第42話 襲来!?3 (莉緒視点)
お待たせしました。
「キミに、ううん、誰にもお兄ちゃんは渡さないから」
部屋に入ってすぐに絵菜さんに告げられた言葉に私は戸惑いました。
「え、えっと、それはどういう事でしょうか?」
「どういう事も何も言葉通りの意味よ。どんな女であってもお兄ちゃんと特別な関係になんてさせない。キミだってお兄ちゃんが好きなんだろうけど」
「っ!!」
私は思わず頬を赤くしてしまいます。美菜子さんの時といい、どうやら私の対する弘人さんへの想いは分かりやすいみたいです。
「気持ちは理解出来るよ?お兄ちゃんは優しくてカッコいいだけじゃなくて、良いところがいっぱいあって語り尽くせないくらいだから。お兄ちゃんは自覚がないみたいだけど結構モテるし」
そういえばお父さんも同じような事を言っていました。確かに現状でも仙堂さんと空町さんという強力なライバルが居ますし。
それにしても弘人さんの事を話している時に絵菜さんが浮べている表情には並々ならぬ熱がこもっているように感じられます。
「まさか、絵菜さんは・・・」
「そ、アタシはお兄ちゃんが好き。勿論家族としてじゃなく1人の男性として」
あっさりと告げられた私は衝撃を受けました。しかし絵菜は構わずさらに続けます。
「言っておくけどアタシとお兄ちゃんは正真正銘実の兄妹だからちゃんと血は繋がってる。だからといってお兄ちゃんに恋をしちゃいけないなんて誰にも言わせない。だって想いの強さはアタシが絶対に一番なんだから」
私は絵菜さんに圧倒されていました。あれだけ堂々と弘人さんに対する想いを口に出来るなんて。これでもかという程弘人さんへの気持ちが伝わってきます。
「お兄ちゃんに近付いてくる女は皆アタシが忠告をしてあげるとすぐに諦めてくれたわ。中には気味悪そうに見てくるヤツも居たけど、別に気にならなかったわ。だってお兄ちゃんを諦めてくれればそれで良かったんだから」
何かを思い出すように語っていた絵菜さんは私に再び
視線を向けてくる。
「だからさ、キミもお兄ちゃんの事諦めてよ。だいたいキミくらいの容姿があったら学校でもモテてるでしょ。別にお兄ちゃんじゃなくても良いんじゃないの?」
絵菜さんの言う通り、私は中学生の頃から何回も告白されています。さらに高校に入学してからもまだ2ヶ月余りにもかかわらずすでに数回告白されています。
ですが、私は全ての告白を断わっています。だって弘人さんを見ていたら他の男子なんて全く魅力的に感じないですから。
以前にも同じような事を美菜子さん言われたのを思い出します。あの時からも私の気持ちは全く変わっていません。
・・・だから、私の答えは1つです。
「いいえ、諦めません」
すると私の言葉を聞いた絵菜さんが目を細めます。
「・・・へぇ、面白い事言うじゃん。単なる反発で返したって感じでもなさそうだし」
「私も弘人さんが好きです。最初は優しくてよく遊んでくれるお兄ちゃんのような存在でした。ですがそのうち弘人さんを見ていると胸の高鳴りが止まらなくなって、心が温かくなるような気持ちが溢れ出てきました。私がこんなに惹かれるのは弘人さん以外居ません」
私は自分の想いを絵菜さんに伝えます。同じ人を好きであるのなら、私の言葉が決して軽いものではないと分かってくれていると思います。
「なるほど、どうやら口だけじゃなさそうね。料理だってお兄ちゃんが好きな味付けに合わせてるんでしょ?」
「き、気付いていたのですか!?」
「当たり前じゃん。キミの年よりも長い間お兄ちゃんの妹をやってるんだよ?どんな味付けが好みかなんて知らないはずがないでしょ」
まさかあの晩御飯だけで私が弘人さんの好きな味付けにしているのが分かってしまうとは思いませんでした。
「だからといってこの程度で良い気になってもらっちゃダメよ。あんなのはアタシにだって出来るし、何よりキミはまだ学生なんだから」
「っ!!」
私は思わず表情を歪めます。一番痛いところを突かれてしまったからです。
「アタシは特別な関係になるには対等じゃなければならないと思ってる。ただ一方的に与えられてるだけじゃ長続きになんてしないし、互いに支え合える存在じゃないとダメ。キミはまだ学生で支えられる側の人間。家事は出来るかもしれないけど、それだけで支えられると思わないことね」
私はまだ学生で絵菜さんの言うような弘人さんを支える力は無いかもしれません。それでも、
「それなら私は支えられるように努力します。弘人さんの傍にずっと居られるために!」
強い意思を込めて絵菜さんを見つめます。まだ未熟なら弘人さんへの想いの強さで負ける訳にはいきません!
「・・・そう、ならアタシにお兄ちゃんへの想いを見せてみなさい。口だけでは何とでも言えるしね。言っておくけど変に媚びたりアピールしても無駄だから」
絵菜さんの厳しい視線に怯まないように両手の拳を強く握りしめます。
「はいっ、見ててください!必ず絵菜さんに認めてもらういますから!」
「ふん、大きく出たわね。それならアタシも見せてあげる。お兄ちゃんへの想いがどれだけ深いかを。・・・もしアタシが認める事があるのならば、それは・・・」
「え?」
「何でもないわ。さて、そろそろお兄ちゃんがお風呂から出てくるだろうからこの話は終わりにするわ」
そう言って絵菜さんは部屋から出ていきました。
「どうしたのでしょうか・・・?」
先程一瞬だけ浮かべた絵菜さんの複雑な表情が妙に印象に残ったのでした。
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某音ゲーのランクマッチをやっていますが、ゴールドランクのクラス3と4の辺りをうろうろしています。マスクーランクはきっと凄腕の集まりなのでしょうね。




