悪いけどこの神社は潰れてほしい
正月、何を願いましたか?
「仕事から解放されてる、正月。
いいなあ! 正月というものは!」
笑顔で僕は言う。
仕事をしなくていい、あんな子供の世話をしなくていい。実に素晴らしい。
一生正月でいい。
神社には行かない、仕事を考えたくないから。この休みの間だけは、自由に。渡された少ないお金で楽しむ。
だが、翌日。
『家』で目を覚ます。
「…仕事したくない」
神社の『普通のヒト』からは見えない『家』、そこの部屋、布団の中で呟く。
考えたくない。
皆の『願い事』なんか。
仕事はじめは、事務処理。
面倒臭い、すごく面倒臭い、事務処理。
「ひー」
「さっさとまとめてっ、いい?分かりやすい字で、綺麗にジャンル分けして、かつ、この神様の私が楽しめるようなギャグを所々に入れるっ」
「ひー」
『家』の事務室で仕事をする。
神社で願い事をする。
そしたら、このノートに自動で書かれる。
この正月の間に書かれた、皆の願い事。
ジャンル分け。すぐに叶えてあげることができそうか、無理な願い事か、時間は掛かるが頑張れば叶えてあげることができそうか、など。それを、別の、いくつかのノートに、僕が書いていく。
それなりに、人気のあるこの神社。
だけど、手が壊れるんじゃないかってくらいに、願い事はある。
「世話しなかったじゃん、この、私があげた休みの間、全く世話しなかったじゃんっ。神様に仕える人なのにっ」
地団駄を踏む神様。
中学生か、小学生くらいの、女の子の神様。年齢は僕よりも上らしいけど、すごく。
この神社担当の神様。願いを叶えてあげたり邪気をはらったりする、邪気の方は、はらってる所見たことないけど。てか邪気って何?
「じゃあ、優しい人にすればよかったじゃないですか。
神様が見える人から選ぶんでしょう、なら、別に僕じゃなくても」
「優しくすればいいのっ、敬えばいいのっ」
んな無茶な。
こっちは中3のとき、高校に合格するようになんとなく、この神社に願掛けで来ただけなのに。
神社ならどこでもよかった、それだけ。
「ほら、仕事っ」
「ひー」
「あ、あとお餅買ってきて。世話してくれなかったから、高くて美味しいお餅が食べたいな」
「ひー」
てか、ジャンル分けする意味なくね?
神様が頑張って見たらよくね?
嫌がらせ?
はあ。
この神社がなくなったら、僕の仕事も終わる。
終わった後のことはわからないけど。
この神社、早く潰れないかなあ?
ジャンル分け面倒臭い。
ありがとうございました。




