傍若無人ですが何か・・・
執筆と投稿スピードが比例していないため、ストックが少なくなってきていて怖い作者です。4月以降の安定連載では一週間に一話というペースでいこうと思ってるのですが、若干危うくなってきています・・・
頑張りますので、短いですが続読お願いします。
ボソッと唱えた『クルスト』という呪文の効果はというと。
「お、お姉ちゃん!何したの!?」
リンの泣きそうな声があがった。理由はというと、私たちの目の前にいる、
「ギャアアアアアア!」
「グルアアアアアア!」
という鳴き声を上げているワイバーンと種類の違う翼竜が七匹ほど、こちらを威嚇しながら飛んでいるからである。
「いやー、ここまで集まってくれるとは思わなかったな。」
「集まった!?今集まってくれたって言った!?集めたの、これ!」
あ、口が滑った。そう、『クルスト』は自分に対して魔物を集めるという効果を持つ呪文なのだ。全く、レベル上げや注意引きつけの呪文もまさか暇潰しに使われるとは思っていなかっただろう。使った私が言うのもなんだけど。
「そんな事より、リン。」
「そんな事で済ませられる状況なんだ、これ・・・状況なんだろうなー、お姉ちゃんにとっては。」
理解が早くて助かります。今日のメイン(夕食の)は確保してあるから今回は討伐目的でいい訳だから、攻撃魔法を使おう。もちろん禁忌魔法以外で。
「ごめん、強化の魔法かけとくから、腰に掴まっていてくれる?」
「はーい。」
「じゃあ掛けるよ。『インテシオ』」
「わ、なにこれ。なんか体の中から力が湧いてくるみたい。じゃあいくよ、お姉ちゃん。」
ギュー。
「いっ!」
いったーーーーー!痛い痛い、っていうのは言い過ぎだけどリンの力を考えていたら結構痛かった。
「あ、ごめん。」
リンはそう言って、少し力を緩めてくれた。ふう、では改めて。
「さて、攻撃魔法のオンパレードといきましょう。観覧したい方はイーヴァさんあてに百万クラムを送ってチケットをお買い求めください。」
「ここまで来れないでしょ、普通。っていうか高いよ!」
突っ込みありがとう。それでは開演といきますか。では手始めに真ん中にいるワイバーンに手を向けて呪文を唱える。
「『フレイムブラスト』」
すると手のひらから火炎放射器の要領で炎が飛んでいき、逃れようとしていたワイバーンをのみ込んだ。たーまやー。
そして戦闘と書いて「じゅうりん」と読む戦いの火蓋が飛龍の落下と共に切って落とされた。
自分で言っててこんがらがりそーだね、これ。
ま、それはともかく。炎の次は氷って相場が決まっている、という私の偏見により、さっきのワイバーンの左にいた奴に狙いを定めて、右手を高く掲げ次の呪文を唱える。
「『アイスジャベリン』」
しかし、何も起きない。ワイバーンは次に何が起こるか恐れていたようだったが、何も起きないことに安心したのか、私たちに突っ込んできた。
「お姉ちゃん?」
リンが、どうしたの、と言いたげな声と目を向けてくる。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。だって、
「はい、残念でした。」
そう言って掲げていた右手を振り下ろす。すると上空から氷で出来た美しい槍が、突っ込んできたワイバーンを貫いた。これに火を通せばワイバーンのシュラスコの出来上がり!うまいのかどうかは別にして。あ、まず槍が溶けるかも。リンは呆れたような声で、
「いい性格してるね、お姉ちゃんって。」
「お褒め預かり光栄でございます。」
「いや、褒めてないし。」
一瞬の間もなく全否定された。お母さん、妹がいじめるよー・・・あ、絶対自業自得って言われるな。
あー、自分で集めといてなんだけどめんどくなってきたな。一掃するか。
「ねえリン、『フュレンツアウラ』って知ってる?」
それを聞かれたリンは目を丸くして慌てた様子で
「それ、禁忌呪文だよ!」
と教えてくれた。大変博学で嬉しいですが、どうやって倒そうか、こいつら。
「もしかして、その呪文を使えて、ワイバーンを一掃するつもりだった?」
ギクッ。
「ソ、ソンナコトナイヨー。」
「そうだったんだね。本当に何者なの、お姉ちゃんって・・・」
「ただのシスコンのお姉ちゃんだよ?」
「はぁ。」
溜息吐かれた!もういいや、禁忌レベルじゃない広範囲魔法使おうっと。
両手を広げ集中する。するとその両手に白く眩い光が生まれた。そこで私はニヤッと笑った。
「さて、そろそろ飽きたんで逝ってくれるかな?」
「自分で集めておいて・・・なんて理不尽で身勝手な理由・・・」
リンの再びの呆れ声と共に光球が空高く昇って行った。
「『コーサスルクス』」
私の声が合図となり、私たちがいる場所以外無差別に断罪の光線が降り注いだ。
「おおー、自分で作ったけど絶景かな絶景かな。」
光線が止んだ時には私達の周りには一匹のワイバーンすら残っていなかった。リンは唖然とした顔をして、
「聖属性の古代上級魔法・・・もういいや。いちいち驚いてたら切りがなさそうだから。」
と呟いた。
もう今日は魔物相手も飽きたからさっさと飛ぼうか。忘れてたけどその前に。
「リン、体ちょっと怠くなるけど我慢してね?」
「え?うん。でもなんで?」
「『インテシオ』解くから。反動でちょっと怠くなるんだ。」
そう言ってリンにかけていた『インテシオ』を解除。
「うわ、結構くるんだね、これ。」
「この後戦うつもりもないし、あったとしても何とかするから寝ててもいいよ。」
「ごめん、そうさせてもらう。おやすみ、お姉ちゃん。」
目を閉じると割とすぐに、すーすーという寝息が聞こえてきた。後ろから抱いていた姿勢を変えてお姫様抱っこに変更する。そしてリンの顔を除くとそこには安らかな寝顔があった。それを見ながら呟く。
「反動が来てるとはいえ、魔物をあんなに目にした後でこれだけすぐに、安らかに眠ってくれるなんてね。」
信頼してもらえているんだろうな、とくすぐったい気持ちになりながら先ほどまでよりもスピードを落として、なるべくリンに震動と雑音がいかない様に気を付けて飛んだ。
というわけで、『クルスト』は注意を引き付けるための呪文でした。因みに普通、あんな使い方はしません。マナだけです。そして二つ目が出てきました、禁忌魔法。マナの魔法の中にはまだまだ禁忌魔法が眠っています。いつか使われる日がくるんでしょうか・・・
というような伏線を残したところで、ではまた次話もよろしくお願いします。




