〇〇〇イベントって大事だよね・・・
全国のマナと同じ高校三年生の皆さん、センター試験お疲れ様でした!
今回の話は前話の後書きに書いたようにあのイベントが発生します。あのイベントとは一体?と、いうわけで続読よろしくお願いします!
教会でベルさんたちと別れてから向かった市場通りで、私とリンは予てから欲しいと思っていたパジャマ(こっちでは寝間着という方が一般的らしい)を探して店に入っていた。
「あ、これ寝やすそう。生地が柔らかくていいな。えっと?四千円、いや、四千クラムか。これは買いかな。リンは何か良さそうな寝間着あった?」
「これがいいんだけど、ダメ?」
と渡してきたのは、胸の部分に星のアクセントが付いている薄い青色のパジャマだった。早速脳内でリンがそれを着ている姿を想像する。よし、合格!
「オッケー。」
と言いながらチラッと値札を見る。値札には三千クラムと書かれていた。それを見て少し嬉しくなる。この前に訪れた店では遠慮して、セール品のパジャマを差し出してきたからね。家族なんだから遠慮なんてしないの、って言ったらごめんなさいって謝っていたから二度はしないだろうと思っていたけれどやっぱり嬉しいものだ。
とりあえず買うものが決まったので店員さんを呼んで、選んだものを袋に入れてもらって清算を済ませる。受け取ろうとしたらリンが先に手に取って、
「私が持つよ。」
と言ってくれた。ああ、かわいいなー。
パジャマを買って、別な店で下着を買ったところでいい時間になったので寮へと戻る。戻らないと夕食を食べ損ねてしまう。正確には夕食を食べられないことよりも、何故夕食までに帰ってこなかったのですか、というイーヴァさんの説教の方が怖かったりする(想像だけど)。なので少し早歩きで帰った。
「わぁ、今日もおいしそうです。」
リンが目をキラキラさせている。今日の夕食はクリームシチューだった。中に入っている野菜は分からないけど見た目は前いた世界と変わらない。ああ、ばあちゃんの作ってくれるシチューも久しぶりに食べたいなーと若干ホームシックになりながらもお代わりをして満腹。灌漑?なにそれ美味しいの?
どっちにしろ目の前にある御馳走をたべなければ始まらない、っていうかもったいない。シチューに入っていた肉は何かと隣で食べていたイーヴァさんに聞くと、鶏型の魔物の肉だそうでさっぱりとしていて、コクのあるシチューにはぴったりだった。
「さて、お腹もいっぱいになったし。お風呂に入ろうか、リン、そしてイーヴァさんも。」
「うん!」
「え、私もですか?」
リンは頷き、仕事に戻ろうとしていたイーヴァさんは驚いた顔をしている。まあ、この世界来てから四日目だけど誘ったことないからなー。
「うん、みんなして入った方が楽しいしね。仕事が無ければ一緒に入らない?」
私の誘いに少し思案したように天井を見ていたが、後回しにしても大丈夫な仕事だったようで、
「分かりました。じゃあ準備が出来たら呼びに行きますので部屋で待っていてください。」
「「はーい。」」
二人揃って答えて部屋に入って今日買った下着とパジャマを開けて準備しつつイーヴァさんが来るのを待っていた。すると、三分後ぐらいにドアがノックされたので三人そろって大浴場に向かった。
「イーヴァさんって騎士団に務めていらっしゃるのにすごく肌きれいですよね。」
「そうですか?あまり気にしたことはないのですが。」
感激した様子でリンが声を上げる。現在、体を洗い終わり、浴槽に入っている状態である。にしても確かに本当にきれいだった。すべすべで、ほとんど傷も無い。スキンケアに興味のない私でも見蕩れるほどである。
リン、イーヴァさん、私の順に並んで浸かっていて、そのきれいな背中がもろに見えるのでその背中に少し悪戯をしてやろうと思った。
ので、ありがちだけどイーヴァさんの首筋から腰のあたりまで一気につつーっと背骨の辺りを人差し指で撫でてみた。すると、
「ひゃうっ!」
風呂場に数秒の沈黙がおりた。
・・・え?今の誰の声?すんごいかわいい声が聞こえたんだけれど今のリンの声じゃないし、他に入っている人もいない。っていう事はまさか・・・
周りを見回した後、イーヴァさんの方へ視線を戻すと、彼女は口をおさえて赤くなっていた。
私はニヤーと嫌な笑みを浮かべる。
「イーヴァさん、随分とかわいい声を上げるんですね?」
「い、いえ?な、何のことでしょうか?」
声が若干震えていた。その反応に私だけでなくリンの目にも怪しい光が灯る。そして私の心の声とリンの心の声が一致した。
((この人、いじったら相当かわいい人だ!))
