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書き直します。メモとして残しておきます。『シャノワーティブ』  作者: 我が名はI.H。
勇者の1日目(ほぼ解説編)
4/5

03話 飯。+α

作者です。

結末やストーリーはザックリ決めて書いています。

始めて書いているので表現が分かりにくい所が多いと思いますが、生あたたけぇ。

()()()()()()

 そこを『ディアン=アーク』と『蒼星 竜輝(そうせい りゅうき)』の2人が歩いている。

 竜輝は、その通りを物珍しそうに色々と見ながら歩いていた。

 その様子を見ていたアークは「この街の風景が珍しいか?」と、彼の方を少し見て聞いた。

 竜輝は、「はい、僕の世界にも外国に似たような街並みのある国がありますが、実際にこのような建物を見るのは初めてなので見入ってしまって。」なのだと答えた。

 その答えに「そうか!気に入ってくれたなら良かった!」と、アークは少し夜空を見て伝えた。

 そして、建物について簡単に教えてくれた。

 竜輝の見入っていた建物はこの国では一般的で、街並みは何百年も代々受け継いで来たものだと言う。

 「そうなんですか!何百年も受け継ぐって、すごいですね!」そう竜輝は言った。

 「確かにそうだな。まぁ、実際受け継いだのは外観くらい何だけどな。今と昔の風景で言えば、大差は無い。だがこの数百年で色々な改良がされてな、昔ながらの製法の建物なんて数える位しかないんだ。」と、アークは教えてくれた。

 「へーぇ、そうなんですね!」竜輝はそう言葉を返した。

 そこから更に、少しアークは話をする。

 最近は何やらスゴイ技術が出たらしく、今までの製法でも建物の寿命は手入れなどをすることで100年以上持つらしいが、『魔法コーティング』と言う技術が最近出来たようで、その技術を用いた建物は200年は持つと言われているとのこと。

 魔法コーティングと言うのは、魔力で建物の強度補強と腐食や汚れの付着を抑えてくれるものらしく、それを作ったのはアークの友達だと言う。

 「その魔法コーティングって言うのをアークさんの友達の人が作ったんですか?すごいですね!」竜輝はそう伝えた。

 どうやらその友達は、王様の知り合いの人の娘さんで幼馴染であるとのこと。

 その子は色々とスゴイ人らしく、城で彼が着用していた簡単に着脱が出来る鎧を作ったのも彼女であるとのこと。

 今は冒険者をやっていて、『魔物の森』や『ダンジョン』に潜りに行っている為この国にはいないらしい。

 「そうなんですね、その人ってどんな人なんですか?」竜輝はそう聞いた。

 「まぁ、色々凄いな。そのうち合うだろうから、その時紹介するよ!」アークは左を歩く彼の方に少し目を向けた後、右の路地を見た。

 そして、アークは足を止めて「ソウセイ君!」と歩いていた彼を止め、彼の方を見てから右へ体を向けて右手を路地の方に向けながら「この路地の手前に明かりが灯っている建物がある。あそこが言っていた店だよ!」とアークは言った。

 その路地は2から3階建ての建物が並んでおり、ほとんどの建物の1階部分は店舗の様になっていて見た感じは商店街の様であるが、今の時間は大体午後10時くらいである。

 その為、ほとんどが明かりを灯しておらず閉まっているように見える。

 だがアークの言う通り、確かに右側の建物の一つ奥に明かりが灯っていて看板らしき物が少し光っている店があった。

 そこへ歩いて近づいて見ると、その店の入り口らしきところの上に看板があり、店名と営業時間が書いてあって、『居酒屋ラック 闇曜~氷曜12時~15時 雷曜他、気分デ夜18時~0時営業』と書いてあった。

 その看板は左右の下の角の二ヵ所から弱い光で文字を照らしており、すごく明るい訳ではない。

 どちらかと言うと、店の窓から漏れる光の方が明るい。

 「アークさん?ここってお酒を飲む所では?」と、竜輝は聞く。

 「居酒屋って書いてはあるが、ここは飯屋とそんなに変わらないから!それに、ここの飯は美味しい物ばかりだ!ソウセイ君も気に入ると思うよ!」アークはそう言った。

 「そうなんですね、それは楽しみです!」竜輝はまだ何が食べられるのかよく分からないが、アークがかなり推している様だったので、それらがどのような物かわくわくしていた。

