自意識過剰な女
ある日、友人とカフェでお茶を飲んでいた時の事だ。
「私、何もしていなくても他人の注目集めちゃうんだよね」
その友人が唐突にそう言った。
私は目を丸くした。
「そうなの?」
「そうなの」
友人は真顔で頷いた。
そして、こう続ける。
「やっぱり、蠍座ってそういう星だからかなぁ」
蠍座は他人の注目を集めやすい。知らなかった。そういえば、彼女は占い好きだ。
「何もしてなくても、皆んな私の事見てくるんだよねぇ。何でなんだろう。人の事じろじろ見て失礼だと思わないのかなぁ」
隣の席の人がこちらをチラリと見た。確かに見てくる。
私は特に何も言わなかった。これがもう少し若ければ、
「貴方が可愛いからだよ〜」
とか適当な事を言って合わせられたかもしれない。
でもね、私達もう三十路なの。そんな事言ってるお年頃じゃないの。現実見よう。
年相応を感じさせる見た目で、更にこの友人はなかなか太っている。身長もそこそこある為、色んな意味で大きい。電車に乗る時、隣り合って座ると思ったよりこちらのスペースが無くなる位。
その出立ちを見て、更に私は何て相槌をうったら良いのか分からずだんまりを決め込んだ。
こう言っては申し訳ないのだが、彼女の言い方は何となくだが、注目されちゃう自覚が無いのに皆んなの視線を釘付けにしちゃって大変、という気配が感じられる。しかも、マイナスな意味で注目されている可能性を感じていないのが分かる所がつらい。
「そっか大変だね…」
やっとで出たのが、否定でも賛同でも無い実質ノーコメントの言葉だった。
彼女は、うんうんと頷いた。
「そういえば、この間下着を買いに行ったんだけど」
友人はそう話し出した。話題が変わった事に少し安堵していると、彼女は更にこう続けた。
「またカップのサイズが大きくなってて、もう、私はグラビアアイドルか!って」
私はまた返答に困った。
彼女のブラジャーのサイズがグラビアサイズなのは知っているが、更にパンツのサイズが3Lなのも知っている。前に下着屋さんに一緒に行った時に、パンツのサイズを言ったら店員さんが一瞬困惑したのも知っている。ボンキュッボンでは無い。ボンボンボンなのだ。え、何、気付いてないのか。それともツッコミ待ちなのか。私は益々困った。
「サイズがアップすると、探すの大変だよね」
私は何とか返事をした。
この時実は少し面白くなってきてしまい、この後更にどんな事を言い出すのだろうかと期待すらし始めた。それと同時に、ここまで自分に自信があるのはいい事だなぁ、少しばかり参考にしてみても良いのではないかとも思った。
だけども、それはほんの少しで充分かな。
本当に、参考にするのはほんの少しで充分。
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