蛙の義妹も・・・
お久しぶりです、っていつの間にやら50ptに到達してる!本当に感謝感謝です。そして私事ですが、なろうコンに応募してしまったのですがどこまで行くかな~というのと、一次落ちかな~というのが両方です。来月下旬が怖いです・・・
あ、長々とすみませんでした。では続読お願いします!
トントントン
「ん・・・もう朝?」
家庭的な包丁を刻む音によって目が覚めた。異世界に来る前はばあちゃんに起こしてもらっていたけど、包丁の音に起こされたことはなかったなー。寝袋から這い出して周りをうかがうと、リンが包丁で何かを切っていた。私の呟きで気づいたのか振り返ってこっちを見た。
「あ、起きた?おはよう。」
「おあよー。ふわぁ。」
あくび混じりで返事をすると、リンはくすっと笑った。まな板の上を見ると、朝に一人で取ってきたと思われる野菜が刻まれていた。
「リン、一人で取りに行ったら危ないでしょ?勝手に行ったりしないで。」
「ちゃんと結界内にいたから大丈夫だよ。っていうかすっごく広かったよ、結界。あそこまで広く張る必
要ないんじゃない?おかげで野菜いっぱい採れたけどね。」
あれ、そんなに広く張っておいたっけ、と思って結界に意識を向けると、夜に意識的に張った広さの直径の約二倍になっていた。消えない様に、消えない様にって思っていたから無意識的に広げちゃったかな。
「でも、何かあったからってすぐにリンのとこに行けるわけじゃないから、やめてね。リンがいなくなったら私、この世界を滅ぼしかねないから、ね?」
「・・・そんなことまで、・・・するかもね、お姉ちゃんなら。」
当然。リンから両親を奪っただけでなく、リン自身も消した世界なんて私が許すと思う?禁忌魔法を総動員して滅亡させてやる。神?運命?知ったことか。そんなの、私の前には塵も同じなんだから。
「それじゃあ手伝うよ。朝ごはん何?」
「お姉ちゃんって朝弱かったから野菜スープだけでいいかなって思っているんだけど。」
「さっすが、分かってくれてるね。じゃ、『ファイア』。」
リンが野菜集めついでに薪も拾ってきておいてくれていたのでそこに魔法で火を点けた。やっぱ便利だね、魔法って。今気が付いたけど、水を生み出すために複合魔法を編み出したけど、よく考えたら『リキッド』っていう簡単な『ファイア』レベルの魔法あったんだった。
「簡単すぎる、ほんとにお姉ちゃんの魔力の底って無いよね。」
ん?何か言った?まあいいや。それから数分程リンと一緒に野菜を刻む。
トントントントントッ
「痛っ・・・」
あー、指切った。包丁とかで切るとしばらく痛み残るし、あのじくじく、地味に辛いんだよね。
「お姉ちゃん、指切っちゃった?」
そう思っていたらリンが少し慌てたように訊いてきた。
「うん、今まではあんまり料理しなかったからねー。」
現実世界で一応やったことはあるけど、包丁を使うレシピが少なかったからあんまり使ってなかったんだよね。元々そんなに料理うまくなかったし。
「お姉ちゃん、指出して、治すから。」
そういえば治癒魔法使えるんだった。その思考が伝わったのか
「何で私の事連れて来たの?」
と呆れ声を出されてしまった。え?私の心の安らぎの為だけど何か?リンが私の指に手をかざして集中する。
「『女神の加護を受けし精霊たちよ。癒しの力を持ちて傷を治したまえ』」
そう唱えるとリンの手に私の『コーサスルクス』の様な眩い光とはまた違う、温かな光が灯った。その光が傷口に当たると温かな感じがした。あったかいなーと思っていたらさっきからあった、じくじくとした痛みが消えていた。あれ?と思って指先を見ると包丁で切った傷が跡形もなく消えていた。
「これが回復魔法かー。便利だね、これならケガしても大丈夫そうだね。」
「でもお姉ちゃんをケガさせられる様な敵がいないと思うな、まず第一に。」
それもそっかー。じゃあ、なんか日常的にケガした時にお願いするよ。ぽわーっとして気持ちよかったし。
待てよ?わざとケガすれば・・・
「わざとケガすれば回復してくれるんじゃ、とか思ってない?」
「・・・オモッテナイヨー。」
「思ってたんだね。」
そんな軽口を叩きながら料理を再度始める。といってももう材料は切り終わっていたから煮込むだけだったけど。
具材、調味料を入れて煮込むこと十数分。目の前には昨日の夕食とは違った、体にやさしそーなスープが出来上がっていた。おいしそうだね。リンに盛ってもらって、いただきますを言って食べ始めた。
「野菜の甘みがいきてるねー。おーいし。」
「喜んでもらえてよかった。それにしても今日はどこまで行くの?」
「うーん、そうだねー・・・」
ぶっちゃけ二日目にして空の旅、飽きたんだよね。かといって陸路で行くと時間かかるし。どうしよっかな。
そこまで考えた時、私のスープの中にあったネギっぽい野菜の上に、豆が乗っかっていたのが目に入った。あ、面白そーなこと思いついた。
「何か思いついた?」