 そして、二人は店の入り口の扉の元へ行く。

 店の入り口の扉には、『営業中』と書かれたプレートが垂れ掛けられてあった。

 扉は右開きであり、その扉のドアノブにアークは手を掛け奥に押して開けて店内へ入って行った。

 すると、店の中で”カラン!カラン!”と言う音がなった。

 この時、アークの後ろに居た竜輝にはこの音は聞こえず、扉を開けるとともに店内へ入っていたアークには聞こえていた。

 竜輝は、この時不思議な事を体験した。

 店の中には何十人もの人が居る様に見え、とても賑わっている様に見えたが、一切の声や物音が聞こえなかった。

 彼はそのことを疑問に思いつつも、アークの後ろに着いて店内へと入って行く。

 店内に入る瞬間、彼はまるでシャボンの膜を通り抜ける様な感覚を感じた。

 すると、今まで聞こえなかった店内の話し声や物音が聞こえる様になった。

 ()()()

 アークは店の奥の方のカウンターへ向かい、竜輝はそれに着いて行く。

 店内へ入ったばかりの竜輝は、店の入り口左側付近に座って酒を飲んでいる2人の客の会話を小耳に挟んだ。

 客1「最近売り上げはどうだ?」

 客2「そこそこだ、ギリギリ黒字って所だな。そっちはどうなんだ?」

 客1「こっちは結構儲かってるよ!最近は、魔物肉を結構仕入れられてな!」

 割愛。

 どうやら会話の内容から、この2人はこの商店街で商売をしている人らしい。

 入り口付近の客は、大体が似たような経営などの話をしていて、仕事終わりに飲みに来ているらしい。

 店内の奥の方に居る客は、人によって様々ではあるが武具や武器を身につけている人達であった。

 人によっては、返り血の様な物が付着している武具を着ている者もいる。

 「アークさん、あの人達はなぜあのような武具や装備を身に着けているんですか?それに、血の様な物が付いている人もいますが。」と、竜輝は彼らの方を軽く見てアークへと尋ねた。

