表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートってのも悪くないね。  作者: 葉月 コウ
3/48

ギブ&テイクって大事だよね・・・

  そういえば今までルビを振り忘れていたので補足説明させていただきますと、主人公の真央は<まなか>と読みます。本編では次の話で出す予定でしたが念のため先に説明させていただきました。 それでは続読よろしくお願いします。

 さて、殺されない為にも答えたいのは山々だけど、まんま日本ですっていうわけにもいきそうにない。

間違いなく「ふざけてないで正直に答えろ!」といわれるだろう。下手すりゃ速攻で切られることになるだろうな。訳の分からないまま死ぬのだけは勘弁してもらいたいとこだねー。


 コワいなー、と向けられている剣先に緊張感無く怯えていると、コワーいお兄さんの後ろからやさしそーなお姉さんが出てきた。金髪がさらさらと流れていてすごくきれいだった。これで幼かったらいわゆるお人形さんみたーい!って言われるビジュアルだね。


 異世界ってやっぱりすごい、こんな美人さんが騎士みたいな格好してるんだ。こっちの人もさっきのお兄さん程じゃないにしても結構ゴツイ鎧姿だけど。ちょっと残念・・・


「まあまあ、ライン。そんないきなり剣を突き付けては彼女も容易に話せないでしょう。とりあえず剣を下げてあげなさい。」


「イーヴァ、しかし!」


 お兄さんの方がお姉さんに食って掛かっていくが、お姉さんは躱し、宥める。人の事を扱うのはうまいようだった、しかもいろんな意味でっぽい。そのうちお兄さんの方が折れて、私の首から剣を離す。助かったー。

 

 ホッと一息つくと目の前にきれいな手が差し出された。見上げるとお姉さんがニコッと笑っていた。


「申し訳ありません、部下が怖い思いをさせてしまって。さっきちょっとした騒ぎが森の中であってそれでピリピリしているのです。」


すみません、やったのこの私です。だからその眩しすぎる笑顔やめてください、いくら私でも罪悪感感じるんで。


「いえ、私も怪しかったと思いますし。」


と返しながら、引っ張りあげてもらい土を払った。


 私が姿勢を正すとお姉さんも姿勢を正して、自己紹介をしてくれた。


「私の名前はイーヴァといいます。セドナ王国騎士団団長を務めております。失礼ではありますが、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。犯人の魔法使いさん?」


 うわあー、バレてる。自己紹介の最後につけられた一言により私は硬直し、周りの騎士さん達はそろって剣を抜く。一瞬再び『コラプスイラプション』を唱えそうになったが、周りの騎士さん達は兎も角、イーヴァさんは私が爆発を起こしたと思っているはずなのに全く敵意を感じさせなかったので口を開くだけで終わった。その代わり普通に弁明はさせていただく。処刑とか普通に嫌なんで。


「いやー、そんなわけないじゃないですか。ただの女の子ですよ。そんな爆発なんて起こせるわけないじゃないですか・・・。」


 そう言った瞬間私は、しまった、言ってはいけないことを言ってしまったと思った。流石に嘘はゲームで吐き慣れているとはいえ、異世界、魔法、剣、など色々な非日常にさらされてしまっていたせいか、私らしくもないミスをしてしまった。


 イーヴァさんはさっきのニコッという人当たりのいい微笑みではなく、ニヤッと人の悪い笑みを浮かべた。それこそ、言質を取った、とばかりに。そう、貴女はおろか、誰一人として・・・


「おかしいですね。私は騒ぎとは言いましたが、爆発とは一言も言ってませんよ?」


 この人、私と同じ性格だ。人との駆け引きが得意分野だと感じた。言質が取られていなければ舌先で戦ってみたかったが、相手のアドバンテージがすぎる。ここは諦めて素直に認めよう。最悪、私の考えた魔法が全てこの世界で使えるんだとしたら、精神干渉呪文は作っておいたから放って、どうにでも出来るしね。


 それに。どうやらこの人は私を引っ立てていこうなんて気がなさそうだしね。腹の内、探らせてもらいましょうか。


「どうして私だと分かりましたか?どうやら失言の前から気づいていたようですけど。」


イーヴァさんは手を上げて周りの騎士達に手を出さないように制した。


「いえ、確信を得たのは失言からです。まあ、私たちの国では危険なのであんなに森の深くまで入るような一般人はいないですし、あれだけの魔法を使える魔法使いの方は国には王宮魔法使いの方しかいませんし、その中には貴女の様な若い女性はいませんから。これでご納得頂けましたか?」


 それに貴女のような変わった服を着た方はいませんしね。と付け加えられ、私は両手を上げて首を横に振った。因みに私の現在の服装は高校の制服であるセーラー服姿。そりゃいないだろうね~。


「降参。使う魔法を変えればよかったのかな。それで?私は断頭台で打ち首になるのかな?それとも絞首刑か。どっちにしろ逃げなきゃいけなくなるね。貴女達を殺してでも。」


 そう言って私は先程までとはまるで違う、とても冷たい目を彼女たちに向けた。後ろの騎士達は顔を青ざめ剣を握りなおす中で、騎士団長だけは相も変わらず笑みを浮かべている。まるで私の目が作られたものだと見抜いているかのようだった。


 これには私も驚いた。戦闘になったとしても正当防衛に持ち込めれば罪悪感は湧かないなーって思ってたのに。


「そんなことはしませんよ、私も命が大事ですしね。ただちょっと聞いてもらいたいお願いがあるのですが、聞いてもらえますよね?」


 ああ、なるほど。私の魔法を利用しようってわけね。うん、私もこの世界の事が知りたいし、渡りに船、ってとこかな。うまくまとめてくれたようだけどこちらに利益がないのは流石に納得がいかないかな?


「分かりました。でも私もちょっとした事情があるのでギブ&テイクにするつもりですけど。それにしても、随分といい性格していますね?騎士団長、いえ、イーヴァさんは。」


そう私が提案するとイーヴァさんはまるで鏡でも見ているかのような私によく似た笑みを浮かべながら了承してくれた。


「構いませんよ。そしてすみません、いい性格で。でも貴女も同じようですけど?自分が捕まりそうな場面でギブ&テイクを提案するなんて、ね。」


「いえいえ、そんなことはありませんよ。ふふふ。」


「ご謙遜を。ふふ。」


 二人してしばらく笑いあった。その間、後ろにいた騎士さんたちが私とイーヴァさんの黒いオーラを感じて震えていたのは私の視界外の出来事だった。


 交渉はいつ何時でもお手の物な真央です。多分自分より相手の方が有利なことが許せないタイプです。でもって自分が相手よりも有利な立場にあると思っている奴を絶望に突き落とすのが大好きです。

 おそらく座右の銘は「他人の不幸は蜜の味」だと思います。主人公なのに・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