初デート!
テストから7日後、結果が昇降口に張り出されていた。
なぜか、昼12時に張り出されるのだ。
結果が悪かったら、お昼を食べずに反省しろということなのか。
わたしはゆきちゃんと、恐る恐る昇降口に向かった。
すると、そこにおねえちゃんがいた。
「おねえちゃん!」
「みさちゃん」
おねえちゃんはすごく驚いていた。
「なんで、おねえちゃんがここにいるの?」
「だって……気になって」
「おねえちゃんは、自分の結果は気にならないの?」
「まあ、少しは……」
余裕だってことか……。
ここの昇降口は1年生の結果しか張り出されない。
2年生はとなりの昇降口に張り出されるのだ。
だから、おねえちゃんがここにいるのはおかしい。
「いいから、戻りなよ」
「みさちゃんのみてから……ねっ」
「なんでよ……あっちいってよ」
「気になってしかたないんだよ~」
おねえちゃんとこんなやりとりをしていると、ゆきちゃんがさきに見ていた。
「みさき、あがってるよ!」
「「え?」」
わたしはおねえちゃんと掲示板をみた。
「あったー! あがってるー!」
「「やったー」」
おねえちゃんと手を握り喜んで飛び跳ねていた。
ふとっわれにかえり、おねえちゃんの手を振り払った。
「よかったね、みさちゃん」
「うん、まあね」
「じゃあ、おねえちゃん戻るね」
「うん」
おねえちゃんは自分の順位を見に、戻った。
結果、わたしは88位だった。
240位中の88位だからまずまずだ。
前回は196位だったのだから……。
そして、おねえちゃんはというと……。
1位だ!
堂々の1位だ。
そして、こうちゃんはなんと……。
6位だったのだ。
――――
「こうちゃん、6位すごいね」
「ああ、みさきも頑張ったな」
「わたしなんて……」
「いや、すごい頑張ったよ」
「そうかな、じゃあなんかご褒美くれる?」
「ご褒美? なにがいい?」
え?
なにかくれるの?
ほんとに?
どうしよう、なにがいいかな……。
えっと。
「じゃあ、こんどのお休み水族館に一緒に行ってくれる?」
「水族館? そんなんでいいの?」
「うん!」
「いいよ」
「こうちゃん! おねえちゃんには内緒だよ」
「わかったよ」
「やったー約束ね」
「ああ」
こうちゃんとデートすることになっちゃった。
やったー
嬉しいな~
嬉しさを隠しきれず、ベッドのうえにあるペンギンのぬいぐるみを強く抱きしめて足をばたつかせて喜んだ。
わたしはすぐにゆきちゃんにメールした。
「ゆきちゃん、こうちゃんと水族館に行くことになった」
「ええええ! よかったじゃん!」
「うん、服なに着たらいいかな?」
「この間とは違う感じがいいよ」
「そうだよね」
「水族館だから、スカートよりはパンツの方がいいかもね」
「たしかに……さすがゆきちゃん」
「それより、今回はみさと先輩に言わないよね」
「こうちゃんにおねえちゃんには言わないようにいったから大丈夫だと思う」
「そうか、それならよかった」
「楽しみだな~」
「初デートだね」
「うん。はやく休みの日にならないかな~」
――――
今日はこうちゃんと水族館だ。
駅で待ち合わせをした。
わたしが駅にいくと、こうちゃんが来ていた。
「こうちゃん!」
「おぅ、みさき!」
「こうちゃん、早いね」
「まあな」
「じゃあ、行こう」
「ああ」
もう嬉しくて照れくさくて、こうちゃんの顔が見られないよ~
電車の中でも頑張って話をした。
ようやく水族館に着いた。
「わたし久しぶりだ~水族館」
「おれもだよ」
「すごく、うれしい」
「そうか」
「ありがとう、こうちゃん」
わたしたちは中に入った。
「こうちゃん、水族館で好きな生き物ってなに?」
「おれか~おれはイルカかな」
「じゃあ、イルカのショーは絶対に見ようね」
「ああ、みたい」
「みさきは?」
「わたしはペンギンかな」
「そうか、みさきの部屋にも大きなペンギンのぬいぐるみあったよな」
「よく知ってるね」
「ああ、この間勉強会の時にみたんだよ」
「そうか~」
わたしたちは室内のさかなをみてまわった。
「こうちゃん、みて~綺麗なさかな」
「ほんとだ」
こうちゃんの顔が近づいた。
わたしはドキッとした。
「みさき、ニモだよ」
「あ~可愛い~」
「カクレクマノミっていうんだよ」
「そうなんだ、こうちゃんよく知ってるね」
「まあね」
「子供のころよくビデオでニモみたね」
「ああ、ドリーのもみたな」
「はっは、そうだったね」
「懐かしいな」
「うん、懐かしい~」
楽しい。
こうちゃんとデートができるなんて夢のようだ。
しかも、だれにも邪魔されないなんてこといままでないもん。
振り返る。
誰もいないよな。
「こうちゃん、やばい! イルカショーの時間だよ」
「急ごう!」
そういうと、こうちゃんはわたしの手をとって走りだした。
え?
わたし、いまこうちゃんと手を繋いでいる。
やばい!
照れる。
「みさき、間に合ったな」
「う、うん」
「ここに座ろう」
「うん」
ちょうど、イルカショーが始まった。
わたしは舞い上がってイルカショーの記憶がほとんどない。
「みさき、イルカすごいな」
「うん、すごかったね」
わたしは、手を繋いだ衝撃の方が印象に残っているよ。
こうちゃんはただ普通に遅れないようにわたしの手をひいて走っただけなのだろう。
でも、わたしは嬉しかった。
「みさき、次はペンギンを見に行こう」
「うん」
ペンギンは優雅に泳いでいた。
「こうちゃん、あそこの歩いているペンギン可愛いね」
「うん、可愛いな。あれ、みさきみたいだな」
え?
可愛いのがあたしみたいってこと?
「ほら、またぼりぼり腰のあたりかいてるよ。かゆいのか?」
ああ、その行動が似てるってことね。
もう、よろこんで損した~
「みさき、そろそろ帰ろうか」
「うん」
電車に乗って帰った。
――――
家の前についた。
「こうちゃん、今日はありがとう」
「みさき、おれも楽しかったよ。はい、これお土産」
こうちゃんはわたしにお土産をかってくれていたようだ。
実はわたしもこうちゃんにお土産を買っていたのだ。
「わたしも、はいお土産」
「中、みていい?」
「ああ」
お互いにお土産を開けた。
「ペンギンのぬいぐるみのキーホルダーだ! 可愛い~」
「イルカのキーホルダーか。しかもピンクと水色と2匹いるぞ」
「うん、可愛いでしょ」
「ああ、大事にするよ」
「わたしも大事にする。こうちゃんありがとう」
「ああ、じゃあまた明日な」
「うん」
わたしは家に入った。
そして、部屋に入った。
嬉しくて顔がにやけちゃうよ。
まくらに顔をうずめて足をばたつかせて叫んだ。
「きゃーこうちゃん大好き……好き好き大好き」
叫ばずにはいられなかった。
こうちゃんにもらったキーホルダーを見ながら、ずっとにやにやが止まらなかった。




