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チートってのも悪くないね。  作者: 葉月 コウ
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私の故郷は・・・

 短くてすみません、この先どうなっていくんでしょうか・・・でも絶対に打ち切りにはしません、どれぐらいかかったとしても!

 というわけで今回もよろしくお願いします。

 買ったスルメを噛み噛みしながら広場に戻ると、スターベアなどの、私が取り出した食材が捌かれ終わり、焼くために窯っぽいところに火を点けようとしている所だった。


「ただいまー。」


「おかえり、ってお姉ちゃん!」


なんかリンが、むっとした顔でこっちへ来た。私何かしたっけ?


「御飯前におやつ食べちゃダメだよ!」


君は私のお母さんか。


「はい、ごめんなさい。」


素直に反省。まあ、またやるだろうけど。反省はするけど実行はしない。それが私クオリティです。


 「うーん、今日は火が付きにくいね。やっぱり潮の日の直後だからかね。」


私達の横で竈の前で火打石を打っていたおばさんが仕方なさげな声で呟いた。


「潮の日?」


訊くとどうやら満月の日による潮の逆流する日を指すらしい。これ以上自分たちの歓迎会のために苦労させるのも悪いので、ここは私が点けよう。


「すみませんがちょっといいですか?」


「?どうしたんだい。」


そう訊きかえしながら竈の前から動いてくれた。私はニコッと笑い返しながら竈の薪に手を掲げて呟く。


「『ファイア』」


ボッという音がして薪に火が付き、勢いよく燃え始めた。うん、これで大丈夫。


「ほお、今のが魔法かい。身近で見てみるとやっぱりすごいねえ。」


「いえ、火を点けただけですから。あと何かすることはありませんか?何なら何か狩ってきましょうか、

と言っても私一人じゃ肉しか取ってこれませんが。」


というと、おばさんはキョトンとした後、笑って、


「あんたは私達を太らせて食べるつもりかい?もう十分だよ。」


と言った。私は魔女か。確かに魔法を使う女の人っていう意味じゃ魔女かもしれないけどね。


 さて、リンも調理班に入ってしまっているし、何しようか。っていうか私から戦闘力抜いたら何が残るんだろう、性格の悪さしか残らない気がするなー。それはいいとして、ほんとに何しよう。


 宴といえば・・・・・・あ!


「あれにしよう!」


思いついた瞬間、私は村の外に向かって、正確には森に向かって走り始めた。後ろからどこに行くんだい?と言う声が聞こえてきたが気にしない。どうせどこに行こうと私が危険になることは無いし、それに。


「『クアリー』」


ちゃんと索敵呪文展開しときますんでご安心を。リンからすれば私が何かしでかさないかと不安だろうけどね。大丈夫、現実世界での宴に欠かせない事の材料を取りに行くだけだからねー。宴というよりは、学校でいう、自然合宿に欠かせないもの、かな。


 村から出たところで『ハルシオン』を唱えて森へと向かう。つくづく思うけど、空飛べるってホントに楽だね、あっという間に着いたし。森の開けたところに降り立つと、ある一定の太さの木、もしくは枝を探す。


「うーん、これでいいかな。」


そう言いながら選んだのは、幹の直径が約四十メートルはある大きな木だ。


「『アウラ』、さーらーに、『アウラ』」


『アウラ』を使って一定の長さに切り落とす。鼻歌を歌いながら同じ太さの木をバッタバッタと切り倒していく。にしても音楽プレーヤーにヘッドフォン、ないかなー・・・


 「よし、こんなもんでいいかな。」


そんなこんなで同じ太さ、長さの丸太を十二本と、それよりも細く、長くカットした木を十数本を揃えるとカードの中にしまい込む。村を出てから約三十分。そろそろ帰らないとリンが別な意味で心配しそうなので戻るとしよう。


「『ハルシオン』」


白い翼が私の背中に生まれる。若干ここで思わなくもない事。それはというと


「瞬間移動の魔法、設定しておけばよかった・・・」


という事。小説を書くにあたって瞬間移動は便利ではあるけど圧倒的に行数が短縮されてしまうので却下した魔法だったが、自分が世界に入ってみると不可欠な魔法だったと分かる。


「失敗したかなー。」


と少し後悔しながらカイの村へと戻る。途中で村の近くにスターベアがいたのが見えたので、『アイスジャベリン』を唱えて上から串刺しにする。確かにチート設定にはしてたけど戦闘の時にチートはある種、つまんないなー。リンとかイーヴァさんがいる時は別だけど。


 自分の今後の小説内容について考えながら飛び続けること約三分、カイの村に帰ってくると村の入り口からでも分かるいい匂いがしてきた。このままだと魔物が寄ってくるんじゃないかなー。と思ったので村の中心にある広場に戻りながら、さっき切ったばかりの『クアリー』を再度発動させておく。そのまま歩いていると向こうから走ってくる人影が見えた。やっぱりばれちゃったかー。


「おねーちゃーん!」


という声が大きくなってくる。『クアリー』も考えものだね、すぐばれる。


「目的も言わずにいなくなるのやめてよー!」


「ごめんごめん。」


心配してくれたんだね、うーん、少しは単独行動自粛するべきかな・・・


「誰かの傷治さなきゃいけないかと思ったよ。」


・・・前言撤回。私の心配してくれてたんじゃなかった。そこまで信用無いかなー、私。まあ、私がケガなんてするわけないっていう信用の裏返しでもあるんだろうけど。だとしたら複雑だなー。


「ちょっとやりたいことがあってねー。その材料を取りに行ってたんだ。」


「・・・安全なんだよね?」


リン、君は私をなんだと思ってるのかな?無差別殺人鬼な扱いを受けている気がするのは気のせいかな?


「大丈夫だよ。私の故郷のお祭りの時にやることだから。」


「ふーん。お姉ちゃんの故郷ってどこだっけ?そういえば訊いたことなかったような・・・?」


あ、しまった。自分で墓穴掘ってしまった。


「ずっと東の方にあるんだけど、すっごい小さい村だから皆知らないんだよね。しかもこっちの四大国と

は文化も全然違うしね。」


嘘は、言ってないけど、やっぱり。どうしてだろう、嘘はついてないのに、今までついた嘘より桁違いに罪悪感がある。


「へー、そうだったんだ。魔王討伐出来たらその村に行ってみたいなー。」


・・・・・・


「ごめん、その村すごい人が少なくてさ。私ともう一人の女の子しか子供がいなくて、村長が私とその子を他の村に移したんだよね。その方が幸せになれるだろうってさ。だからもうその村無いと思うよ。」


「なーんだ、残念。小っちゃい頃のお姉ちゃんの話とか聞けると思ったのに。」


「残念でしたー。」


そう言ったところで向こうからさっきリンと共に料理をしていたおばさんのものと思われる声が、リンと私を呼ぶのが聞こえた。そして声と共に、肉の焼ける香ばしい匂いが、気のせいか、さっきよりも強く流れてきた。うわ、すっごいお腹空いてきた。よし、さっさと組み立てて食べようっと。


「リン、行こう?」


「うん。」


 というわけでマナが墓穴を掘った形ですね。まあ、東にある村っていうのは日本をイメージしたんです。島国って言わなかったのは、リンが「島なんてあったっけ?」みたいになることを警戒したんでしょう、多分。

 話は変わりますが、次話は宴の予定です。よろしくお願いします。

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