 「あれは冒険者と呼ばれる職業の人だよ!」アークは、彼を見て目線の先の人達の方確認してからその様に伝えた。

 その様に話している間に、店内奥のカウンターへと着いた。

 カウンターの席は、7席あった。

 その内右端に1人、一つ開けて2人が座っていた。

 アークはカウンターの一番左側の席につき、そのすぐ右の席に竜輝はついた。

 カウンターの構造は、正面の壁側に酒樽や酒瓶などが並べてあり、カウンターの机とその壁の間を人が通れるようになっている。

 アークの座っている席の左側は、ホールへの出入りの為に開いている。

 カウンターには調理場の様な場所は無く、奥の壁の左側が開いて、その奥に調理場がある。

 この店は奥で調理を済ませてから持ってくる形式で、それぞれの席にはメニューと店員さんを呼ぶ用らしき呼び出しベルが置いてある。

 アークは座ると、メニューを左手で取り開き見た。

 竜輝もメニューを手に取って中を見た。

 書かれていた物は、左側には揚げ物やつまみ、酒などが書かれており。

 揚げ物は、鶏のから揚げや豚カツや牛カツなどのよく知っている名前の料理名の物があり、それぞれがスープとパンをセットに出来ると書かれていた。

 つまみは、生ハムやトマトとチーズなどである。

 酒は、エール(ビールの事だろう。)や赤ワイン、白ワインなどが書かれていた。

 右側には、スパゲッティやステーキやサラダ、下の方には酒以外の飲み物が載っている。

 スパゲッティは、麺の硬さ、ソース、トッピング、量の項目があった。

 硬さは、ヤワ、普通、カタがあり、

 ソースは、トマトやクリーム、チーズなどで、

 トッピングは、生ハムやベーコン、キノコなどで、

 量は、小盛り、普通盛り、大盛りが書かれていた。

 ステーキは、鶏豚牛と、知っている物があるが、魔物肉と言う謎の項目があり、

 そこには、『フェザーベアーのステーキ』と『ビックラビットのフライ』が書かれていた。

 ドリンクは、様々なジュースがあり、炭酸の有無を選べると書かれてあった。

 竜輝はこの内容を見て「種類が豊富だし、僕の世界の物とほとんど一緒だ!?」と思っていた。

 ただこのメニューを一通り目を通したが、値段が良く分からなかった。

 「アークさん、このメニューなんですけど、」竜輝はアークの方を見て尋ねた。

 「何でしょうか?もしかして、気に入りませんでしたか?」アークは竜輝の方を観て答えた。

 竜輝はアークにそうではなく、それぞれのメニューの値段が分からないと言う事を伝えた。

 アークが言うには、商品名の横に並ぶ大中小の茶色や白色の丸が値段を表しているとの事。

 茶色の丸は銅貨を表していて、白色の丸は銀貨を表しているとのこと。

 通貨は全ての国で共通していて、一般で使われている硬貨は9種あるらしい。

 大まかに金銀銅で分けられ、それぞれで大中小があるとの事。

 大硬貨は、小硬貨の10倍の価値であるらしい。

 真ん中のサイズの硬貨、銅貨と金貨はそれぞれの大硬貨の半分の価値であり、銀貨は小銀貨の倍の価値であるとのこと。

 そして、小銀貨は大銅貨の5倍の価値であり、小金貨は大銀貨の倍の価値であるらしい。

 その情報を聞いて、竜輝はメニューを見直した。

 スパゲッティの横に中位の白色の丸が一つ乗っており、トッピングのキノコの横には大きめの茶色の丸が1つあった。

 つまり、スパゲッティは銀貨1枚で、トッピングのキノコは大銅貨1枚。

 他のメニューにも目を通してみた。

 上記の情報で考えて、大銅貨を1枚=日本円で約100円だと仮定することにした。

 そうなると、

 小銅貨=約10円、銅貨=約50円、大銅貨=約100円。

 小銀貨=約500円、銀貨=約1000円、大銀貨=約5000円。

 小金貨=約1万円、金貨=約5万円、大金貨=約10万円。

 このようになる。

 多分大体合っているだろう、そう考えるとスパゲッティは約1000円と言う事になる。

 少し高いと思うのは、これは某レストランの影響のせいだろう。

 魔物肉が彼は気になっていたが、どちらも価格が賞金貨1枚で、日本円にして約1万円であった為だ。

