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番外編3 年越し記念SS

今回は番外編です。

「ねえ、センパイ」

「ん?どうした?」

「今日の日付って知ってます?」

「何言ってんだ。知ってるに決まってるだろ」

「じゃあ言ってみてくださいよ」


 私の言葉にセンパイは溜め息を1つ吐いて答えを告げる。


「12月31日だ。仙堂だって分かってるだろうが」

「当たり前ですよ!今日が何の日か分かりますか!?」

「何の日かって、言わなくても分かるだろ。もしかしてなぞなぞか?」

「なぞなぞじゃないです!さ、早く言ってください!」

「何なんだまったく・・・今日は1年で最後の日、つまり大晦日だ」

「そうです、大晦日ですよ!!」


 私が大声を出すとセンパイは呆れた表情になります。


「なあ仙堂、一体何が言いたいんだ?」

「じゃあはっきり言います・・・何で大晦日なのに出勤しないといけないんですか!!」

「何でって、仕事があるからだろ」

「そんなありきたりな回答は求めてません!私が言いたいのは何で大晦日なのに休みじゃないんですか!?この会社はブラックですか!?」

「いや、さっきと同じ事言ってるぞ・・・だいたい周りを見てみろ。俺と仙堂以外は居ないじゃないか」


 そう、今日設備部門で出勤しているのは私とセンパイだけで他の人は休んでいます。


「そんなの分かってますよ!工事をするにも発注先の業者と製造現場の都合が今日しか合わなかった事もです!」

「分かってるんならいちいち騒がなくても良いだろ。いくら言ったところで仕事をしないといけない事実に変わりはないぞ」

「むう、センパイは冷たいです!こんなに若くて可愛いいたいけな後輩が健気にも出勤してきているのに、労いの言葉1つも出てこないんですか?」

「おいおい、それは朝会った時に言っただろ?それに大晦日でも働いている人はそれなりに居ると思うが」

「そんな気休めの言葉はいりません!私に対して労いの気持ちをちゃんと形にして表してください!」


 私の言葉を聞いたセンパイはさらに呆れた表情を浮かべます。


「形って何だよ・・・俺に何を求めてるんだ?もっと分かりやすく言ってくれ」

「良いでしょう・・・・センパイは後輩を労うために飲みに連れて行く義務があります!!」


 ビシっと人差し指をセンパイへ向けて突き出します。


「義務って・・・仙堂、さっきから言動がおかしいぞ。大丈夫か?」

「大丈夫ですよ!失礼ですねっ!」

「いや、どう見ても大丈夫じゃないだろ・・・」

「大丈夫なんです!!さあセンパイ早くはいかYESで答えてください!」

「とっちも同じ意味だろうが!俺に断る選択肢は無いのか!?」

「そうです、だから義務だって言ったじゃないですか」

「いや、義務じゃないだろ」

「そんな事言って良いんですか〜?課長に後輩への態度が悪いって言いつけますよ?」

「おい、最近それを言えば何でも言う事を聞くと思ってないか?」

「え?だって嘘は吐いてないですよ?」

「いや、嘘だらけだろ」

「まあまあ細かい事言わずに付き合ってくださいよ。どうせ予定は入ってないんでしょ?」

「俺に予定が入ってないって勝手に決めつけるんじゃない」

「じゃあ予定があるんですか?」


 するとセンパイはそっと目を逸らす。


「ほらほら〜、やっぱり無いじゃないですか!ここはおとなしく可愛い後輩を連れて飲みに行きましょう!」

「飲みに行くって言っても、この辺の飲み屋は多分開いてないぞ」

「そんな嘘言っても・・・あ、ホントだ」


 調べてみても確かに開いてる飲み屋がありませんでした。


「何で開いてないんですか!?」

「何でって、大晦日だからだろ」

「そんなの理不尽です!」

「いや、俺に言われても・・・」


 確かにセンパイに言っても意味が無かったですね。

 そうなると・・・


「では私の部屋で飲みましょう!」

「えぇ・・・仙堂の部屋に行くのか?」

「だって飲まないとやってられないです!」


 すると再び小さく溜め息を吐きながら、


「まったく、仕方ないな・・・」


 と呟くセンパイ。

 ふふ、苦笑しながら最終的には付き合ってくれるセンパイだから好きなんですよ。




「ふふふ〜、せんはぁ〜い、のんれますか~?」

「はぁ、やっぱりこうなった・・・」

「そんらにためいきちゅくと幸せがにぎぇていきましゅよ〜」


 へへへ、とても良い気分でふわふわしてましゅね〜。


「おい、ちょっと距離が近すぎるぞ」

「ええ〜、べちゅに良いじゃないでしゅか〜」


 私は酔った勢いでセンパイの肩に頭を置きます。普段ならここまで大胆な行動はしないですけど、年越し前という気分が私の気持ちを盛り上げていました。


 するとセンパイは突然私の両肩を掴み、床に押し倒してきました。


 えっ?えっ?


「前から言ってたよな。仙堂は少し無防備過ぎるって」

「な、なにしゅるんでしゅか?」

「いくら俺でも我慢の限界ってのがあるぞ。少しは痛い目を見た方が良いんじゃないか?」


 いつものクール気味なセンパイとは違う荒々しい行動。そして瞳の奥には確かな情欲が酔っている私ですら分かりました。


 えっ、これってもしかして・・・


「仙堂、後悔するなよ」


 そしてセンパイは私の服を脱がし始め・・・




「あっ、センパイったら乱暴なんだから・・・ってあれ?」


 ふと気が付くと私はベッドの上に居ました。周りを見渡してもセンパイの姿はどこにもありません。


 それに暑い(・・)


 いくら暖房を付けていてもあり得ない程です。


「あっ・・・」


 そうだ、何を寝ぼけていたんだろう。今は7月(・・)なんだから暑いに決まっています。


「あぁぁぁぁ~!!」


 そして今までの出来事が夢だったという事実にようやく気付きます。


 うう、途端に恥ずかしさが爆発します。あんな夢を見るなんて、私ってひょっとしたら欲求不満・・・?

 しかも下腹部が妙に湿っているような・・・


「う〜〜〜〜〜!?」


 またしても恥ずかしい事実に気付き、慌ててシャワーを浴びます。どこか火照った身体を冷やすように冷水にして思いっきりです。


「はぁ、はぁ・・・」


 朝から妙に疲労が溜まってしまい、部屋に戻った時にデジタル時計を見ると。


「あっ、今日って平日だ!しかももうこんな時間・・・」


 いつも出勤する時間がすぐそこに迫っていました。私は慌てて準備をするとともにこう思いました。


 今日センパイの顔をまともに見れるかな、と・・・。

いつもお読みいただきありがとうございます。

そして明けましておめでとうございます。

本当は大晦日に投稿する予定が少し遅れてしまいました・・・。

今年の前半は仕事が相当忙しくなるので、あまり更新できないかもしれませんが気長に待っていただけると幸いです。

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