「とりあえず食べ終わったら近くで川探そう。んでもって川下りをしようか。どうせ目的地は海なんだ
し。」
「かわくだり?」
こっちの世界には川下りって無いみたいだね。下っている途中に魔物に襲われたら足元は不安定だわ、動ける範囲が狭いわでマイナス要素しかないからね。
まあ、私にとってはそんなのハンデにすらならないけどね。飛んで火にいるなんとやら、だ。森の中だからさすがに火は放てないけどそれに準じる何かはお見舞いしてあげるつもりだ。
「面白いと思うから楽しみにしててね。」
「うん。」
二人して御馳走様を言って食べ終わると、昨日作っておいた『アイスジャベリン』と『ファイアーケージ』の複合魔法の水を使って洗い物を終える。『リキッド』よりはめんどいけど、ホントに便利だね、複合魔法。他にも使えそうなの考えておこう。
「それじゃ、とりあえず川を探そっか。飛ぶよー。」
「了解です、準備いいよー。」
後ろからリンを抱きしめて、
「うーい、じゃあいくよー。『ハルシオン』」
と呪文を唱えて地面を蹴って飛び上がり、そのまま翼を羽ばたかせて風に乗る。やっぱり気持ちいいな、空を飛ぶのは。しばらく飛んだ後、
「あ、あったよ!川。」
「りょーかい、じゃ、降りるよー」
リンが見つけてくれた川のほとりへ降り立ち、周りを見渡した。うん、結構しっかりした木がたくさん生えてるね。これならいい筏が作れそう。
「で、どうするの?魔法で川下るの?」
それはそれで出来る複合魔法があるだろうけど面白くなさそう、というかめんどくさそうなので却下。
危ないからリンには森から離れてもらい、呪文を詠唱。使う呪文は『アウラ』。何十発も撃って、水の抵抗を出来るだけ抑えられる様な形に加工した丸太を川の広さの十メートル強に合わせて五本用意した。チェーンソーみたいなもっと使いやすい切断方法ないかなー。
「次は、っと。」
確か拷問用にいくつか設定しておいたはずだから・・・。
「リン、ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね。」
「うん?何するの?」
ちょーっとね。リンに向かってする必要性はないし、他の呪文もあるんだけど。
「『バインディングチェイン』」
「きゃっ!?」
指定されていたリンの体に数本の鎖が巻きつき、リンを拘束する。『バインディングチェイン』は捕獲兼、拷問用の魔法であり、鎖の端っこは私の手の中にある。引っ張れば鎖が相手を締め付けるけど、流石にリンにはやらない。イーヴァさんにやればあのかわいい方の声で啼いてくれるかな。やばい、ゾクゾクしてきた。これやった後なら十三階段上っても悔いないわ。
因みに何故この呪文を選択したかというと、ただ単純に一回、生で縛ってみたかったし、見てみたかったんだよね、縛られてる女の子。出来れば縄の方が良かったんだけどね。そこまで高望みはしません。
まあ、自分も女の子だけど自分縛るわけにもいかないし。Sっ気はあってもMっ気は無いです。っていうかこの状況を綾とかに見られたら完全に絶交宣言されるな・・・。うん、ごめん、綾の言う通り、悪魔の方がマシかもしれない。やめよう、悲しくなってきた。リンの縛られている姿はいいと思うけど。
「ごめん、これから解いて一本の鎖にするから我慢しててね。」
「・・・」
リンは無言だった。
「どうしたの、リン?」
「・・・ねえ、お姉ちゃん。」
大分低い声が返ってきた。流石に背筋を伸ばす。
「私を縛る必要性あった?お姉ちゃんなら他の呪文もあったと思うんだけど。」
・・・・・・
「ごめんなさい、欲望混ざってました。」
こーいう時には正直に謝るに限る。
「混ざってた、というよりはほとんどが欲望だったよね、多分。」
必要性二、欲望八の割合だったからね、あの行動は。いや、一・九かもしれない。
そこからは二人無言で私はリンの鎖を解くのを、リンは私が鎖を解くのを待っていた。そして全部解き終わったと同時に
「すみませんでした。」
土下座である。正直に言うと解いている間に何回か鎖を引っ張って啼かせたい衝動に駆られたけど、反省をして何とか踏みとどまりました。
リンはジトーッとした目で私の土下座を見ていたけど一つ溜息をついて
「何かあった時に私の言葉をちゃんと聞くこと。それで許してあげる。」
と言ってくれた。一回分の首輪かー。代償としては軽いね。立ち上がった私にリンが一言。
「でもってお姉ちゃん。あれってイーヴァさんにやったら楽しいと思わない?」
その目はお風呂に入った時のようにキラキラしていた。蛙の子は蛙であるというが、蛙の妹も蛙であったらしい。
マナがリンに首輪をつけられ、イーヴァさんが狙われる、というお話でした。まあ、題名通りでした。多分イーヴァさんは執務室でくしゃみをしていただろうと思います。
さて、これからは一週間に一話、もしくは気分が乗れば二話ずつという感じで投稿していきますので続読よろしくお願いします!