 「ソウセイ君、頼むものは決まりましたか?」アークは竜輝の方を観て聞いた。

 「はい!決めました!」竜輝はアークの方をチラッと見て答えた。

 そして、アークは座っていた席の机の前の方の中央に置いてあった呼び出しベルを左手で押した。

 ”チリン!!"と、ベルが鳴った。

 店の奥から「はーい!今行きまーす!!」と、元気な青年の様な声が聞こえた。

 すると、奥から茶髪の短髪で瞳が紺碧(こんぺき)で身長が185㎝程の黒色のエプロンを付けた20歳前後くらいに見える青年(男性)が出て来た。

 「ディアンさんじゃないですか!お久しぶりです!」青年はそのようにアークへと話しかけた。

 青年はアークの親しい知り合いの様である。

 「あぁ、久しぶり!フリド!」アークはそう言葉を返した。

 どうやらこの青年の名は、『フリド』と言うらしい。

 「アークさん、お知合いですか?」竜輝はそう尋ねた。

 アークが言うにはこの青年は『フリド=コーヒ』と言う名で、今年23歳になるここを営む夫婦の息子さんであるとのこと。

 「アークさん珍しいですね!今日はお連れさんが一緒なんですね!」と、フリドが聞いた。

 「あぁ!彼は今日から城に勤める事になってな、そのお祝いとして今日は来たんだ!」アークはフリドにその様に伝えた。

 「そうなんですか!おめでとうございます!」フリドは竜輝の方を見てそう言い、「ところで、名前を聞いていいですか?」と聞いてきた。

 「はい!もちろんです!僕の名前は『創星 竜輝(そうせい りゅうき)』と言います。」彼はフリドの方を観てそう答えた。

 「北東系の名前なんですね!大変だと思いますが、頑張ってください!」と、フリドは軽く頭を下げてその様に返した。

 北東系の名とは、この世界(大陸)の北東にある『サネッジ=ノール』と言う国や、その地域付近でよく使われる名前の形式のことである。

 そして、フリドは「ディアンさん、今日は何を頼みますか?」とアークへメモを手に持って聞く。

 アークは、小銀貨1枚のエール1杯と銀貨1枚の鳥のから揚げとパン、スープのセットを頼んだ。

 「ソウセイさんは何にしますか?」フリドは竜輝の方を観て聴いた。

 「スパゲッティをトマトソースで1つと、オレンジジュ―スを炭酸ありでお願いします!」と、竜輝は頼んだ。

 それを聞いて「それだけで大丈夫ですか?遠慮しなくていいですよ!」アークはその様に聞いた。

 そして、「それじゃぁ、魔物肉が気になるんですがいいですか?」竜輝はその様に伝えた。

 「そうか!では、フェザーベアーのステーキを1枚頼もう!」アークはそう言った。

 フリド「フェザーベアーのステーキですね!焼き加減はどうしますか?」

 アーク「ソウセイ君、レアで良いか?」

 竜輝「はい!それでお願いします!」

 フリド「レアですね!承りました!それでは、少々お待ちください!」

 「フリド!!まだーぁ?」店の奥から若い女性の声が聞こえた。

 そして、奥から赤毛で髪を結んでおり、瞳はブラウンで身長が170㎝程で微乳の黒いエプロンを付けた10代に見える女の子が出て来た。

 「フリド!また長話しているの?注文を聞いたらすぐに戻って来てよ!」その女の子はその様にフリドへ声をかけた。

 フリドは、「はいはい、グレイはせっかちだなぁ。」と言いながら奥へと戻った。

 そのフリドへ「フリドがのんびりしすぎなの!」と、その女の子は言った。

 そして、その女の子はこちらの方を見た。

 「あ、アークさん!お久しぶりです!」と、アークへと伝えた。

 「グレイさん、お久しぶりです!」アークはそう言葉を返した。

 その女の子はアークと何気ない会話をすると、そそくさと奥へと戻っていった。

 アークと会話をしていた女の子は、少しモジモジしていて頬や耳が少し赤かった。

 あの女の子は、アークが言うにはフリドと同じくここを営む夫婦の娘さんであるそう。

 名前は『グレイ=アール』であり、今年で17歳になる子であるらしい。

 フリドと性が違う理由は、この国では夫婦で性を別にすることができる事が関わっているとのこと。

