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第7話 朝の学校(莉緒視点)

お待たせしました。今回は莉緒視点です。

「いってらっしゃい・・・ふふふっ」


 教室に着いて席に座った私は思わず笑みがこぼれてしまいます。

 大好きな弘人さんに学校まで送ってもらい、さらに「いってらっしゃい」と言ってもらえるなんて最高です!

 これだけでも今日一日頑張れちゃいます!

 しかも送ってもらえるだけでなく迎えに来てもらえるのです。毎日じゃないのが少し残念ですけど、それでも充分すぎる程嬉しいと言えます。

 こんなに幸せな日々がしばらく続くかと思うと頬が緩んでしまうのも仕方ありません。


「ねぇ」


 あ、今日の夕飯は何にしましょうか。迎えに来られた時にでも聞いてみましょう。


「ねえ、莉緒」


 あとは家から何を持ってくるかも考えないと。調理器具もあまり無かったし、ちょっと荷物が多くなりそう。


「莉緒ってば!」

「えっ?」


 大声で呼ばれたので顔を向けると、そこには少し怒った表情を浮かべた女の子が立っていました。


「さっきから声を掛けてるのに何で無視するのよ!」

「ご、ごめん恵ちゃん。ちょっと考え事をしてたの」


 彼女の名前は初島恵ちゃんで、中学の時からの付き合いでとても仲が良いお友達の1人です。


「へぇ、じゃあ気味の悪い笑みを浮かべながら一体何を考えてたのかしら?」

「えっ!?」


 しまった、弘人さんの事を考えるあまり変な笑いになってたのかも!?


「嘘よ」

「~~~~~っ!もう、何でそんな冗談言うの!」

「だって、さっきは無視されたからね~」

「それは謝ったでしょ」

「あはは、これくらいで許してあげる。でも、頬が緩んでたのは本当よ。何か良い事でもあった?」

「べ、別に何もない」


 すると恵は何やらニヤニヤした笑みを浮かべてくる。


「ふ~ん・・・あ、そういえば今日は車がいつもと違ったわねぇ~」

「!!」


 私は驚いた表情を出さないようにする事で必死でした。学校から少し離れた位置で降ろしてもらったのに、まさか目撃されているとは思いませんでした。しかもよりによって揶揄う事が好きな恵ちゃんにです。

 これは何としても誤魔化さなくてはなりません。


「うん、車が変わったの」

「そうなんだ。でもおかしいな~、いつもなら校門前まで送ってくれるはずよね?」


 ううっ、鋭い!確かにお父さんならいつも校門の目の前まで送ってくれます。

 きっと恵ちゃんは中学の頃からずっとその光景を見ているので不思議に思ったのでしょう。


「き、今日は忘れ物をしたらしくて急いで家に戻りたかったみたい。さ、早く教室に行こ」


 自分でも苦しい言い訳だと思い、強引に話を打ち切ろうと早足気味に歩きますが逃してくれる恵ちゃんではありませんでした。


「ふふふ、こんな面白そうなネタを見逃すほど甘くないわ!」


 すぐに追いつかれて肩に手を置かれてしまいます。


「早く教室に行かないと遅刻しちゃうから」

「何言ってんの。まだ時間あるし、話は歩きながらでも出来るでしょ。ささ、ゆっくり聞かせてもらうわよ」


 ニヤニヤとする恵ちゃんの表情がまるで悪魔の微笑みに見えたのでした。




「へぇ~莉緒のお父さんが長期出張で家を空ける事になったから、一人になる莉緒が心配で友人の家に一緒に住むように勧めたのね」

「う、うん」


 恵ちゃんからの追究を逃れられず、結局事情をある程度話す事になっちゃいました。やっぱり恵ちゃんは押しが強いです。


「でもあれだけ莉緒に対して過保護なお父さんがそんな事言うなんてちょっと信じられないわね。よっぽど信頼出来る友人なのね」

「うん、私も小さい頃からよく知っている人だから」

「で、莉緒はその人に想いを寄せてるって事ね」

「ええっ!?そ、それは・・・」


 急激に顔が熱くなっていくのが分かります。これでは恵ちゃんの言っている事が本当だと認めているのも同然です。


「あはは、莉緒ってば分かりやすすぎ。でも今まで多くの男子に告白されても断ってきた理由がようやく分かったわ」

「うう、バレちゃった・・・」


 今まで隠し通してきたのに、思わぬきっかけで知られてしまいました。このままじゃもっと揶揄われると思ったのだけど、急に恵ちゃんは真剣な表情になりました。


「でも、お父さんの友人って事はだいぶ年上よね?同年代にだって良い男子はいっぱいいると思うけど、莉緒はそれで良いの?」


 普段は私を時々揶揄って困らせてくる恵ちゃんだけど、いざ私が困っている時は親身になって相談に乗ってくれたりしてくれます。今の言葉もきっと私の案じての事でしょう。でも・・


「うん。だってずっと好きだったし、弘人さん以外考えられないよ」


 たとえ困難だとしてもこの想いは譲れないし、簡単に諦めたくない。


「そう・・・。なら応援しなきゃね!」


 あれ?さっきまで真剣な表情だったのに、急にまたニヤニヤし始めた恵ちゃん。何だか嫌な予感が・・・


「それにしても莉緒が好きな人は弘人さんって言うのね~」

「え?あっ!?」


 口が滑って思わず名前を言ってしまいました。揶揄いのネタを自分で提供してどうするの!?


「ねえねえ、今度ウチに会わせてよ~。絶対悪いようにはしないから!」

「だ、だめ!」

「別に減るもんじゃないから良いじゃん。あ、そうだ、莉緒と一緒に帰れば弘人さんって人に会えるよね?今日は部活が無いからちょうど良いし」


 この一言で下校時は恵ちゃんから逃げるために必死になって走った事は弘人さんには内緒です。


お読みいただきありがとうございます。

新作カードが発売しました!どんなデッキを組もうか考えていますが中々決まりません。とはいえ、脳内構築だけでは実際に動かしてみないと気付かないこともあるのでとりあえず組んでみようと思います。

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