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第二話 真珠湾攻撃

真珠湾上空、見渡す限り航空機の大編隊が飛んでいる。


「すごい・・・本当に事前資料通りだ・・・。」


97式艦上攻撃機22型の通信士席から、南雲機動部隊航空隊総隊長である淵田美津雄は眼前に広がる真珠湾を見渡している。

手には司令部から手渡された真珠湾内の配置図、戦艦の位置が記され、空母は想定位置が記されていた。

国立図書館の存在を知らされている一人であり、それでも今この時まで信じ切っていはいなかったが、これで淵田の中では確信に変化した。


「中佐!事前確認通りですよ!」


操縦手の河合が叫ぶ。


「あぁ!第一次攻撃隊、全機突撃!」


淵田は隊内通信を終わらすと、艦隊へ向け電話と本国へ向けて電信を打つ。

通信機の不調で電話での通信を受信できていない機体もいるかもしれない、念のため窓を開けて突撃を示す信号弾を放つと、大編隊は一斉に散開し、割り当てられた役割を果たそうとする。


淵田機もまた、1,000kg爆弾を搭載し、水平爆撃を以て空母を攻撃する予定である。

淵田の乗る97艦攻22型はエンジンを99艦爆と同じく金星51型に換装し、主翼の再設計を行い翼面荷重を低くしたタイプで、エンジン馬力が栄エンジン970馬力から5割程増強され、機体の改修の効果も合わさり1,000kg爆弾の搭載に成功している。


攻撃は第一航空戦隊は空母を、第二航空戦隊と第六航空戦隊は戦艦を、第五航空戦隊はフォード島の飛行場を担当している。


初弾は翔鶴、瑞鶴の第五航空戦隊所属の99艦爆の投下した500kg爆弾である。

急降下から投じられた爆弾は訓練されたように滑走路の両端から狙い、迎撃機の発進を即座に封じ込めることに成功する。

そして眼前に停泊している大艦隊だが、軍艦のエンジンは一度火を落とせば発進まで長い時間を要する、それを理解している熟練者しかいないこの攻撃隊には、動く前に急いで攻撃しなければという焦りを感じる者はいなかった。


「こちら村田、雷撃隊コースに入ります!」


眼下に目をやると四機一組の雷撃隊が続々と高度を下げ雷撃コースに入るのが見える。

高度10mでの魚雷投下、今この世界においてこの南雲機動部隊以外で実施できる部隊は存在しないだろう。

続々と魚雷が投下され、一斉に戦艦群へと向かっていく。

係留されエンジンを止めていた艦船たちは当然動くわけもなく、続々と水柱を立たせる。

それと同時に、最も重要な目標と言われていた空母へ目をやると、そちらでも水柱が立っているのが見えた。


「よし、よし、よし!これで敵は動けないぞ!」


あまりにも美しい手際、既にフォード飛行場は機能不全、戦艦、空母は魚雷が命中し発進どころではないだろう。

真珠湾の戦艦群は二列に並んで係留されているため、魚雷は外側の戦艦にしか命中しない、そのため内側の戦艦には急降下爆撃と水平爆撃で攻撃する必要があるが、既に外側の戦艦が動けないのであれば内側は動けるわけもなく、焦る必要もない。

雷撃隊が全機攻撃を終えたのを確認すると、次は出番だとばかりに淵田も命令を下す。


「水平爆撃隊攻撃開始!」


待機していた水平爆撃隊は一斉に進路を変え、西側から一斉に爆弾を投下する。

天候にも恵まれ、ほぼ無風の今、1,000kgの質量の爆弾もまた煽られることなくほぼ狙い通りに落下している。

97艦攻の水平爆撃にて一斉に投下された爆弾は続々と戦艦、空母へ襲い掛かる。

ようやく戦艦たちからサイレンが鳴り始めたその瞬間、大量の水柱が湾内で発生した。

黒煙が湾全体を覆い始め、地上は阿鼻叫喚となっている。


戦艦群は大爆発を起こした艦が三隻、既に撃沈確実。

特に被害がひどいのはアリゾナと、唯一戦艦群で孤立した位置に係留されていたカリフォルニアであった、カリフォルニアは1,000kg爆弾が第二主砲天蓋を貫通し弾薬庫で爆発、アリゾナもまた水平甲板を貫通し主砲弾薬庫で爆発、両艦とも弾薬庫が誘爆を起こし、大爆発と共に艦橋基部を中心に船体を二分してしまい、一瞬で着底してしまった。

オクラホマには投下された魚雷が8本命中し、全弾右舷にあたった影響で一瞬のうちに転覆、既に三隻の戦艦は完全撃破してしまった。

空母のエンタープライズ、レキシントンもまた魚雷、爆弾両方から命中弾を受けており、エンタープライズは既に魚雷の浸水と1,000kg爆弾の直撃を受け甲板まで海に浸かり、沈没は確実のように見えた。

もう一隻のレキシントンは雷撃を受けたものの水平爆撃の直撃は一発のみで、魚雷も二本を受けるにとどまり、巡洋戦艦から改造された経緯もあるのか、他に比べて被害は軽微だった。