 子どもの性は兄弟姉妹でもどちらかの性を付ければそうで、ここの夫婦は父方の性を息子に付けて母方の性を娘さんに付けているとのこと。

 竜輝とアークがその様に話しているうちに、奥の方から30代くらいに見える若々しい女性が頼んだ飲み物を持って出て来た。

 「お待たせーぇ!エールとオレンジジュースでーす!」”コン!”それぞれの机にその女性はドリンクを置いた。

 「女将さん!お久しぶりです!相変わらず若々しいですね!」アークはそうその女性へと伝えた。

 どうやらこの人があの二人のお母さんであるらしい、付けているエプロンは同様であるが、頭に三角巾を付けていた。

 見た目は茶髪で髪が結んであり、瞳がブラウンで身長は165㎝程でスラっとしているが胸がしっかりある感じであった。

 娘にはこの胸は遺伝しなかったのだろう。

 「もう~ぉ!そう言われても何も出ませんよ!」この女性はアークへとそう言葉を返した。

 この女性の名は『ロティ=アール』で、今年で42歳である。

 彼女は見ただけだと20代かと思ってしまう程に若々しく、言われないと40代だと分からない程である。

 アークとロティの話しているそんなところに、店の奥から若い男性の様な声で「なんだぁ?俺の妻を口説いてるつもりか?」と、聞こえた。

 その声の主であるらしき男が料理を両手に持って奥から出て来た。

 その男の見た目は他の3人と同様のエプロンを着ており、赤髪でツーブロックの様な髪型、瞳が紺碧(こんぺき)で身長は約190㎝程の高身長。

 前腕は太く、血管が浮き出ていてかなり鍛えている感じで若く見えた。

 「思っていること言っただけですよ!大将!」アークはその男性へそう伝えた。

 この人はロティ=アールの旦那さんである『ラック=コーヒ』さんで、今年で48歳であるとのこと。

 この人も若々しく、言われないと40代とは分からない程。

 「そうか!それならいい。手を出したら、分かっているよな?」ラックは、アークを見下し睨みつけながらそう言った。

 「そんな事する訳ないじゃないですか!全く、怖いです。」アークは、ラックの方を見上げて言う。

 ラック「冗談だ!お前がそんなことする訳ないよな!わりぃわりぃ!」とニヤっとし言い、「ほれ、ご注文の料理だ!」”カタ!”アークの頼んだ料理がテーブルへ置かれた。

 「息子から聞いたよ!ソウセイ君と言ったね!スパゲッティとステーキはこれから持ってくるから少し待ってな!」と、ラックは竜輝の方を簡単に見て言いながら奥へと戻った。

 そして、

 「少し待っててね!」とロティは竜輝へと伝え奥へと戻って行った。

 すると奥からステーキを焼くような音が聞こえ、少しけもの臭いがとてもイイお肉の焼ける匂いがした。

 その待っている間に、竜輝はアークの届いた料理を見ていた。

 アークのテーブルには、直径30㎝程の木の平皿の上側に千切りキャベツがあり、左下には握り拳より一回りくらい小さいから揚げが5個くらいがあって、同じ皿の右側には拳2つ分位の大きさのバターロールの様なパンが置いてあった。

 その皿の左側に直径20㎝ないくらいの深さ7㎝、8㎝程のスープが入った木の器があり、そのスープはミネストローネの様な感じであった。

 それを見ていた竜輝にアークは「一つ食べてみますか?」と、聞く。

 「いえ、アークさんの分なので流石にもらえませんよ!」と竜輝は答えたが、

 「半分で良いので食べてみてください!とてもおいしいので!」とアークは言い、卓上の二段になっている引き出し式のカトラリーケースから金属製のフォークとナイフを取り出して1つの大きなから揚げを半分に切り、そのケースの上に置いてあった爪楊枝に刺して渡してくれた。

 「分かりました。では、いただます。」と言い竜輝は受け取った。

 その渡されたから揚げの断面からは肉汁が出て来てこぼれそうであり、湯気が立ち熱そうであった。

 その為、竜輝はそのから揚げの肉汁がテーブルにこぼれない様に爪楊枝の容器の横に重ねてあった小皿を取り、から揚げを持ってその下に小皿を構えて軽く”フーッ”と吹き冷ましてからかぶりついた。

