番外編4 エイプリルフールSS
久しぶりの投稿ですが番外編です。
※尚、この話には専門的な内容が含まれます。
「弘人さん、私とカードゲームで勝負してください!」
夕食後、莉緒ちゃんがデデーンと右手に掴んだ某白黒のカードゲームを見せつけながら宣言してくる。
「えっ?いきなりどうしたんだ?」
何の脈絡もなく突然だったので首を傾げる。
「もし私が勝ったら、私と結婚してもらいます!」
しかし俺の疑問には答えずにとんでもない事を言ってくる莉緒ちゃんを見てさらに???が浮かぶ。
一体何なんだ?まさか夢かと思って莉緒ちゃんに気付かれないように足をつねってみても普通に痛い。夢じゃないとなると他のに考えられる事とすれば・・・あっ、とある事に気づく。
(なるほどな・・・それなら)
理由を察したところで俺は大きく頷いてみせる。
「ああ、良いぞ。対戦するか」
「っ!?絶対に勝ちますからね!!」
心なしか莉緒ちゃんの頬が緩んだように見える。おそらく対戦してもらえるとは思ってなかったから嬉しくなったのだろう。
俺は寝室からデッキを持ってきてテーブルを挟んで互いに対面で座り、プレイマットを引いてからデッキを置く。
「先攻後攻はこれで決めようと思うけど良いか?」
俺は白黒カードゲームのマスコットが描かれた先攻後攻カードを莉緒ちゃんに見せる。
「はい、大丈夫です」
莉緒ちゃんから了承をもらったのでテーブルの下でシャカシャカと混ぜて裏向きにテーブルへ置く。
「ではこちらにします」
莉緒ちゃんが指差した方を表向きにすると『先攻』と書かれたカードであった。
「やった、私が先攻ですね!」
莉緒ちゃんが嬉しそうにデッキの上から5枚を引いたのを見て、俺も同様にデッキの上から5枚引く。
「私は2枚変更します」
「俺は3枚かな」
それぞれ宣言した枚数を控え室に置き、同じ枚数を再びデッキの上から引く。
(うーん・・・)
手札の内容は可もなく不可もなくってところか。さて、莉緒ちゃんの使うタイトルは何かなと控え室を確認する。
「へぇ、そうきたか」
莉緒ちゃんの控え室には某大手事務所のVRチューバーが描かれていた。現環境の1つであり、カードプールの広さと様々なデッキタイプに定評がある人気タイトルだ。最近新弾が発売したのでさらにデッキの幅が拡がると思われる。
「弘人さんのデッキも強いですね」
莉緒ちゃんも俺の控え室を見てそう呟く。俺が使用するのは某五つ子ヒロインが登場するアニメで「五」の名前が入ってるヒロインを主軸としたデッキだ。こちらも人気のタイトルで少し前に新弾が発売したのでデッキの幅が広がっている。ほぼキャラ単にもかかわらずその強さは環境タイトルにも引けを取らない(というか環境タイトルかも?)。
このカードゲームはダメージ置場(所謂ダメージのようなもの)が7つ溜まるとレベルアップし、最終的に先にレベル4へ上がったら負けとなる。レベル0からスタートするので、ライフは実質28点あると言うと分かり易いだろうか。
レベルが上がるごとに強いカードを使えていくので、レベルアップするのが良くないかと言われるとそうでもないし、運要素も結構あるので単なる実力差だけで勝てるという訳でもない。
先攻の莉緒ちゃんがデッキの上から1枚引き、ダメージ置場にカードを1枚置いてデッキの上からさらに2枚引く。1点ライフを支払って手札を1枚増やすという感じである。手札に余裕がある時以外は基本的にこのプレイは行うのだ。
莉緒ちゃんは舞台の前列3面ある中で中央の面にキャラカードを置く。中央にいるとパワーが3500になり、舞台から控え室に置かれるとコストを支払ってキャラカードが最大2枚増やせるカードである。
「ではダイレクトアタックです!」
莉緒ちゃんがカードをレスト(カードを横にする動作)してアタック宣言する。俺の舞台の正面にキャラが居ないので自動的にダイレクトアタックになる。
トリガーチェックでトリガーアイコンが出なかったのでダメージは2点である。
デッキの上から2枚めくって場面カードが出なければダメージ置場にカードを置き、場面カードが出ればダメージキャンセルで控え室にカードが置かれる。
今回は場面カードが出なかったのでカードがダメージ置場に置かれ、2点のダメージを受けたという事になる。
この後はゲームが進んでいき、莉緒ちゃんが先にレベル2へと上がる。
「準備は万端です!」
莉緒はそう言うと天使キャラのレベル2助太刀カードを前面に全てに出し、場面カードを場面置場に置く。
すると助太刀カードの効果で控え室に置かれて手札からレベル3の天使キャラが舞台に出される。いわゆる早出しと言われる動作であり、このタイトルでメジャーになっているデッキ構築の1つである。
(う〜ん・・・)
前面に全て出されるとかなりきつい。しかもレベル3天使キャラの対応場面カードとの効果で控え室のキャラを2枚まで手札に戻せるためパワーを超えるのも中々難しい。
案の定戦況は不利になり、先にレベル3に上がってしまう。これで残りライフは7点であるが、まだまだ勝負は分からない!
