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第67話 休暇雑談と

大変お待たせしました。

「夏ですねぇ~」

「そうだな」

「暑いですねぇ〜」

「ああ、暑いな」

「・・・センパイ、1つ聞いて良いですか?」

「何だ?」

「なぜ社会人には夏休みが無いんですか!?」


 ハンカチで汗を拭きながらも暑苦しい声を上げる仙堂。

 俺と仙堂の2人は製造現場で担当者との打ち合わせが終わって事務所へと帰っている途中である。

 雲ひとつ無い青空に日射しが容赦無く照りつけていて非常に暑い。そんな中で仙堂が突然言い出すものだから一体何事かと思ってしまう。


「夏休みという意味ならお盆休みがあるだろ」


 すると仙堂が不満げな表情を浮かべる。


「あんなの気休めじゃないですか!だいたいその連休にすら仕事が入ってまとまった休みが取れないんですよ!」

「この仕事に就いた以上は諦めるしかないな。心配するな、そのうち慣れてくるぞ」

「嫌です、慣れたくないです!」


 その気持ちは分かる。俺も最初は同じような事を思ってたからだ。しかし何年も同じ事が繰り返されると慣れてくるのが人間というものである。それが良いかどうかは別として。


「ならどこかでリフレッシュ休暇でも取ったらどうだ?」


 リフレッシュ休暇は企業が独自に設けている特別休暇の事である。これは有給休暇とは別の扱いであり、この会社の場合は1年に2日、勤続年数が5の倍数の時は4日与えられている。


「リフレッシュ休暇ですかぁ・・・まだ使った事無いですね〜」

「実際使っている人は多くないけどな」


 制度としてはあるものの、使用するかどうかとなると話は別である。設備部門は特に取得率が少なく2割程度だと聞いた記憶がある。


「有給休暇と合わせると結構休めそうですね」

「まあな。分かってると思うけど、有給休暇も年間5日は必ず取らないとダメだぞ」


 最近では有給休暇を最低でも5日間取るのが義務付けられているので、ある程度計画的に有給休暇を使う必要がある。


「ふっふっふ、私はもう4日間取ってますから余裕です!」


 胸を張って誇らしげに答える仙堂。別に自慢するところではないと思うのだが・・・


「そういうセンパイは有給休暇いくつ取りました?」

「俺か?・・・よく考えたらまだ2日間しか取ってない」


 今までを振り返ってみると、今年は莉緒ちゃんと同居し始めてから有給休暇を取っていない事に気付く。


「え〜、センパイの方が取ってないじゃないですか〜。義務は5日ですけど、部門の取得目標は10日ですよ?」

「ああ、分かってる。どこかでリフレッシュ休暇も含めて1週間くらい休んでみるか」

「じゃあその時は教えてくださいね」

「何で教える必要があるんだ?」

「え?センパイと一緒に休むからに決まってるじゃないですか」

「いや何でそうなる?」

「きっとセンパイなら可愛い後輩を旅行に連れて行ってくれますもんね〜」


 こんなふうに仙堂は時々突拍子もない事を言ってくる。言葉の意味が分からない訳ではないけど、どういう意図で言っているのが分からないのだ。


「色々と突っ込みどころがありすぎて意味が分からんぞ。だいたい旅行だったら友達とかと一緒に行った方が良いだろ」


 とりあえず無難に返したつもりであったけど、仙堂はジト目で俺を見つめてくる。


「・・・突然平日に長期休暇を取って一緒に旅行出来る友達が居ると思いますか?皆同じ社会人ですよ?」

「あー・・・」


 これに関しては仙堂が正しい。働き方改革で有給休暇を取りやすい環境にはなってきているけど、気軽に取れるという企業はまだまだ少数派だろうし長期休暇となれば尚更である。

 しかも会社が違う友達ともなれば予定を合わせるのは至難の業だろう。


「だいたい女友達とだけで旅行するのはあまり良くないんですよ?時々変な男にナンパとかされて面倒事に巻き込まれたりしますし」


 仙堂が苦い表情を浮かべているところを見ると、どうやらすでに経験済らしい。


「だからといって男友達を誘う気にはなれないですけどね~。気があると勘違いさせちゃうと余計に面倒なんで」

「いずれにしても気を遣うって事か」

「全ては私が可愛い所為なんで仕方ないですね〜」

「はぁ、お前は相変わらずだな」


 俺が溜め息を吐いてみせると、仙堂が少しムッとした表情になる。


「良いじゃないですか、可愛いのは事実なんですから」

「はいはい」

「むぅ~、私が可愛いって言ったらいつもそんな態度を取りますね」

「仙堂の可愛い自慢は耳にタコが出来るくらい聞いてるんだ。今更どう反応しろと?」

「『おう、仙堂は可愛いぞ』とか?」


 キリッとした表情をわざと作る仙堂。


「まるで後輩を口説いている気持ち悪い先輩にしか見えないぞ」

「ははっ、もしセンパイが言ってきたら悪い物でも食べたんじゃないかと思っちゃいます」

「結局今まで通りが良いってことだ」

「まったくつれないセンパイですね~。はぁ、どこかセンパイと遠出する機会って転がってないですか?」

「そうそうある訳ないだろ」


 と、言ってたのだけど・・・


「2人には出張に行ってもらう」

「「えっ?」」


 まさか数分後に課長からそう言われるとはこの時知る由もなかったのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

最近あまりにも仕事が忙しくて投稿が出来ませんでした・・・。

あと1ヶ月は忙しい日々が続きそうです。

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