 から揚げから衣を噛むと”サクッ”という音がなり、竜輝はから揚げの半分程を口に含んだ。

 残りの半分は小皿の上に置き、腕を下して机に置いた。

 このから揚げは、日本で一般的な醤油や塩ではなく、とてもスパイシーな物だった。

 しっかりとした衣のサクサク感、口に広がる肉汁、鶏肉の”グチュッ”とした弾力、スパイシーで嫌な(極激辛の様な)感じの無いピリッとした辛さが食欲を湧かせる。

 ”ゴクリッ”竜輝はから揚げを飲み込むと「これすごく美味しいです!」と、アークへと伝えた。

 そして、竜輝は残りのから揚げも食べて小皿に爪楊枝を置いた。

 残りを食べている竜輝へ「口に合って良かったです!」と、アークは嬉しそうに言った。

 そのすぐ後、出来た料理を持ってラックが奥から出て来た。

 「お待たせ!ステーキとスパゲッティだ!」と言い”コッ!”と、ラックは竜輝のテーブルへと料理を置いた。

 その後、ラックはカウンターの奥から『ペッパーソース』と『粉チーズ』と書かれた円柱状の入れ物を出して竜輝のテーブルへ置いた。

 「味変様にどうぞ!だけど、全部は使うなよ?ごゆっくり~!」と、ラックは言い奥へと戻った。

 置いてあったスパゲッティは、大体麺量150グラムほどの物で掛かっているソースはトマトベースで、具として細かく切られたベーコンやナスなどが見える。

 匂いは日本でも一般的なトマトソースだ。

 ステーキは500グラムほどで、味付けは塩コショウベースと言った感じで上にはニンニクチップが置いてある。

 さらにその横に炒められた玉ねぎやコーン、更に小皿に入ったソースが添えられている。

 それを見ている竜輝へ、

 「それでは、食べましょう!」と、アークが声を掛けた。

 竜輝は「はい!」と答えた。

 「いただきます!」と竜輝は言い、「いただきます。」とアークは言い食べ始めた。

 アークはまずパンを手に取り、ナイフで切り込みを入れてそこに千切りのキャベツを挟み、その後に2つのから揚げを半分に切りそれと残っていた半分の計2個半分のから揚げをパンに挟んだ。

 さらにその上に、卓上にあったソースをかけて食べていた。

 そのソースの色は茶色で、オイスターソースの様な物だと思われる。

 そのサンド状にした物をアークは一口食べて、スープを飲むと言った感じで食べていた。

 竜輝は、始めにスパゲッティをフォークとスプーンを使いそのまま食べた。

 その後に置かれた調味料をかけて、味わいを楽しみながら食べた。

 スパゲッティを彼が食べ終え、ステーキを食べ始めようとした。

 その時には、アークはパンを食べ終えてスープも飲み終えて残りのキャベツとから揚げをつまみながらエール(ビール)を飲んでいた。

 そして、ステーキに竜輝はナイフを入れた。

 ステーキからは肉汁がそこそここぼれ、中を見てみた感じは牛のもも肉の様な赤身であった。

 それを一口サイズに切り、竜輝は口へと含んだ。

 まず肉汁が口へと広がったが、くどく無くかなりあっさりとしていた。

 臭みも少し感じるが、強すぎず肉を食っていると思える感じでよいと思える具合だ。

 触感は、程よく噛み切れる程の弾力で癖になりそうな感じだ。

 肝心な味は、牛肉が最も近いと言えるが違うと言える感じではっきりこれと言えるのはこれまでに食べた記憶は無い。

 熊肉は気になって食べた事はあるが、ホントに風味が熊かな?と言えるくらいしか感じなかった。

 ただ言えるのは、癖になる美味さだと言う事だ。

 竜輝はそれを次に、添えられたソースに付けて食べた。

 まぁ、美味い!!!

 ソースは醤油ベースのステーキソースって感じの物だった、合わない訳がない!

 それを食べた後、オレンジジュースを口にした。

 見ていて泡が立っていたので分かるとは思うが、本当に炭酸であった。

 味は某企業ファ○タのオレンジが近い。

 そうして竜輝はステーキを食べ始めたが、この時点で竜輝の腹は6分目程であった。

 ステーキはとても美味しく、半分程は食べられたが、

 アークが残りを食べ終えた時、竜輝を見ると。

 彼は添えられた玉ねぎとコーンをチビチビと食べていた。

 「ソウセイ君、食べられますか?」と、アークが尋ねる。

 竜輝はそれに「すみません、お腹いっぱいで無理そうです。」と、答える。

 そうして残りの半分はアークが食べた。

 食べ終えたアークは竜輝へ「少し量が多かったですよね、」と、伝えた。

 それに対し竜輝は「そうですね、でもとても美味しかったので満足です!」と言った。

 「それなら良かったです!」とアークは伝え、ベルを鳴らした。

 奥からラックさんが出て来て、アークは代金を渡した。

 アークは小金貨1枚を渡し、おつりとして銀貨2枚と大銅貨2枚が戻って来た。

 食事代は日本円で大体7800円。

 ラックさんは席を立つ時に「また来てくれよ!」と、言ってきた。

 それに対し「はい!必ずまた来ます!」と竜輝が伝えてから、2人は店から出た。

 入る時と同様に、出る時にもシャボンの膜の様な物を通り抜けた感覚があった。

 ()()()

