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優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?  作者: 木山楽斗


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71.子供の相手は

「はあ……」


 馬車の中で、対面のエルメラはゆっくりとため息をついていた。

 その表情からはなんというか、億劫であるということが読み取れる。ただ不機嫌な顔はしていないので、これから向かう先へ複雑な思いがあるということだろう。


「イルティナ嬢、目的地までは後どれくらいかかるのですか?」

「まあ、後十分くらいでしょうか?」

「なるほど、そろそろ心構えを作っておかなければなりませんね」

「ええ、そうですね」


 私は隣に座るドルギア殿下の言葉に、ゆっくりと頷いた。

 彼は暗に、エルメラのことを言っているのだろう。確かにこの状態のままで放置しているのは良くない。少しエルメラを奮い立たせておいた方が良いだろう。


「エルメラ、そろそろ着くから、少し気持ちを切り替えてもらえないかしら?」

「気持ちの切り替え、ですか? 難しいですね。これから向かう場所を考えると……」

「そんなに嫌なの? 孤児院の子達は、皆いい子よ?」

「私、子供は苦手なんです」


 エルメラは心底嫌そうという顔はせず、どちらかというと残念そうな顔をしていた。

 それは恐らく、別に子供が嫌いであるという訳ではないからだろう。どう相手したらいいのかわからないとか、そういう話である気がする。


「子供は何をするかわかりませんし、何を考えているかもわかりません。私にとっては、ひどく不条理な存在です」

「そんなに難しいことではないと思うわよ? 好意を持って接すれば、好意を持って返してくれるし……」

「それはお姉様が、子供の相手に慣れているからそう思うだけですよ」

「自分の子供時代とかを、思い出して考えてみたら……」

「私は捻くれた一般的ではない子供でしたので」


 エルメラは、とても萎縮していた。

 優れた魔法使いである彼女は、不条理には力で対抗する。しかし、この不条理には流石に力では対抗できないと、理解しているのだろう。その表情は、とても暗い。


「……エルメラ嬢の気持ちはわかりますよ。僕も末の子ですからね。兄上や姉上に比べると、子供に対する対応が上手くないと思っています」

「いえ、一緒にしないでください」


 ドルギア殿下からのせっかくのフォローも、エルメラはすぐに切り捨てた。

 それは流石に、辛辣過ぎるのではないだろうか。ドルギア殿下の優しさを無下にするなんて。


「ドルギア殿下は、そう言いながら子供の相手をそつなくこなす人です。私達は違います」

「いえ、そんなことは……」

「いいえ、絶対にそうです。だから下手に共感したりしないでください」


 理由を聞いたことによって、私は自分が勘違いしていたことを悟った。

 ドルギア殿下には悪いが、エルメラの言っていることはもっともだ。思い返してみると、彼は今まで子供の相手もそつなくこなしていたような気がする。

 私はエルメラのことも知っているため、ドルギア殿下の言葉があまり寄り添えていないと、気付くべきだっただろう。エルメラに対して申し訳ないことを思ってしまった。少し反省するべきだろう。

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