表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/71

42.気味が悪い笑み

 ドルギア殿下が来られた日から一日が経って、私はエルメラとのお茶会に臨んでいた。

 エルメラはいつも通り、不機嫌そうな顔をしながらお茶を飲んでいる。この妹は、昨日のことなどを話す気なんてないのだろう。


「エルメラ、あなたに聞きたいことがあるのだけれど」

「……はい、なんですか?」

「どうして私とドルギア殿下の婚約を望んだの?」

「……」


 私が質問をすると、エルメラはゆっくりとその動きを止めた。

 彼女はティーカップを置いて、私をその両の目でしっかりと見据えてきた。その視線は、とても力強い。


「ドルギア殿下から聞いたのですか?」

「いいえ、なんとなくわかったのよ。お父様の様子とか、あなたの様子とか、ドルギア殿下の様子とか……端的に言ってしまえば、おかしかったもの」

「なるほど……まあ、私も平静でなかった自覚はあります。ドルギア殿下だって、そうだったでしょう。お父様には、最初から期待していませんでしたが」

「辛辣ね」


 エルメラは、ゆっくりとため息をついて、ティーカップを再び手に取った。

 それを私は、エルメラが動揺していると捉えた。今彼女は、紅茶に頼らなければならない程に、焦っているのだ。


「だけど、わからないの。あなたがどうして私とドルギア殿下の婚約を望んだのかが」

「さて、どうしてなのでしょうね。予測くらいは、あるのではありませんか?」

「……単純に、私の幸せを願っているとか、ではないような気がするのよね。だってあなたは、私の婚約の話となると、とても不機嫌そうにするし」

「え? ああ……」


 私の言葉に、エルメラは少しばつが悪そうな表情をしていた。

 この妹にしては、珍しい表情だ。それが何を意味するのかは、よくわからない。私に対して、申し訳なさなどを覚えているのだろうか。


「……まあ、簡単な話ですよ。私は王家との繋がりが欲しくて、お姉様を利用している。それに対して多少の罪悪感くらいはあるから、ぎこちない態度になってしまうのです」

「それは嘘ね」

「……どうしてそう断言できるのですか?」

「これでもあなたの姉だもの。あなたの性質は多少理解しているつもり。私の知っているエルメラは、王家との繋がりなんて欲しがらない。そんなものは不必要だと鼻で笑うのがあなた……って、これはちょっと失礼かしらね?」

「……はー」


 そこでエルメラは、ゆっくりと俯いてため息をついた。

 私の予測は的外れだったということだろうか。呆れられてしまっているなら、少し恥ずかしい。

 そう思っていた私は、直後に目を丸めることになった。顔を上げたエルメラが、少し気味が悪くなるような笑みを浮かべていたからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