プロローグ~ガリソン
一学期の中間テストも近い暑い日だった。高校三年生の琴原琴美は、いつも通り学校へと向かっている。
隣には気の置ける親友がいて、テストの話をしながらだ。
消しゴムを忘れた親友にコンビニで買うことを勧めると、走って行ってしまった。自分は赤になった信号で待つ。
そこへ運悪く、タンクローリーが転がって来て炎に包まれる。
即死であろう。少なくとも本人はそう思っていた。
しかし目覚めたのは病院で、体には傷一つない。
つきっきりで看護していた母親に急かされて、やけに急いで家路につく。しかしある『一点』を除き、特に違和感はなかった。
それは街中で『ガリソンスタンド』を見掛けたときの、母親の反応だ。特に驚きもせず、寧ろ値段のことを気にしただけだったのだ。
それ以外はいつも通りだ。弟がテレビに夢中なのもいつも通り。父が雨の中を自転車で帰って来たのもいつも通り。
しかし『何か』が違うことに気が付く。
それは家族が『雨』に対し、恐れおののいている事実だった。
しかも『梅雨休み』だと? 中間試験が『雨で延期』だと?
梅雨休み中のある晴れた日。琴美は『映画にでも行くか』と思うのだが、それを軽く親に話すと『とんでもない』と止められる。
不機嫌になりながらも、そこでふと思い出して、父が試験対策として借りて来た『日本史のDVD』を眺めることにする。そこに出て来た歴史は、琴美が知っている歴史とは、全く異なる歴史だった。
日露戦争に負けた? 北海道が日本じゃない?




