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【短編小説】はるのかぜ

掲載日:2025/12/20

それは、まるですてきな朝で、ずうずうしくい残る冬の気配を、すっかりおいはらってしまうような、たいようの光がさしています。


 かぜが、くるりとおどります。


 はるのかぜが、友だちのかぜといっしょに、アスファルトで固められたとおりを、まるでころがるように走っていると、えき前のロータリーにはなん人かの若い男女があつまっているのがみえました。


 かれらは、あしのながいおじさんの絵がかれたボードと箱ををもって、なにかを口ぐちにさけんでいました。


 はるのかぜは、それを聞いて「お腹から声をだせばよいのにな」とおもいました。

 そう、幼い子どもたちは、手もとにある紙を朗どくするのに精いっぱいで、ちかくを歩いている人たちには、なにを言っているのかまったく分かりませんでした。


 それに、えきの前をあるいているのは、地ほうからでてきたばかりの人たちであふれていて、だれもまっすぐ歩けていません。


 はるのかぜは、すこしこまった顔をして、地ほうからでてきたばかりの田なか者たちにぶつからないように、くるくるとおどるように走りまわりました。


 改さつをぬけて、階だんをかけ上がったはるのかぜは、プラットフォームにすべりこんできた電しゃを見て、びっくりしてしまいました。


 だれも、リュックサックをまえにしたりしないので、電しゃにのれる人はとてもすくないし、降りるひとも、なにもいわないで押したり突きとばしたりするので、えきでは乱とうがたえませんでした。


 はい色のスーツを着た人が、登ざんの恰こうをした老人たちに、よってたかって、ストックで殴られているのをみたはるのかぜは、はい色のスーツを着た勤め人がかわいそうになって、老人たちのまわりと、えいと駆けまわりました。


 すると、老人たちは、はるのかぜに足をとられて、プラットフォームのつめたい床のうえにころがると、そのまま線ろにてんらくして、あとから来た特きゅうの列しゃにひかれて、ぜんいん死んでしまいました。


「これで、年きんが、すこしういたかな」

 はるのかぜは、ともだちがそういうのを聞いて、あぁ、このひとはあたまが弱いんだろうなぁとおもいました。


 それから、はるのかぜは、はい色のスーツを着た勤め人がおき上がるのをたすけると、やっぱりはい色のスーツを着た人に腹をたてて、おなじようにプラットフォームから突きとばして、はい色のスーツを着た勤め人も、おなじように殺してしまったのです!


 えきには、血があふれかえっていました。

 しかし、若いひとたちがもっていた箱にも

、たくさんの血があふれるくらいにはいったので、若いひとたちはうれしそうに笑うと、声をあげてなにかを読むことをやめて、かえり支たくをするのでした。


 あぁ、きっとみんなは、帰ったら布とんにもぐり込んで、くっついてねむるのだろうと考えたはるのかぜは、みんなをまとめて車どうに突きとばすと、バスにひかせてしまおうと試みました。


 でも、みんなが、はるのかぜみたいな、いじょうどくしんだんせいの老ごを支えるために税きんを出してくれるのだと思いなおして、みんなをささしく包むのでした。


 こどもたちは嬉しそうにわらうと、はるのかぜを赦して、ひかりの方へと駆けていくのでした。


 めでたし、めでたし。

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