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第73話 センパイと2人きり(佐奈視点)

今回は早めに書けました。

「あ~あ、ホントに寝ちゃった・・・」


 センパイから寝息が聞こえてきて私は溜め息を吐く。せっかくセンパイを揶揄いながら会話を楽しむつもりだったのに残念。

 今日はセンパイと2人きりで出張だったので朝からテンションが上がりっきりでした。

 しかもアクシデントで今日は帰れずビジネスホテルに泊まる事になりました。あっ、ちなみに部屋の予約は本当に間違えただけ!狙った訳じゃないので勘違いしないように!


 ・・・まあ最高の流れになったのは結果論ということにしておきます。


「今日は楽しかったな~」


 だって仕事といっても大好きなセンパイとずっと一緒に居られたんですから楽しくない訳がない。しかも今は誰にも邪魔されない密室で2人きり。たとえセンパイが眠っていてもドキドキするシチュエーションです!

 まさか数日前に会話をしていたセンパイと2人きりの旅行(?)がこんな形で叶うとは思わなかったし、普段は絶対に見れないセンパイの寝顔を堪能出来る事に悦びを感じずにはいられません。


「・・・はっ!?」


 気付いたらパシャパシャとスマホのカメラで寝顔を撮影している私がいました。どうやら無意識のうちに手が動いてしまったみたい。

 センパイへの罪悪感がちょっぴり湧いたものの、写真を削除する気は全くありません。


 あれ?ひょっとして私ヤバイ女になってる!?


 おかしい、今まで何人かの男性と付き合った経験があるのにこんな事をしたのは初めて。本気で好きになるとはこういう事なんだとセンパイと一緒に居るとつくづく感じちゃいます。

 男性という生物を充分に理解しているつもりだった。でもセンパイと接するたびに価値観が覆りそうになります。

 センパイをずっと眺めていても飽きが来なかったり、センパイの写真をもっと欲しいと思ったり、センパイと一緒に居るとドキドキしてつい誤魔化して揶揄うような口調になってしまったり、センパイともっと色々遊びに行きたいと思ったり。

 どれも今まで男性を軽くあしらっていた時とは大違い。ていうか自分が意外に重い女だという事も初めて知ったくらいです。

 こんな感じでどんどん私の新たな一面を発見出来るのは新鮮な気持ちだし、センパイと居るとホントに退屈しない。


「はぁ〜眠ってるセンパイもカッコイイな〜」


 うっとりしながらセンパイの寝顔を眺めているとふと気付く。もしかして今ならセンパイに触り放題出来るのでは、と。

 いやいやナニ考えてるの!?いくら何でもそんな事をしたらヤバすぎるでしょ!?


 ・・・でも、ちょっとだけなら試してみても良いんじゃない?と、頭の中に響いてくる悪魔の甘美な囁きに私は耳を貸してしまった。

 私はこっそりセンパイの頬を人差し指でつついてみる・・・センパイが起きる様子は無さそう。

 すると私の頭の中でさらなる誘惑が浮かんでしまう。今ならキスをしてもバレないんじゃない?と。


 ・・・はっ!?これじゃ益々私が痴女みたいになっちゃう!


 ダメだと思いながらも私の顔は徐々にセンパイへと近付いていき、いよいよ唇と唇が触れそうな距離になった時・・・ある女の子の顔が浮かぶ。


 センパイの親友の娘という『莉緒っち』の事を。


 すると私は一瞬で我に返ってセンパイから少し離れる。

 甘っちょろい事は考えず既成事実を作ってしまってもいい。だって恋愛は早い者勝ちなのだから。


 だけどそれでは莉緒っちと正々堂々と勝負したとはいえない。たたでさえ歳下の相手だというのに狡い方法を使ってしまえば心情的に少なくない蟠りが残るに決まってる。

 そして何よりもセンパイの気持ちを全く無視している事になる。そんな状態で幸せな結末なんて決して訪れはしない。


 ・・・お互いの気持ちが重ならない限り上手くいかなくなるなんてよく知っていたはずなのに。


「私ったら少し舞い上がっていたみたい・・・」


 冷静さをほぼ取り戻した私。でも、だからといって欲望が消える訳じゃない。


「このくらいなら良いよね・・・?」


 半ば言い聞かせるかのように私はセンパイのベッドへ静かに侵入する。


「ああ、センパイの匂いだ〜」


 大好きな匂いに包まれて安らぎを感じた私はいつの間にか瞼が閉じていたのでした。

お読みいただきありがとうございます。

今回はちょっとヒロインがキャラ崩壊&暴走気味?まあいっか、たまにはw

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