落ちる夢の中で飛ぶ
最近、私は、「落ちる夢」をよく見ます。
落ちている途中に、「これは夢だ」と、気づくのです。
今日も、そんな夢を見て、地面に落ちる前に、目が覚めて、小学校に行きました。
先生は、言いました。
「今日も、病気でゆいなちゃんはお休みです。今日の夜、大きな手術があるそうで、みんなで、心の中で、応援してあげましょう」
最近、ずっとゆいなちゃんは、お休みしています。今日の夜。手術があります。
大丈夫かな。
ゆいなちゃん。
明日も小学校に行けるように。
目覚ましをセットして。
私は、眠りにつきました。
「わああああああ!」
落ちてる!
すごい勢いで、落ちてる!
あれ。
これ。いつもの、夢……?
夢。そう気づいた。なのに。今日は。
ずっと、ずーっと、落ちていきます!
「待って、落ちるうううう!」
その時。
私の背中に。
幻想的な、大きな翼が生えました。
私は。
星が降る空の下を、飛んでいます。
少し上から見る自分の街はキラキラしてて、川のところを低く飛ぶとカモさん達の目がスーッと動いていくのがわかる。
大空に飛んで、一気に降りてみました。
風を切って。
ちょー楽しい!
あれ?
目線の先には、小さな星屑が、ずーっと伸びている!
その先には!
私と同じスピードで落ちている!
ゆいなちゃんが!
でも!
羽が生えていない!
私は、ゆいなちゃんに向かって、一気に飛んでいきました。
そして、ゆいなちゃんを、ぎゅっと捕まえました!
「大丈夫?」
「ひまり、ちゃん?うん、ひまりちゃんの顔を見たら、なんか、元気出たかも」
2人で、フフッ、と笑いました。
次の日。
私が学校に向かうと。
ゆいなちゃんが、笑顔で登校してきました。
「ゆいなちゃん!大丈夫だった?」
「うん。手術、成功したって」
「よかった~!」
ゆいなちゃんは、言った。
「昨日、夢を見てね。なんか、怖い、落ちてる夢だったんだけど、ひまりちゃんが助けに来てくれて。それでね……」
「私も、おんなじ夢見てた!」
「そうなの?そうしたら」
ゆいなちゃんは、私のほうを見て、笑顔で言いました。
「助けてくれて、ありがとう」