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第40話 襲来!?1

大変お待たせしました。

 祭川家の清掃を終えてアパートに戻ってきた俺と莉緒ちゃん。車内のエアコンである程度汗は引いたものの、汗の含んだ衣服を着たままなのは気持ち悪いので服を変えつつシャワーも浴びる事にした。


「まずは莉緒ちゃんがシャワーを浴びておいで」

「は、はいっ」


 返事をする莉緒ちゃんの頬はまだ少し赤く、どこか慌てるように風呂場へと向かっていった。どうやら先程あったハプニングを引きずっている様子である。

 実際に道中の車内でもずっと静かで会話が皆無に等しく、微妙な雰囲気が今も続いているのだ。

 とはいってもあれは事故なので謝るというのも何だかおかしな気もするし、あまり意識させてしまうと何とも言えない微妙な雰囲気が長引くだけなので強引に話題を変える方が正解だろうか。

 そうこう考えている内に莉緒ちゃんがシャワーを浴び終わって風呂場から出て来たので、続いて俺がシャワーを浴びるために風呂場へと向かった。


 シャワーを全身に浴びてサッパリしたら良い考えが思い浮かぶかと思ったけど、結局思い浮かぶ事はなかった。

 身体をバスタオルで拭いて服を着替えてリビングへと戻ると、莉緒ちゃんはソファーに座ってスマホを操作しているようであった。いつもなら声を掛けてくれるのだけど、声を掛けるどころか全く視線すら向けてこなかった。

 これは長引きそうだと内心諦めかけていた時、インターフォンが鳴り響く。来客は無いに等しいのでおそらくは配達か何かだろう。


「わ、私が出ますねっ」


 タタタ、と少し慌て気味に階段を降りていく莉緒ちゃん。


 ・・・この時インターフォンから映る映像を見ていれば、もしくは俺が出ていればまだ良かったのかもしれない。しかし微妙な雰囲気が続いていた影響もあって悉くすり抜けてしまったのだ。


 ガチャっと玄関の扉が開いたと同時に、


『やっほ~、久しぶ・・・り?』


 莉緒ちゃんではない、しかしとても聞き覚えのある女性の声が響いた瞬間に俺の思考が一瞬停止してしまう。


「え、えっと、どなたでしょうか・・・?」


 明らかに戸惑った莉緒ちゃんの声が聞こえてきてようやく我に戻り、俺は急いで階段を降りていく。


 こうして玄関に辿り着いて視線が合った時、思いっきり不審者を見るような冷たい目を向けられてしまう。


「ねえ、この子は誰なの・・・お兄ちゃん?」


 少し茶色が混じった髪を横に束ねた女性・・・もとい俺の妹が立っていたのだった。




「ふ〜ん、そうだったの。アタシてっきりお兄ちゃんが女の子を連れ込んでいかがわしい事でもしてるのかと思っちゃった」

「はぁ!?そんな事する訳ないだろ!」

「だってお兄ちゃんかと思って見たら女の子が出てきたんだもん。一瞬頭が真っ白になったじゃない!」

「それは何というか、すまん・・・」

「ホントにびっくりしたんだから!もう少しお兄ちゃんが来るのが遅かったらスマホに『110』を押すところだったし」

「いや、そこは兄を信用してくれ・・・」


 あの後部屋へ上がってもらい、俺はかなりの時間を掛けて事情を説明する羽目になってしまった。

 とりあえず分かってはくれたものの、今でもジトっとした目を向けられ続けていて少し居心地が悪い。


「はぁ、まあ良いわ。とりあえず自己紹介でもしよっか。アタシの名前は神白絵菜、れっきとした実の妹よ」


 絵菜の声音を聞く限りあまり機嫌は良くなさそうだ。


「祭川莉緒です。弘人さんの友人である祭川誠也の娘で、今は高校1年生になります」


 対する莉緒ちゃんはどこか緊張した様子である。


「ふ〜ん、誠也さんの娘ってもう高校生なんだ。時間が経つのは早いね」


 絵菜と誠也は面識があるけど、莉緒ちゃんとは全くの初対面である。莉緒ちゃんが生まれる前までは誠也がよく俺の実家に遊びに来ていたけど、莉緒ちゃんが生まれてからはほとんど俺が遊びに行くという形に変わったからだ。


 それにしても初対面なのに莉緒ちゃんを見る絵菜の目がどこか厳しいように感じる。莉緒ちゃんも同じ事を思っているのか緊張が解けていないように見える。

 そういえば俺が学生時代の時は誠也と遊ぶ時に必ず絵菜がごねていた事を思い出す。だからこそ誠也にはあまり良い感情を抱いていなかったし、その娘である莉緒ちゃんにも自然と厳しくなっているのかもしれない。


 そもそも当時の絵菜は俺にべったりでどこへ行こうにも一緒に付いて来ようとしていたのだ。

 特に俺が今の会社に就職して実家を離れる事になった時は猛烈に反発された。『お兄ちゃんと離れるのは嫌だ!』と涙ながらに言われた時はかなり困ってしまった。ついには『お兄ちゃんと一緒に暮らす!』なんて言い出したものだから、俺と両親は説得するのにかなりの苦労を要した。

 最後は時々実家に帰るという条件を付けて渋々納得してもらったものの、しばらくは不機嫌な状態が続いて大変だった。

 そしてようやく機嫌が直ると今度はこっちに遊びに来るようになった。しかも今のように連絡も無しに突然である。

 当時はまだ中学生とかだったから、1人で来るのは危ないと注意しても一向に改善される気配がなく今も続いているという訳である。


「ところで今日は何しに来たんだ?」


 重苦しい空気をどうにか変えるべく俺は口を開く。といっても絵菜が持っていたキャリーケースを見てだいたい予想はついているが。


「それ分かってて言ってるでしょ。遊びに来たのと数日泊めさせてもらうから♪」


 と、絵菜は笑顔で答えるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

仕事が忙しくなって中々更新できませんでした・・・。

どうにか時間を見て進めていきたいところです。


あと息抜きに短編を書いてみました!

時間があれば読んでみてください!

「妹がストーカーに付きまとわれていると相談しに来た結果」↓

https://ncode.syosetu.com/n9120hs/

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