「中佐、成功です!」


河合は操縦しながら喜びの声を上げる。

だが淵田は空母を最優先目標とする南雲、山本からの指示を思い出し、今頃こちらに向かっているであろう第二次攻撃隊へ通信を行った。


「現在空母1が健在の為、真珠湾上空へ到達した隊から撃沈するまで健全の空母を攻撃するように。」


通信に対して返事が返ってきたのを確認した辺りで、ようやく対空砲が炸裂し始めた。

炸裂するたびに機体が少しだけ揺れる、だが打ってくるのは駆逐艦であり、あまり効果はなかった。


「中佐、活動限界です。帰還します、よろしいですか?」


淵田機も最初に発艦し攻撃後もずっと留まっていた関係でもう燃料が少なくなっていた。


「わかった、帰ろう。あとは後続がやってくれよう。」


淵田機は進路を北にとり、真珠湾を後にした。


その後続々と到着する攻撃隊は、淵田からの命令通りレキシントンへ殺到、後続部隊は99艦爆が大半を占め、急降下爆撃機により攻撃が加えられた。

そして急降下爆撃隊が投下した500kg爆弾がまぐれにも第一次攻撃隊の水平爆撃にて空いた穴へ吸い込まれ、格納庫を貫通、機関部にて爆発を起こし発進の為に火を入れたボイラーを破壊した。

破壊されたボイラーは大爆発を起こし、機関は停止、浸水を起こしてしまった。

艦尾から沈んでいくレキシントンを攻撃隊は撃沈確実と判断、後続は浮いている戦艦群と港湾施設の破壊が主目標だったが、着底した戦艦を撃破かどうか見極めるのが難しく、急降下爆撃隊は港湾施設よりも戦艦群を優先し群がる。


結果として港湾施設の破壊は想定よりも達成できなかったが、戦艦群は壊滅、最も被害が軽いネバダでも座礁させることでなんとか沈没を回避した程度で、他の7隻はもはや修復は不可能なレベルで破壊、または沈没させられてしまっていた。

30分ほどたって日本機が続々と帰投し、攻撃は止んだ。

飛行場の穴が緊急修復され、P-40など小型機が迎撃のために発進したが、既に攻撃隊は退散しており南雲機動部隊は攻撃隊を収容し北方へ脱出していた。


零式艦上戦闘機二一型

長大な航続距離、絶大な攻撃力、圧倒的な格闘性能を誇る大日本帝国の最新鋭戦闘機。

計画途中に搭載予定だった栄一二型の改良が容易であることが判明し、軍技廠が栄二一型を設計し、これを搭載した機体として完成した。

機関砲は軍技廠が九九式20ミリ機関砲一号銃を二号銃へ、九七式7.7ミリ機銃2丁を13.2ミリ機関銃1丁との置き換えを熱望したものの、両銃ともに開戦までには量産の成功に至らず、史実通り一号銃を搭載している。


全長 9.05m

全幅 12.0m

翼面荷重 109.0kg/㎡

発動機 栄二一型 1,130馬力(航空燃料一号使用時)

最高速度 550km/h

航続距離 3,300km

武装 九九式20ミリ一号銃×2

   九七式7.7ミリ機関銃×2



九九式艦上爆撃機


爆弾搭載量やダイブブレーキの性能に難があったとされる史実の99艦爆を改良するため、計画中に変更が加えられた。

参考になったのは同じ固定脚、逆ガル翼を採用しているドイツのJu87である。

エンジンは金星四〇型を改良した金星五一型を採用し機体は軽量化され、主翼での爆弾搭載機能を削減することで主翼を薄くすることに成功した。

Ju87の急降下時の風切り音が敵の士気を下げることに有効だったことを反映しダイブブレーキにはホイッスル機能を付与している。


全幅 15m

全長 11m

全高 3.8m

翼面荷重 150kg/㎡

発動機 金星五一型 1,400馬力(航空燃料一号使用時)

最高速度 430km/h

航続距離 1120km

武装 九七式7.7ミリ機関銃×2(機首)

   九七式7.7ミリ機関銃×1(銃座)

   500kg爆弾×1


九七式艦上攻撃機二二型


九七式艦上攻撃機の性能増強型。

天山の開発が後に登場する新型機の開発の為に中止され、後継機の登場が真珠湾攻撃には間に合わないことが決定的となり、その場しのぎとして99艦爆に搭載された金星エンジンに換装し水平爆撃時の爆弾搭載量を強化した。

航続距離は若干低下したものの、その他の飛行性能は向上している。


全幅 15.5m

全長 10.5m

全高 3.7m

翼面荷重 103kg/㎡

発動機 金星五一型 1,400馬力(航空燃料一号使用時)

最高速度 410km/h

航続距離 1,700km

武装 九七式7.7ミリ機関銃×1(銃座)

   ・1,000kg爆弾×1

   ・500kg爆弾×2

   ・60kg爆弾×8

   ・800kg航空魚雷×1

   のいずれか


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