表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

物欲の女








「見て〜、この写真。この前買った香水なの」





そう言って友人はスマホの画面を見せてきた。

そこには綺麗な香水の瓶が2つと、それを入れるケースが写っていた。





「これ、この間欲しいって言ってた香水?」


「そう。自分へのご褒美に買っちゃった」


「こっちの大きいのはこの間言ってたやつだよね。もうひとつ買ったんだ」


「店員さんに勧められて欲しくなって買っちゃった。あと、ケースも買ったから、1万円超えちゃったよ」





まぁ、いつも頑張ってる自分へのご褒美だからね、と言うと彼女は困った顔をした。





「本当は今月1万円貯金しようと思ってたんだけど、また千円くらいしか貯金できないや」


「先月もあんま貯金出来なかったの?」





友人は頷いた。





「1枚目のクレジットカードのリボ払いが最近やっと少額になったんだけど、この間買い物した時に2枚目のクレジットカードもリボ払いにしないと使えなくて〜」





私は彼女の言葉に固まった。

えっ、この人カード2枚もリボ払いしてんの?


実はこの友人は、お金が無いと言っては遊ぶ予定をキャンセルしてくる事が度々ある程の散財癖を持っている。彼女は実家暮らしで、奨学金の返済なども無いしちゃんと働いているのだが、何故かいつもお金が無いと言う。恐らく収入と支出の計算が出来ていないのだろう。彼女の毎回言う貯金が出来ないとは、本当に少しも貯金が出来ていないという意味だ。そんな状況下であるのに、クレジットカードを2枚もリボ払いにしている事に不安を覚えた。





「えっ、何買い物したの?」





さぞかし高額なブランド品でも購入したのかと思って訊いてみると友人は頷きながら、





「この前は新しい財布と洋服を買った」





私は頭を抱えた。





「ちょっと、洋服とかいくら使ったのよ」





これでハイブランドを買い漁っていたらとんでもないが、納得のいくオチでもある。

友人はごく普通の表情で言った。





「コートとトップスで、合計14,000円」





予想が外れた。





「を」





を?





「3枚目のクレジットカードで6回払い」





6回払い!


聞き捨てならん、今何と言った?

待って、3枚目のカードの登場なんだけど。2枚目のカードの話はどこに行ったの、でもそれはこの際もういいや、それより何だって、14,000円を分割で半年かけて支払うと言ったのか。





「何故、そんなに分割にしなければ払えないのにコートを買ったの?」


「去年のコートをクリーニングに出してまで着たくなかったんだよ」





セレブの考え方!

14,000円を6回払いしてるのにセレブの考え方!






「え、じゃあ、せめて、コートかトップスどっちかにしたり、セール品を探したり」


「買わないと着るコート無いし、セール品も無かったんだよ」





何を言ってんじゃこいつは。





「新しく買ったお財布とやらは…」


「これ〜。15,000円くらい」





もう、リボ払い返済中なのにそんなん買ってるからお金なくなるんじゃないのよ。

ていうかそんなんなら何枚もカード持つんじゃないわよ、色々危ないじゃないの。

…など考えていると、友人はまた困った顔をしてこう言った。





「だから、車の免許取る為に教習所の費用貯めたいけど全然貯金出来なくて〜。来年通う予定だったんだけど、また先になりそう」





実はこの台詞、去年も聞いている。去年どころか、ここ4、5年前から書いている。毎年言っているのだが、一向に貯金が進まない為教習所に通う資金がないそうだ。最早免許を取る気があるのかさえも疑問である。

私達の住む地域では車の免許はあった方が良い、ではなく、無いと不便と言った方が正しい。なので私にとっては運転免許取得資金の為の貯金は必須案件に入るのだが、他にお金を使ってしまって教習所に通えないと言うので彼女にとって免許は優先順位が低いのだろう。





「うん…そうだなぁ、自分へのご褒美はあっても良いとは思うんだけどね」





これはいけないと思い、私は彼女にお買い物し過ぎよ、と遠回しに注意してみる事にした。





「ご褒美を月に1回にするとか、後は例えば今回みたいにコートと他にもトップスを買うんじゃなくて、コートだけにしたり…。後はカード使う時も一括に出来ない時は控えたりとかして…」





うんうん、と友人は聞いてくれたが、どうも手応えが無い。何故だろうか。





「後は、事前に今月好きに使っていい金額と貯金に回す分の金額を決めて分けておくとかはどう?」


「あ〜」





返事はしたものの、この時の友人の顔はまさに真剣に話を聞いていないという表情だった。

なるほど!通りで手応えが無い筈だ、だって話半分にしか聞いてないんだもの。

ていうか何だその顔は!もっと真面目に聞けや!



友人は広げた両手の指を折って数えながら、




「今月、ネイルに行って、美容室でカラーとパーマやって、香水と財布とコートと服買って」





そしてその手で可愛らしく頭を軽く抱える様な仕草をしながら、まるで危機感無くにこにこと笑った。




「私ってそんなに物欲あるのかなぁ〜」





あるよ!

すごくあるよ!めっちゃあるよ!

どう考えても物欲しかないよ!





そしてこの物欲の塊は、お金が無いと言いながらも、

「やっぱりパフェ食べよ〜」

と言ってデザートを追加注文したのだった。









.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