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第85話 旅行4

お待たせしました。

「皆様、建屋内を一通りご案内いたします」


 志波さんの一声で俺達は移動を開始する。まずは1階を回るとリビングの他にはダイニングや台所、トイレや風呂場といった生活スペースが主となっていて、寝室などの部屋はほとんどが2階らしい。


「わっ、檜風呂じゃん」


 絵菜が驚いているけど俺も同様であった。檜風呂に驚いたのは勿論だけど、そもそも一軒家の風呂場と比べても圧倒的に広い。浴槽も複数人が余裕で浸かれる程の広さがあり、もはや宿泊施設の大浴場と比べても遜色ないだろう。


「浴場は特に拘りがございまして、浴槽は近辺から直接温泉を引いております」

「そ、それはすごいですね・・・」


 そう呟くものの、内心では一体どれだけの金額が掛かっているのだろうと下世話な事を考えてしまった。


「ふふ、驚くのはまだ早いですよ。実はこの先に小さな露天風呂も併設してあります」

「なっ・・・!?」


 彩音さんの補足に俺は言葉を失う。いくら何でも拘り過ぎではないだろうか。何というか金銭感覚が違いすぎてもはや笑うしかない。


「へぇ~やるじゃん。入るの楽しみ!」


 と絵菜は呑気にはしゃいでいるけど、俺の反応の方が普通じゃないだろうか?


 続いて2階も案内される。どの部屋もアパートのリビング(10畳)よりも広いけど、先程案内された風呂場の衝撃が大き過ぎてさほど驚きは出なかった。うん、これは感覚が麻痺してしまったのだろう。


「お祖父様が使用されるお部屋以外であればどこを使用いただいても構いません」


 と彩音さんが言ったところで今度は部屋割りをどうするかで3人(絵菜、莉緒ちゃん、彩音さん)が再び揉めだす。


「アタシはお兄ちゃんと同じ部屋で良いよ〜」


 と絵菜が言うと莉緒ちゃんと彩音さんが「ダメ」だと徹底抗戦をしていた。もうここまで来ると半ば諦めの境地というかほとんど聞き流していた。

 色々と協議(?)をした結果、俺の部屋の両隣がそれぞれ莉緒ちゃんと彩音さん、対面の部屋が絵菜と決まったようだ。というかいつの間にか俺の部屋を勝手に決められていたけど、余計に突っ込むとまた疲れそうなので何も言わないでおいた。

 ちなみに志波さんは成り行きをずっと見守っていた。ある意味いちばん気の毒かもしれない。

 案内が一通り終わったので決まった(というより決められた)部屋に荷物を置いて再び1階のリビングへと向かうとすでに3人はソファーに座って寛いでいた。

 妙な疲労感に襲われながらも同じようにソファーへと腰を下ろす。


「そういえば今日の予定は特に無いか?」


 時間はすでに夕方近くになってきているので、おそらくは何も無いだろうと思いながらも訊いてみる。


「ええ。あっ、ですが夕食はバーベキューをする予定です」

「バーベキューか、良いな」


 バーベキューなんていつぶりだろうか。数年前に設備部門で開催されたバーベキューイベントが最後だった気がする。


「食材はほとんど調達済で志波が食材を受け取りに行く手筈になっています」


 彩音さんの話を聞きながら、今までの流れからして準備されている食材は相当豪華なんじゃないかという予感がする。


「バーベキューなんて久しぶり〜ほら、誰かさんが実家に帰ってこないから出来ないんだよね〜」

「連休も仕事が入るからどうしようもないだろ」

「別に日帰りをしようと思ったら出来る距離なんだから1日でも帰って来れば良いじゃん」

「日帰り出来る距離でも近くはないぞ。移動で疲れて次の日の仕事に支障をきたす訳にはいかない」

「もう、生真面目すぎ。そういうところはお父さんに似ないでほしいんだけど」


 絵菜は父親を嫌っているとまではいかないものの、疎ましく思っている部分があるのは知っている。多分事あるごとに俺から引き離そうとするような言動をしていたからだと思っている。

 父親としては兄離れをさせたかったという親心から来ていたのだけど、絵菜にとっては気に入らなかったのだろう。


「まとまった休みが出来れば帰るさ」


 と言っても今回が正にまとまった休みだったけど、さすがに莉緒ちゃんを置いて帰る訳にもいかないだろう。かといって莉緒ちゃんを連れて帰るというのも面倒事になりそうなので、どっちにしても実家に帰るのはまだ先になりそうだ。


「そうしてよね〜。ま、今回は一緒に旅行に来れてるから満足だけど。あ、そうだ!」


 絵菜はドタバタとリビングを出ていって数分後に戻って来ると、


「じゃ~ん!暇つぶしにこれで遊ぼう〜」


 そう言って絵菜が見せてきたのは何とゲーム機であった。しかもテレビに接続するケーブルや人数分のコントローラーまで持ってきている。


「旅行へ来るのにそこまで準備していたのか」

「ふっふっふ、こうなるんじゃないかと思って持って来たんだよね〜。夕食まで皆で遊ばない?」

「良いですよ」

「楽しそうね」


 絵菜の提案に莉緒ちゃんと彩音さんが賛成したので、俺は嫌な予感がしつつも拒否をするという選択肢は無かった。


 こうして始まったゲームは予想通り3人がヒートアップしてしまい、志波さんが戻って来ても中々終わらなかったという事だけを記しておこうと思う。

 つまり、俺にとっては非常に疲れる時間だったという訳である・・・


お読みいただきありがとうございます。

今日になって急激に寒くなり、外は雪が降っていました・・・

願わくば積もりませんように。

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