女子ですよ、一応・・・
前にも言ったかどうかが定かではありませんが、毎日投稿している方を本当に尊敬しているダメ作者です。ストックを増やすことを頑張ろうと思います。
それでは今回も続読よろしくお願いします。
雰囲気が一気に暗くなってしまっている時だった。
「村長!宴の支度、し始めますよー!」
と三十代ぐらいのおばさんが現れた。って宴?
「おお、そうか。では混ざるとしようか。ウェバ、お前はマナさん達に部屋を案内してやりなさい。突き当りの客間だ。」
「分かった、後で俺も行くよ。」
「ちょっと待って、宴って何ですか?初耳なんですけど。」
そう訊くと村長さんが振り返って説明してくれた。
「マナさん達を迎えるための宴だ。というが基本的にみんな揃って騒ぎたいだけだからな。遠慮することは無いぞ。」
そういう事ならお言葉に甘えよう。行き過ぎた遠慮は謙遜と同じで不快にさせるからね。あ、そうだ。
「ウェバ、ちょっと待って。みんなと一緒に行くよ。」
「え、ああ、分かった。じゃあみんなで行こうか。部屋は後で案内するよ。」
ありがとー。でもってリンと二人で村長とウェバ、おばさんの後ろについていく。少し歩くと大きな広場に宴の準備がされていた。おおー、活気づいてるねー。料理場を見つけたのでそっちを見に行くことにした。
下ごしらえされているのはほとんどが魚と貝の魚介類ばっかりだった。流石は海岸の村、新鮮でおいしそーだね。でもオールで魚介ってのも飽きそうだな。そう言えばあれがあったっけ。
「村長、この村って肉食べちゃいけないっていう掟あります?」
「いや、特にはないが。どうかしたのか?」
ならいいかな。ギルドカードを取り出しながら調理中の女の人たちに声をかける。
「すみませーん、食材追加っていいですかー。」
すると一番手前にいた人が顔を上げて、
「そりゃ、みんなしてかなり食べるからね。いくらあっても足りないよ。」
「それじゃあ、これ使って下さい。」
と言ってドバっと出したのは{スターベア}やら{ワイバーン}やらその他多数の肉や野菜、魚類だ。因みに全て肉ではなく死体そのまま。なので・・・
「キャ―――――――!」
まあ、そうなりますよね、普通の女の人なら。私って女じゃないのかな、この光景見てなんとも思わないって。
いや、もう一人いたわ。この状況に悲鳴あげない女の子。
「あれ、お姉ちゃん。回収したのってワイバーンだけじゃなかったっけ?」
その女の子が訊いてくる。私と一緒にいて慣れたのだろうか。リンの女子っぽいところを削っている感じで悲しくなってくる。
「川下り中に倒したのを回収しといたの。放置しとくのもなんだと思ってね。」
先程リンには寝ている間に魔物は出てこなかったと伝えたけれど、正式には出てきたと伝える必要のある魔物が出てこなかった、ということであり、実際にはスターベアやイーヴァさんと一緒に狩った正式な名前はウリボーンというイノシシ、水中にはピラニアを巨大化させたようなタスクフィッシュなど色々な魔物に出会った。まあ、その全てが『チェインランス』やその他の呪文の餌食になったわけだが。
「それに。」
「それに?」
そう付け足して皆にも聞こえるように声を大にして言う。
「前夜祭や討伐後に祝杯なしじゃ締まらないでしょ。」
調理している女の人たちや村長さん達がポカンとしてから数秒後。先程答えてくれた女の人がカラカラと笑いながらスターベアの腕を持ち上げて
「それはそれは。じゃあ、祝杯上げるために今日は力つけてもらわないとね。楽しみにしてておくれよ。」
と言ってくれたので私とリンは顔を見合わせて笑って女の人に向かって頷いた。
「「はーい。」」
楽しみにしてまーす。あとこの感じだと討伐帰りにさらに狩ってこないとならなくなるんだろうなー。食材無くなって。いや、タコなんだから化け物食えばいっか。
その後リンは手伝うと言うので、女の人に頼んで準備に参加させてもらい、私はウェバに一言言って、部屋の様子を見に行かせてもらった。
「へえ、外から見てて予想してたけど結構きれいなんだね。」
案内された通りに一番奥の部屋のドアを開けると、少し殺風景なだけで、普通の小ざっぱりとした部屋だった。まあ、一つだけ問題があるとすれば、いや、私にとっては全くと言っていい程問題ではなく、むしろ大歓迎なんだけれど。
「ベッドが一つしかないのは何故なんだろうか。私にリンを襲え、ということなのかな。」
私からすれば全然オーケーなんだけど。あ、全然の後には否定形しかこないんだっけ。リンには逃げられるだろうな。
そんなアホなことを考えた後、窓を開けることだけして外に出た。ただ戻るのも何だったので来るときに見つけた小さな露店をぶらついてから帰ることにした。二店目の露店を覗いてみると、
「あ、こっちに世界にもスルメってあったんだ。」
何のイカかは分からないけど現実世界とそう変わらない、醤油七味マヨネーズが如何にも合いそうで、噛みごたえのありそうなスルメが天井からぶら下がっていた。
女子高生らしくないって?文句はお父さんに言って。この食べ方を私に勧めてきたのはお父さんなんだから。でも冗談抜きに美味しいんだよね、スルメの醤油七味マヨネーズ。とりあえず買い、だね。
「すみませーん、誰かいらっしゃいませんかー」
声をかけてみると隣の家から十歳くらいの女の子が出てきた。女の子は私の傍に来て
「何をお買い求めですか?」
と小首を傾げて訊いてきた。その仕草に心を打たれ、スルメの他にもホタテ?貝の一夜干しと甘辛く味付けされた煮干しを追加して買った。可愛いって一つの商売技だよね。
しかし提示された値段たった五百クラムと安くて驚いた。流石漁師町、価格破壊もいいとこだね。お金を払って、店から出たところでスルメのゲソの部分を千切って噛み始めた。
噛めば噛むほど味が出てきて美味しいわ。帰りがけにあったらもう一杯買っておこう。そういえばイカの助数詞って杯、なんだよね。まあ、どうでもいいけど。
さーて、戻りますかー。
マナはれっきとした花の女子高生です、念のため。でも本当に美味しいんですよ、スルメの醤油七味マヨネーズ。塩分の摂りすぎになるよ、と母には注意されてしまいましたが・・・
では、次話もよろしくお願いします。




