第57話 期末テストの目標とお願い
大変お待たせしました。
仙堂の手料理をご馳走になった翌日の日曜日。
朝食を食べた後にリビングで朝の情報番組を見ながら今日は何をしようかと思っていると、食器の片付けを終えた莉緒ちゃんが俺の隣に腰を下ろす。
「あの、弘人さん少しお話しがあるのですが・・・」
どこか言いにくそうにしている様子を見ると悩み事か何かだろうか。
「ん、どうしたの?」
俺で解決出来るような内容なら良いんだけど、と思いながら続きを促す。
「えっと、その、も、もうすぐ期末テストがあるんですけど」
「ああ、もうそんな時期か・・・」
今は7月の初旬に入ってきており、言われてみればそろそろ期末テストが行われる時期だろう。そうなると莉緒ちゃんの話というのは・・・
「もしかして中間テストの時にもやった事を期末テストでもやって欲しいとか?」
中間テストの時は勉強へのモチベーションを上げるために目標を達成したらご褒美をあげると提案したのだ。前回の目標は全科目90点以上にしたけど、余裕を持って達成したのだった。
「あっ、そ、そうです!今回もお願い出来ますか?」
「了解。今回の目標はどうしようか・・・」
期末テストは中間テストよりも範囲が広いし科目数も増えるはずである。難しさでいうと確実に期末テストの方に軍配が上がるだろう。
「よし、今回も全教科90点以上にしようか」
結局提案した目標は前回と同じ。しかし、科目数が多いのと難易度が上がっているであろう事を考慮に入れるとちょうど良いのではないだろうか。
「分かりました!期末テストも頑張ります!」
気合の入った表情で答える莉緒ちゃん。あまり褒められたやり方ではないかもしれないけど、モチベーションが上がるのあれば悪くないと思う。
「ご褒美の内容はどうする?」
「そうですね・・・今回も私が考えて良いですか?」
「ああ、構わない」
俺としてはご褒美の内容を考える必要がなくなるし、達成すれば希望通りの内容になるのだからさらにやる気が出るはずだ。まあ莉緒ちゃんの事だから無茶なお願いもしてこないと思うし断る理由は無い。
これで話は終わりかなと思ったけど、莉緒ちゃんの表情を見るとまだスッキリとした感じではなさそうである。
「ひょっとしてこれが本題じゃなかったりする?」
するも莉緒ちゃんが気まずそうな様子でわずかに目を逸らす。うん、何とも分かりやすい。
やがて覚悟(?)を決めたのか再び視線を向けてくる。
「・・・は、はい、実はもう1つご相談がありまして」
言い難そうに口を開く莉緒ちゃん。一体どんな内容なのか。
「えっと、昨日友達と出掛けた時に期末テストも近いから勉強会をしないかと友達が言ってきたんです」
勉強会か・・・。俺が誠也に泣きつかれて仕方なく開いたような一方的な形式じゃないんだろうなぁ。まあ莉緒ちゃんは頭がすごく良いから教える側に回りそうな気もするけど、自分の復習にもなるからそれなりに有益ではあるだろう。
今の話だけ聞いても特に言い難くなりそうな部分は無いはずだけど・・・
「うん、良いと思うけど何か問題でもあるの?あ、勉強会でご飯の準備が出来なくなるとか?」
莉緒ちゃんの性格を考えると割とあり得そうな話である。
しかし莉緒ちゃんは首を横に振る。
「いえ、いくら忙しくてもそれは絶対にしますので」
忙しいのなら外食で済ませても良いと思うのだけど、莉緒ちゃんとしては譲れない部分のようである。
そうなると莉緒ちゃんの相談内容がいよいよ分からない。これはおとなしく聞きに徹したほうが良さそうだ。
俺が莉緒ちゃんに続きを促すと頷いて再び口を開く。
「それで、勉強会をどこでしようかという話になったんです。図書館という話も出たのですが、タイミング悪く改装中でした」
そういえばポストにそんな内容のチラシが入っていた気がする。
「ファミレスとかは集中出来そうにないので、結局誰かの家でするのが良いという話に落ち着きました」
なるほど、勉強会を誰かの家でするというのは定番といえば定番である。
「最初は友達の家でしようかという話で決まっていたのですが、先程連絡があって友達の家が使えなくなったんです。それで、私の家でする事になりまして・・・」
そこで莉緒ちゃんは突然勢いよく頭を下げる。
「あの、私達の勉強会に同行してもらえませんか!!」
「・・・ん?」
何でいきなりそんな話になるんだ?話の流れが見えなくて頭の中は疑問符でいっぱいである。
「てっきりここで勉強会をする事になったと思ったんだけど違うの?」
「居候をしてる家に友達を呼ぶなんて失礼じゃないですか。私の家なら自由に使えますしちょうど良いと思ったんです」
その気遣い(?)がいかにも莉緒ちゃんらしい。
「じゃあ何で俺が同行する必要があるんだ?」
祭川家を使う理由は分かったけど、なぜ俺が一緒に行く話になるのか未だに分からない。
「その、友達2人とも女の子ですし、保護者が誰も居ない家に3人だけというのはあまり良くないんじゃないかってなったんです」
「なるほど・・・。理由は分かったけどいつなのかな?平日だと仕事が終わってからじゃないと同行出来ないけど」
すると莉緒ちゃんが気まずそうに口を開き、
「えっと、今日の午後です・・・」
と、小声で呟くのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
出来れば年内にもう1話出したいところです。