 「アークさん、気になったのですが。」と、竜輝がアークの方を見て尋ねる。

 「なんですか?」アークが竜輝の方を見て聞く。

 竜輝は、この店の中は話し声などでかなり騒がしかったのにも関わらず、なぜかその音が外だと聞こえない事について聞いた。

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 アークが言うには、

 風属性を利用していて、この店の1階部分全体に見えない風属性の膜を張っているとの事。

 中から外へとこの膜を音が通過する際、その音は霧散されて聞こえなくなる様になっているらしい。

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 「なるほど!そんな仕組みがあるんですか!魔法って便利ですね!」と、竜輝は感心した。

 続けて「あともう一つ書きたいんですが、この看板の時間の横に書かれているやみ?曜やこおり?曜とは何ですか?」と、聞いた。

 「これはですね、まず1週間や1ヶ月、一年は分かりますか?」と、アークが尋ねた。

 「はい、知っていますが。」と、竜輝は言った。

 「なるほど、そうなると。概念などはそこまで変わらない様ですが、世界が違うので多少違いがあるのでしょう。そこの辺りの擦り合わせをしましょう!」と、アークが提案をした。

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 この世界では一年というのは373日であり、これは昔に季節の変化などや太陽の位置から出された日数である。

 ただ、一年が373日であると分かりにくいとの事で、三年単位で調整されている。

 三年の内、初めの二年は384日として、終わりの一年を351日としている。

 その為、各年で季節は前後する。

 この世界の季節は春夏秋冬、つまりは日本と同じく四季がある。

 だがこの四季は、満ちている魔力によって変化するもので、地球で言う赤道付近でも変化がしっかりとある。

 季節は夏と冬が約4ヶ月で、春と秋が約2ヶ月である。

 その為、大陸中央が春や秋である時、大陸上で西側の端と東側の端に夏と冬が存在することもある。

 そして、基本的にこの世界の1ヶ月というのは32日であり、8日で1週間である。

 12ヶ月で1年なのは、元の世界と変わりない。

 ただ終わりの一年は、日数減少に伴い6月と12月の日数が変わるとの事。

 6月は1週間へり24日までとなり、12月は1週間と6日がなくなり18日となる。

 そして曜日と言う概念もあるが、曜日(ようび)とは言わず(よう)のみで呼ばれるとの事。

 日を付けない理由は、日付に含まれているから付けられていない。

 この世界の曜は、火曜(かよう)水曜(すいよう)風曜(ふうよう)土曜(どよう)氷曜(ひょうよう)雷曜(らいよう)光曜(こうよう)闇曜(あんよう)の8つである。

 これらの曜の名は、魔法属性の名から付けられたとの事。

 そしてこの曜の雷曜から闇曜は、一般的に休日として扱われている。

 終わりの12月の無くなる6日は、火曜から氷曜と闇曜となっている。

 このことから、この時の12月のみ2週目の闇曜を終えた後に17日の雷曜が来て光曜が来て年が終わる様になっている。

 そして、1日については、

 1日が24時間であることは変わらず、1分が60秒と言った事もほとんど変わらない。

 この世界での1秒の定義は、属性魔法を使用してその魔法が完全に肉体から離れた際に消滅する時間だと定義される。

 蒼星竜輝がこの世界に来た日(今日)は、魔法歴1171年三年〔終わり)10月30日雷曜である。

 彼の元の世界での誕生日は9月12日で現在18歳、こちらの世界に合わせると大体1154年2月21日となり、この世界基準での彼の年齢は17歳であるらしい。

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 「そうなんですか!この世界だと僕はまだ17歳って扱いなんですね。何かお得な感じですね!」と、竜輝はアークへと伝えた。

 「ソウセイ君からしたらそうかもしれませんね!」と、アークは言った。

 「ところで、なぜこの計算をしたんですか?」その様に竜輝は尋ねた。

 どうやら、この世界でも現在の日本と同様で成人の年齢が18歳なのだと言う。

 18歳であれば酒も飲めるし、色々な事に対する制限が無くなるとの事。

 「へぇー、そうなんですか!」竜輝はそう言い、「そうですよ!なので、あとあなたも4ヶ月ほどでお酒が飲めます。」と、アークは言った。

 「それは楽しみだなぁ!アークさん、その時一緒に飲みましょう!」と竜輝は伝え、「はい、もちろんでいいですよ。」と、アークは伝えた。

 その後、アークは胸ポケットに入っていた小型の懐中時計を取り出して時間を確認した。

 ()()()()()2()3()()()