と。義理ではあるが、姉も姉ならば妹も妹である。そんな不穏な空気に挟まれたイーヴァさんは慌てたように湯船から腰をあげて
「じゃ、じゃあ、私は先に失礼しますので二人ともゆっくり温まってくださいね。」
と出て行こうとした。が、リンだけならともかく、スイッチの入った私から逃げられるとでも思っているのだろうか。スイッチが入っていなくてもこんなにかわいい反応をしてくれる人を逃がす気は一切ないんだけれどね。私はイーヴァさんの右手を掴み湯船に引き戻した。
「ど、どうしましたか?」
さっきより声が震えていた。さらに不穏な空気の濃度が増す。堪えられなくなったのか、今度はリンがイーヴァさんの背筋を再びなぞる。
「ひゃ・・・」
後半は意地でも声を出さなかったようだけど少し最初に漏れ出たね。さて、どうしてくれようか。よくみてみると、イーヴァさんの近くの水面が波立っていて、声だけでなく体も震えていたことに気付いた私はもう我慢できなくなった。
「リン?」
「はい、なんでしょう、お姉ちゃん。」
リンの声は若干弾んでいた。まさに目の前に餌を見つけたライオンの様に。そのライオンと私自身に向かって指示を出した。にっこりと笑いながら。そしてその表情を真正面に見せられたイーヴァさんは絶望の表情を浮かべる。指示の内容は簡潔。
「かかれーーーー!」
その号令とともにリンと私はイーヴァさんの体をくすぐりまくった。
「ひゃっ、ふ、二人とも、ひゃう、や、やめ、」
「リン、そっちは任せた。」
「了解、お姉ちゃん。」
「お姉ちゃんではない、隊長と呼べ!」
「失礼しました、隊長!」
ノリが若干おかしくなりつつあった。
「た、隊長って、ちょ、ほんとに、ひゃ、ちょっとまって、ひゃう!お、お願いだから、ひう、も、もうや、やめて、お、ひゃっ、おねがい・・・」
もちろんやめる私達ではない。最終的にイーヴァさんが酸欠になって気絶するまでの約五分の間、くすぐり地獄は継続されたのであった。めでたしめでたし。
まぁ、イーヴァさんからしたら、たまったものではないかもしれないだろうけど。
とりあえず気絶してしまったイーヴァさんの体を拭いて服を着せた後、彼女を部屋(イーヴァさんの自室)のベッドに寝かせて、電気を消して私たちは部屋に戻った。私とリンの肌が入る前より圧倒的につやつやしているのはお風呂に入ったのだけが理由ではないだろう、絶対に。自分で断言できるわ、これ。
「明日イーヴァさんに怒られるよね絶対。どうしようお姉ちゃん。」
確かに。ほとぼりが冷めそうな昼までどこかに逃げようか。さて、どこにしようかな・・・っとそういえばちょうどいいところがあった。
「じゃあ明日は昼までギルドに逃げ込んじゃおっか。小遣い稼ぎつつ、ね?」
「どっちにしろ怒られる気がしないでもないけど。」
同感。でもとりあえず先延ばし!
と、いう訳で。
「おやすみー。」
そう言ってベッドにもぐりこむ。しかし、リンからストップがかかる。
「あ、お姉ちゃん!まだ髪がちゃんと乾いてないよ。明日髪すごいことになるからちゃんと水気取らないと。」
「えー、眠いんだよー、寝かせてよー。」
「もう、お姉ちゃんったら。私がやってあげるからせめて体起こして、寝てていいから。」
「ほわーい。」
あくび混じりの私の返事にリンは呆れながらもくすっと笑ってくれた。体を起こすと頭にタオルがのせられ、リンが髪を拭いていってくれる。ああ、ほんとにこれ気持ちいいわ。明日からもやって、もらおう、かな、
そんなことを考えながら私は眠りの中に落ちていった。
と、いうわけで〇〇〇イベントとはお風呂イベントでした。すみません、作者の力が及ばず、半端なイベントになってしまいました。次のイベントは・・・どうしよう?提案していただける方は感想にお願いします。
感想といえばポイントを入れてくれた方が!しかも八ポイント!ありがとうございます、頑張ります!というわけで次話もよろしくお願いします。




