失敗と成功の狭間
琴美は寮で同室の楓と、父の会社であるNJSへとやって来た。
秋葉原本社で見せられたものは『失敗の歴史』である。しかし『現物』を琴美は子供の頃、社宅で実際に使っていた覚えがある。
今の実家に引っ越す前のことだ。それは随分と変わった『家電』であったことを、今でも良く覚えている。
そこで『消滅した規格』として『電灯線LAN』の説明が。
琴美は首を捻る。『まだ存在しているのに』と、思ったからだ。
展示の説明をしていたのは、無事楓の義姉となった朱美であった。
NJSに出向の身でありながら、ハッカーでもある朱美は、『琴原・琴美』の名前を聞いて思い出す。
それは『コトコト』のハンドルネームで暗躍する、ハッカーのことだった。何らかのルートで、鉄壁を誇る牧夫のパソコンに侵入し、デスクトップの『愛娘との写真』を『犬の写真』に入れ替えた凄腕の持ち主だ。素性は一部を除き、誰も知らない。
それはそれとして、琴美は他にも疑いを持たれる。
実は『異世界』から来たのではないかと。しかもそれが『日本国』からではないか。との疑義だ。ダイレクトに聞かれて琴美は驚く。
今まで『この世界』のことを必死に勉強してきた琴美に、今更死角はない。どんな質問にもスラスラと答える琴美に、何故か朱美と楓は大笑いだ。そう。琴美は『答え過ぎた』のである。
琴美の知らない所で、731部隊にも動きがあった。
731部隊では『雨に耐性がある』と噂される人材を探している。その特徴は、過去の実験記録によると『日本国からの者』だ。




