガツッて音がしたけどどうでもいいよね? 今度はコソコソとはせず、堂々と見張りの前に姿を現す。


「…! ………!」


一人が私に気づいて大声で中に知らせようとするが、まず声が出ない、いや、出せない。そんなに胸部を圧迫されたら声を出すところか息をするのも辛いだろうに。そんなに人身売買が大事かい? 君の体と魂を売ってもいいんだよ、死神に。


「悪いけどしばらくそこで苦しんでてね。『ファイア』」


正面扉の左右の継ぎ目に高温の炎を当てる。何の金属かは知らないけど融点は思った以上に低いらしく、ドロッと熔けだした。私の背の届く範囲を熔かしたら一気に『リキッド』で冷却。よし、溶接出来たね。


「リン、行くよ」


「はーい」


目の前で人が潰されかけてるっていうのに明るく元気なお返事。強かになったのか、それとも若干スッとしているのか、はたまた慣れたのか。うん、最初希望かな。


 正面扉を離れ、再び裏に回って子供たちのいる部屋の外に立つ。どの呪文にしようか……呪文を間違えて中に被害、とかなったら目も当てられない。……よし、殴ろう。


「リン、ちょっと離れててね。『クアリー』……よし、ここかな。『インテシオ』 ハッ!」


ピシッ!


パンチ一発で頑丈そうな壁にヒビが走った。じゃあ、もう一発っとね!

 ガラガラという若干派手な音を響かせながら直径三メートルぐらいの穴が開いた。よし、成功成功。


「な、何だ!?」


「あ、穴が開いた?」


「もしかして、助けが来たの?」


穴から倉庫に入ると、手錠や首輪をされた子供たち十数人がこちらを見ていた。


「はい、その助けだけど、皆大丈夫?」


答えながら部屋の中を見渡し、誘拐犯たちがいないかを探る。視覚内に敵影なし、とりあえずは大丈夫かな。


「あ、はい。でもさっき外で誰かが、もうすぐ始まるって……」


 捕まっていた十五歳ぐらいの女の子がそこまで言った時、急にドアが開いた。


「おい、お前ら。時間だ、さっさと……」


「ごめん、黙って、『グラビディ』」


見回りのやつらと同じく、加重力で拘束した。それにしても時間、それにもうすぐ始まるっていうのは、オークションが始まるってことでいいんだよね。なら、突撃しますか。


 決めると、私とリンにかけた『メタファリング』を解除する。リンを捕まえ損ねたってことは、もう向こうには伝わってる。なら誰かに阻止されたってことは明白。ならその阻止した者が近くにいるだろうって考えて手は出さないでしょう。


「え、お姉ちゃん、どうして魔法解いたの?」


リンに今のを説明するとすぐに納得してくれた。それと同時にこの子たちを連れて、ギルドや騎士団本部に逃げるように言った。


「わかった、お姉ちゃん、気を付けてね。皆さん、行きましょう!」


了解するとリンは、皆を連れて走って出ていった。

さて、ここまで首を突っ込んでしまった以上、もうイーヴァさんから隠れるのは不可能だろう。ああ、憂鬱。この憂鬱、少しくらい八つ当たりしても罰は当たらないよね? この時の私の顔は、リンに見せられないもののように感じた。



 「近いのはギルドなのでギルドに逃げましょう、私についてきてください!」


「「「はい」」」


皆の返事を確認した私はギルドの方向に向かって走り出した。足を怪我した人がいたので、その人は体格のいい男の人に負ぶってもらった。ここに来るまでは人気のない道でも最短距離であれば突き進んできたけど、今回は早く人気の多い道に出られるように、かつ、誘拐犯の仲間がいなさそうな道を選びとる。


 それから数分走り続け、大通りまでもうすぐ、というところまで走ってきた。幸い、誘拐犯には会わなくて済んだ。


「皆さん、もうすぐで大通りです、頑張ってくだ……!」


後ろを向いて皆を励まそうとして声をかけた途端、何かにぶつかった。しまった……見つかった……?


「あれ? 貴女は……」


「え?」

 とうとう一か月が過ぎてしまいました…本当にすみません。ストックが尽きた、と今まで何度も言っていましたが今回は本当です。しかし、頑張りますのでどうか、見捨てないで続読よろしくお願いします!

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