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優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?  作者: 木山楽斗


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32.愚かな凡人(エルメラ視点)

「何故呼び出されたかは、わかっているな?」

「……先日の第三研究所のことですか?」

「ああ、勝手に抜け出して、心配したぞ。しかもそこでお前は、手を出したな?」

「先に手を出したのは、あちらの方です」


 第三研究所の件は、当然のことながら問題となった。

 あれから所長は、記憶に関する障害に苦しめられているらしい。


 私としては、いい気味だとしか思えない。そもそも、あちらが余計なことをしなければ、こうはならなかった。自業自得である。

 しかしながら、人に対して魔法を行使するのは場合によっては犯罪だ。それが問題になったといった所だろうか。


「もちろん、それはわかっている。だが、お前のやり方は短絡的過ぎだ。諸々の事情も含めて、今回は情状酌量となったが、次はこうはならないかもしれない」

「もっと上手くやれと、お父様は言いたいのですか?」

「……少なくとも、このように直接的に危害を加えるのは感心しない」


 第三研究所が悪かったということは、お父様も承知しているのだろう。その表情は、なんとも微妙なものだった。

 厳しいような態度を見せることはあるが、お父様は基本的に親馬鹿だ。お姉様に危害を加えようとしていたり、私を手に入れようとしていたりしたあの所長に対して、何かしらの策を行使していたのかもしれない。


「お父様がそのような考えなのは、助かります。しかし、私は今回の件で一つだけ学びました」

「一つだけ、なのか?」

「ええ、それは私の存在がお姉様の危険に繋がるということです」


 あの所長は凡人であり、私に与えられるものなんて一つもないと思っていた。だが今回の件を通じて、あれは私に重要なことを教えてくれた。

 お姉様は、私の弱点として狙われてしまうのだ。伯爵家の令嬢に手を出したらどうなるのか、それをわかっていても、私の偉大なる才能は相手の判断すら狂わせる。


「私には怖いものなどありません。理不尽には理不尽で対抗していくつもりです。自分のわがままも通します。なぜなら私には、それができるだけの力がありますから」

「……」

「しかしそれでも、万が一ということが怖い。お姉様に危害を加えられる。その事実だけで、足が震えるのです。お姉様に抱きしめて慰めてもらいたい。でも、それはやめておきます。仲の良い姉妹でいたら、またお姉様が狙われるかもしれないから」


 考えてみれば、最初からそうだったのだ。

 私という存在が傍にいると、お姉様を傷つける。命の重みを知ったあの日、私はそれを認識するべきだった。


 だけど結局私は、今となってもお姉様との関係を断ち切れていない。

 私はどこまでも弱い人間だ。本当はわかっている。私も愚かな凡人の一人でしかないのだということを。

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