 「23時か、時間が無いな。」アークはその様に呟いた。

 「時間が無いってどういう事ですか?」と、アークへ竜輝は尋ねた。

 どうやら王様の睡眠の時間が0時くらいである為、それまでに城へ戻り報告をしたいとの事。

 だが現在地から城までの徒歩での移動時間は、40分程で他を見る時間が無いという。

 徒歩では、

 「ソウセイ君、ここからは徒歩ではなく空から簡単に街を見る感じにしようと思う。」そうアークは竜輝へ伝える。

 竜輝はいきなりその様に言われて困惑して理解が追い付いていなかったが、反射的に「はい。」と答えてしまった。

 すると、「それでは、少し後ろから抱えるよ!」そう言い竜輝の後ろへアークは回り、両手で彼の脇を挟んで抱えるようにした。

 「え?何を?」と、竜輝は困惑中。

 「今から少し飛びます。大丈夫です!絶対に落としませんから!」と、アークは言った。

 すると、アークの足元から風が発生した。

 ”フーーーゥ”と、静かな風の音が聞こえた。

 アークの足が宙へと上がり、その後にアークに引っ張られて竜輝も宙へと上がっていった。

 「えぇ!う、浮いてる!え?すご!」竜輝はそう言い、アークの方を見て「どうなっているんですか?人って飛べるんですか!」と聞く。

 「はい!飛べますよ、この世界では。」アークはそう言い、更に上へと上昇した。

 その上昇の間にアークがこの飛行の原理について教えてくれた。

 これは風属性の魔法を利用して、自身の周りに自信を持ち上げる様に風を発生させている技術であるとのこと。

 「すごいですね、魔法。僕にも出来る様になれるでしょうか、」竜輝はそう呟く。

 「できますよ、きっと。」アークはそう言葉を返した。

 そんな事を話している間に、2人は地上から約500m程上空に居た。

 ()

 「この辺で良いでしょう、どうですか?この街の景色は?」アークが聞いた。

 竜輝が見ていた街並み、

 先ほど歩いていた大通りを照らす数々の街灯、その先に見える大きな噴水。

 何百何千とある無数の建物、所々の建物はまだ光が見える。

 更に先を見ると、壁で囲われているように見えた。

 その壁の奥には、月明かりに照らされる小麦畑の様な物も見えた。

 この世界は広い、これを見ている読者の世界と同様に。

 竜輝はそれを見て「美しい、です。」と言った。

 「そうですか!それでは、そろそろ戻りますね。」とアークは言った。

 そして、アークと竜輝は城の方へと飛んで戻った。

 城へ出るときと同様に門の横の扉から入り、王の書斎へと向かう。

 アークへ書斎の中へ入るように促され、書斎の扉を3回ノックして竜輝は中へと入る。

 「ソウセイ君。どうしたいか、決められたか?」王のアスト=ノーツが問いかける。

 彼、蒼星竜輝の回答は決まっていた。

 「勇者になります。」

 つづく、、、

 世紀の概念について、

 この世界には主に人間、獣人、水人、エルフの4種族がいる。

 人間の平均寿命は80年、獣人は60年、水人は120年、エルフは200年である。

 この世界でいう1世紀は、200年で1世紀とされている。

 これは、エルフの寿命に合わせてある為である。

 世紀の呼び方だが、この世界ではコレを魔光歴まこうれきと呼ぶ。

 魔法歴0年~199年を魔光歴1年としている。

 そうなると彼らが生きる現在は魔光歴で言えば、6年となる。

 この魔光歴と言う呼び方は、魔法が光る歴史の略だとか。

 まぁ、てきとうです。

 あと、三年単位での調整は魔法歴が始まってから少し後に始まっています。

 大体現在で381回目のと言ったところです。

 誕生日のカウントは、誕生月が経過したら1歳となっています。

 書き直すの面倒なので、ここに書きます。

 黒色のエプロンを着ていると言うのは、裸エプロンではありません。

 目立つものについて触れているだけです。

 上は襟付きの半袖の様な服で、下はジーンズの様なズボンを身に着けています。

 その上からエプロンを着ています。

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