レベル3になったので俺はレベル3の同じカードをコストを支払って前面全てに出す。
「詰めカードを出してきましたね!」
莉緒ちゃんの声色に緊張感が帯びる。莉緒ちゃんは現在レベル2でダメージ置場の枚数は4で残りライフは10点といったところ。少々遠いけどここで詰めないとおそらく次の莉緒ちゃんのターンで決められる可能性が高いからやるしかない!
俺はレベル3キャラの対応場面カードを場面置場に置く。
「フロントアタック!」
莉緒ちゃんのデッキにはコストを払うと1体アタック不可にされる助太刀カードが入ってるけど控え室に見えるから手札に無いと信じたい。
アタックした時、対応の場面カードが置かれているのでコストを支払って3点ダメージを飛ばす。
「キャンセルです!」
莉緒ちゃんがデッキを上からめくって場面カードが出たのでダメージは通らない。しかしまだ効果は終わってない!
俺は莉緒ちゃんのデッキの上から2枚のカードを確認する。もし場面カードがあったのなら控え室に置くつもりだ。この効果でダメージキャンセルをしにくくするのだ。
しかし場面カードは無く、そのまま莉緒のデッキの上に2枚のカードを戻す。
その後トリガーチェックをしてトリガーアイコンが無いのでキャラのアタックダメージは3点になる。
警戒してた助太刀は・・・飛んでこない!しかしこれもダメージキャンセルされる。
2体目のアタックは3点ダメージ効果はダメージキャンセルされるも、キャラアタックのダメージ4点は通る。これで莉緒ちゃんのレベルが3となってダメージ置場に1枚カードが置かれる。残りライフは6点だからまだいける!
「これで決める!」
俺は3体目のアタックをしてコストを支払い、3点ダメージを飛ばす!
「うわっ、通っちゃいましたね・・・」
莉緒ちゃんが少し残念そうな表情を浮かべる。ここでダメージキャンセルすればこのターンの負けはなくなったのだから当然だろう。これで莉緒ちゃんの残りライフは3点である。
続いて莉緒ちゃんのデッキの上からカードを2枚確認すると、場面カードが1枚あったので莉緒ちゃんの控え室に置いた。
「くっ、落とされましたか・・・!」
悔しそうな莉緒ちゃんの表情を尻目に俺はトリガーチェックをするとトリガーアイコンが無かったのでキャラアタックのダメージは3点である。
「せめて助太刀カードを使います!」
莉緒ちゃんが助太刀カードを使用する。これで莉緒ちゃんの舞台に居るキャラカードの方がパワーが上回るのでバトルでは俺のカードが負ける。しかしこの3点が通ればゲームは勝ちである!
莉緒ちゃんがデッキの上から1枚目と2枚目をめくっていくが場面カードではない。
そして、3枚目は・・・
「やったぁ!キャンセルです!」
莉緒ちゃんが喜びの声を上げる。デッキからめくれたのは場面カードだったのでダメージキャンセルされる。
「決めきれなかったか・・・」
「ふう、危なかったです」
残念な気持ちのままターン終了すると莉緒ちゃんのターンに移行する。
莉緒ちゃんは舞台に海賊の船長風キャラカードを前面全てに出す。
「行きますよ!」
莉緒ちゃんが対応の場面カードを置き、1体目をアタックさせると効果でコストを支払って2点ダメージを飛ばす。
このダメージはキャンセル出来たけど、キャラアタックの3点は通り残りライフは2点。この状態になるとあと4回ダメージキャンセルをしないと耐えられないからかなり厳しい。
結局2体目のアタックでダメージが通ってしまいゲームは終了。莉緒ちゃんの勝利となった。
「私の勝ちですね!これで弘人さんは私と結婚・・・と言いたいですけど、実は嘘でした〜」
「はは、エイプリルフールだもんな」
そう、今日の日付は4月1日である。その事に気付いたので莉緒ちゃんの話に乗ったという流れである。
「私は楽しかったですけど弘人さんはどうですか?」
「俺も久しぶりに莉緒ちゃんと対戦出来て楽しかったよ。負けたのは残念だったが」
「ふふ、また対戦しましょう!では私はお風呂を沸かせてきますね」
「ああ、ありがとう」
そう言って莉緒ちゃん風呂場へと向かっていった。
「いつか、嘘ではなく現実にしてみせます」という俺に聞こえない程の声で呟きながら。
いつもお読みいただきありがとうございます。
色々あって久しぶりの投稿となってしまい申し訳ありません・・・
完全に自分の趣味が入ってますが楽しんでいただけると幸いです。




