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恋歌  作者: yukko
3/20

勘当

人の親の 心は闇に あらねども 子を思ふ道に まどひぬるかな

【人の親の心というものは闇というわけでもないのに、子を思う親心となると、まるで闇夜で道に迷うように、思い迷って分別をなくしてしまうことです。】


和子が出て行った後、父から話があると言われた。


「話って何?」

「お前と雅美さんの結婚式には出ないと決めた。」

「……そうか……。」

「それから、店も辞めて貰う。」

「何故!」

「お前、自分がしたことの意味、解ってない!

 店には信用という大切なお客様のお気持ちがある。

 お前がしたことは信用を失うことだ。

 先祖代々培ってきたお客様の信用……。

 お前の行為は、妻の妹と懇ろになったお前の行為は……

 お客様にとっても嫌なことなのだぞ。」

「そんな……それほどのことでは……。」

「それほどのことなんだ!

 だから、解雇する。」

「店はどうなるんだ? 俺は跡取り息子なのに……。」

「跡は他の方にお願いするよ。」

「血が繋がってない者を跡取りにするのか。」

「そうだ。血の繋がりなど意味がない。」

「そんな……じゃあ、俺達はどう生きろと!」

「和子さんも同じだと分からないのか?」

「和子には金を渡した。」

「お前にも渡すよ。退職金を……。」

「退職金……。」

「後は、二人で頑張ればいい。

 お前たちは二人なんだから……。

 和子さんは一人になったんだぞ。」

「雅美さんを嫁とは認められないわ。

 和子さんは若女将としてお客様の信頼もお受けしていたのよ。

 ただ、好き勝手していた雅美さんとは違うの。

 二人でどこかで暮らしなさい。

 その覚悟は出来ていたんでしょう。

 出来ていないなんて言えないのよ。」

「……分かった。出て行くよ。

 ただ、出る日は俺達が決めるから!」

「それでいい。ただし早く出て行ってくれ。

 私たちはお前を勘当する。いいな。」

「分かったよ。」


俺は家業を継ぐことも出来なくなった。

家も出ることになった。

でも、愛する雅美と一緒になれる幸せを感じていた。

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