結婚式に相応しい
友人が結婚式を挙げ、私はその式に出席をした。
新郎新婦が入場したときに私は驚いた。
昔から彼のことは知っていたが、あんなに美人で気立ての良さそうな女性と結婚できるような男であるとは思えなかったのだ。
一体どうして彼なんかがと嫉妬に近い思いが浮かびかけたその瞬間、頭の中に声が響いた。
「祝いの場です。その感情は相応しくありません」
いまや全人類の頭に埋め込まれている超小型のコンピューターが私の思考を読んでそう警告をしてきた。
いかんいかんと私はすぐに気持ちを祝いの方向へと切り替える。あまりにもこの警告が多いと人格矯正センターへと送られてしまうのだ。
私は心をお祝いの気持ちで一杯にすると、彼とその妻を祝福した。
そうして結婚式は祝いの雰囲気に満ちたまま和やかに幕を閉じた。
争いのない平和なこの時代に相応しい、良い結婚式だった。
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