表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

シュパーン

作者: 杉将

 船がこちらに向かって来る。僕はテニスの素振りをする。ラケットはない。恋に敗れたのだ。黄色い球の破裂音は聞こえない。僕はテニスコートの、こちらとあちらを、素早く移動する。服の擦れる音。ベンチに座った子供が、そんな僕をスケッチしている。外国の子供だ。

 ヘイ。

 ハァイ。

 小さな手だ、と僕は思う。僕はその子の側に近寄る。スケッチを覗き込むと、僕は僕と球を打ち合っている。手にはちゃんとラケットが握られていて、そのことを指摘するように、トントン、と僕がスケッチの中のラケットを叩くと、

 シュパーン、シュパーン。

 と、その子は言った。船からその子の母親が降りて来る。スケッチブックから切り離された一枚を残して、その子は行ってしまう。

 シュパーン、シュパーン。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