第38話 親友の娘VS後輩4(佐奈視点)
お待たせしました。
「むむむ〜」
まさかあんなところ伏兵が居たなんて・・・!
マンションの部屋に帰ってきた私は表情を曇らせながら今日の事を振り返り始めました。
今日は美由紀(会社の同期)と2人でロンド1に来ました。
目的は男漁り。といっても私はセンパイ一筋だから断ろうとしたのに、美由紀がどうしてもと拝み倒されて焼肉を奢ってもらう事を条件に仕方なく付き合う事にしました。
私が一緒に居ると男が寄ってきやすいからって理由でせっかくの貴重な休日を使われるのだから絶対に高い店で奢らせようと心に決めながら。
ロンド1に着くと美由紀は早速男を物色し始めました。こんな所で探すよりはマッチングアプリとかの方がよっぽど良いと思うんだけど・・・。
この年になってくるとどうしても結婚を意識するから、容姿や性格より経済力を重視する人も多く居る。
その点、私が好きなセンパイの場合は容姿も経済力もばっちりだから問題無し!
(はぁ、センパイに会いたいな〜)
と思いながらしばらく付き合っていると、大学生くらいの男二人組に声を掛けられる。
どっちも身長が高くてそれなりにイケメン。美由紀は気に入ったみたいでグイグイと話し掛けにいってる。でも2人とも視線をチラチラと私の方へ向けてくる(特に胸)。
こういう視線は何度も経験しているので慣れているといっても、気分が良いかと聞かれれば話は別。
学生時代はこれを武器に男を引っ掛けるような事をしている時期もありました。でもそういう男って結局のところ身体が目当てだから良い男を引き当てるのは難しいって事に気付いて止めたし、それ以降はむしろ厳しい目で見るようになってしまった。
そういう意味で言うとセンパイはちゃんと私の顔を見て話をしてくれるし、さりげない気遣いもしてくれるから好き!
あ、気付いたらセンパイの事を考えちゃってる。これは重症だな〜って思っていると話がついたみたい。美由紀が笑顔になっている様子からして成功なのだろう。
「ねえ、これからご飯食べに行くんだけど良い?」
美由紀が上機嫌な様子で聞いてくる。美由紀は良くても私はちっとも良くない。あんな男どもと長い時間一緒に居るのは嫌だし。
「ごめ〜ん、ちょっと急用が出来て帰らないといけなくなっちゃった〜」
悪い印象を与えないように笑顔を作りながら両手を合わせる。
「・・・それに私が居ないほうが良いでしょ?」
美由紀の耳元に近付いて私は小声で呟く。美由紀は男を独り占めできるし、私は面倒な付き合いから解放されるからウィンウィンと言える。
男どもはがっかりしそうですが、私の知った事ではありませんし。
「仕方ないか~」
美由紀は残念そうな表情を作っても嬉しさは隠しきれていません。もう少し上手く演技してほしいですねっ。
案の定、男どもは食い下がってきたので角が立たないように丁重に断りました。全く、なぜこんな事で気を遣わなければならないんだか。
最終的には男どもは諦めて美由紀と3人でロンド1を去っていきました。
「はぁ〜」
変に気疲れしちゃったな。飲み物でも買おうと自動販売機へと向かうと。
「あ、あれは・・・!」
妄想が膨らんで幻覚を見たのかと一瞬疑いましたが、そこに居るのは間違いなくセンパイでした!
なぜここにセンパイが居るのか疑問に思ったものの、休日に会えた嬉しさですぐに吹き飛びました。
「あれ〜?センパイじゃないですか〜」
嬉しさを悟られないようにいつもの口調で声を掛けると、センパイはこっちを見て気付いてくれました!
「仙堂じゃないか。こんな所で会うとは偶然だな」
「ホントですね〜。まさかセンパイが居るとは思いませんでした~」
本当に偶然!さっきまでの嫌な気分が一気になくなっていきます。何なら今日ここに連れてきた美由紀に感謝したいくらいです。
でもセンパイの方は早々に切り上げたい様子。せっかく会えたのに逃す訳にはいきません!
そう思って引き止めようとしたら、センパイを名前を呼ぶ女性の声が。
「えっ?」
視線を向けるとそこには明らかに私よりも年下の女性、というよりは女の子でした。大学生くらい?いや、それより年下に見えます!
予想もしていない展開に私の頭は一瞬真っ白になりました・・・。なぜセンパイが私より年下であろう女の子とこんなところに居るの?一体どんな関係?センパイは独身だから子供が居るはずがないし、まさか恋人って事もない、と思う。そうなると・・・
「せ、センパイ・・・ま、まさか、パパ活ですか?」
恐る恐る聞いて見ると、センパイはすぐに否定しました。う〜ん、嘘を吐いている様子はなさそう。じゃあこの子は一体誰?
さらに問い詰めようとしたら、自分でも気付かないうちに大きな声を出していたらしくセンパイに注意されちゃいました。
その後静かな場所に移動して事情を聞く事に。センパイが連れていたのは祭川莉緒という名前で親友の娘らしい。
実際に自己紹介をされた様子を見ても嘘は吐いていなさそうで、ここでようやく女の子をじっくりと見る余裕が戻ってきました。
はっきり言って可愛いの一言。しかも高校生の割には大人びた雰囲気で丁寧な口調、服の上からでも分かる抜群のスタイル。私の高校時代でもこんなレベルの高い子は周りに居なかったです!
・・・そして何よりもセンパイを見る目に明らかな好意が見て取れます。それも憧れという類ではなく私と同じ恋愛的なものを。
やばい!と私の脳内で激しく警鐘が鳴っています!私より年下にもかかわらずライバルと認めてしまうくらいには。
この子とセンパイを2人きりにさせたくないし、センパイと居たかった私は軽い調子で一緒に遊ばないかと提案します。
予想通りセンパイは断ろうとしてきましたし、この子も断ろうとする様子でした。
でも、そうはさせない!
私はわざとこの子に挑発するような態度を取りました。これなら乗ってくるのではないかと期待して。
「・・・良いでしょう。同行を許してあげます」
年上の私に対してあえて上から言ってくる辺りこの子の負けたくないという意地を強く感じました。
こうして私は一緒に遊ぶ事になり、まずは昼食を食べようと提案しました。
センパイが4人掛けのテーブル席へ戻ってきた時に迷わずあの子の隣に座ったのが地味に悔しかった!
昼食後はセンパイとイチャイチャさせないようにひたすら勝負を仕掛けたり、逆に仕掛けられたりしました。
驚いたのは運動がすごく出来た事で、学生時代に卓球部に所属していた私と互角の勝負をしてきたのです。
私がかろうじて勝ちましたが、その後のバドミントンでは負けて運動能力の高さを思い知らされる結果となっちゃいました。
色々と勝負をする中で少し会話もしていくと性格もかなり良いという事も分かり、最後のカラオケになるとお互い楽しむようになってたと思う。
しかも私は何だか妹が出来たような気がして『莉緒っち』と愛称で呼ぶようになりました。
でも、センパイとの事を譲るつもりは全くありません!
例えセンパイと間に長年の絆が見えようが、妹のように思っていようがそれとこれとは話が別です!
絶対にセンパイを振り向かせてみせるんだから!
お読みいただきありがとうございます。
今回で親友の娘VS後輩(初顔合わせ)は終わりです。
上手く描けていると良いのですが・・・
あと徐々にですがブックマークも増えてきて嬉しいです!
これからも本作品をよろしくお願いします!




