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第35話 親友の娘VS後輩1

お待たせしました。

「えっ・・・」


 あの仙堂が珍しく固まっているだけでなく、顔色もどこか真っ青に見える。う~ん、何ともタイミングが悪いとしか言いようがない。


「せ、センパイ・・・ま、まさか、パパ活ですか?」

「おい待て。何でそうなる」


 仙堂の呟きに思わず突っ込みを入れてしまった。なるほど、パパ活の現場を見たと勘違いしたから顔色が悪くなってたのか。いや、確かに見えなくはないかもしれないけど、いくら何でも飛躍しすぎだろ!


「だ、だって、センパイが私よりも若そうな女の子を連れていたらそう思うじゃないですか!?」

「ちょっ、あまり大声で叫ぶんじゃない!周りをよく見てみろ!」

「えっ、あっ!?」


 仙堂が周りを見て注目されている事にようやく気付く。いくら周りの音が大きいからと言って、あれだけ大声を出せば近くに居る人達には聞こえてしまうだろう。しかも好奇な視線を向ける人も少なくないので相当恥ずかしい。


「うう。すみません・・・」


 仙堂は頬を赤く染めながら珍しく沈み込んだ表情になる。どうやらこれはじっくりと説明する必要がありそうだ。


「事情を話すから静かな場所に移動しよう。莉緒ちゃん、悪いけど一緒に来てくれる?」

「は、はい、分かりました」


 莉緒ちゃんにも少し動揺が見られるけどしっかりと頷いてくれた。ただ、仙堂をじっくりと観察しているのは少し気になったけど。

 俺達3人は休憩スペースへと移動し、腰を落ち着けたところで俺は口を開く。


「まずは紹介が必要だな。彼女は祭川莉緒と言って俺の親友の娘なんだ」

「祭川莉緒です。今は高校1年生で先程の紹介にありました通り、私の父が弘人さんと親友になります」


 仙堂に向かって軽く会釈をする莉緒ちゃん。少し緊張しているのか声色がどこか固く感じる。


「へぇ、JKですか~。うん、嘘を言ってる感じではなさそうですね~」

「そんなバレそうな嘘を誰が吐くかっての」

「だって~、もしヤバイお付き合いをしているのなら嘘くらい言いそうじゃないですか」

「俺を何だと思っているんだ・・・。少しは先輩を信用してくれ」

「え~、私はいつもセンパイの事信用してますけど~?。まあセンパイがそこまで言うなら信じてあげましょ」


 仙堂がまだ疑いの目を向けてくるけど、とりあえずは信じてくれたようである。


「で、彼女は仙堂佐奈。俺が勤めている会社の後輩になる」

「センパイからご紹介に預かりました仙堂佐奈23歳ですっ。よろしくねっ!」


 軽く手を挙げて挨拶する仙堂。


「はい、よろしくお願いします。・・・なるほど、この人ですか」


 ん?莉緒ちゃんが何か呟いていたようだけどよく聞こえなかった。ただ、先程よりも仙堂を見る目が厳しくなったような感じがするのは気のせいだろうか。


「おい、挨拶が軽すぎないか?」

「ええ~、そうですか~?あんまり真面目に自己紹介しても警戒させるだけになりません?」

「いくら年下でも真面目に挨拶した方が良いと思うが」

「センパイはちょっと真面目過ぎると思いますけど~。ところでその親友の娘とどうしてここに居るんですか?」

「ん?それは莉緒ちゃんの中間テストが終わった息抜きってところかな」


 俺がそう答えると、仙堂が不思議そうな表情になる。


「いやいや、おかしくないですか?いくら親友の娘って言っても普通一緒に遊んだりしないと思いますけど」

「ああ、そういう意味か」


 確かに普通に考えると親友の娘と2人で遊びに来ている事自体おかしく思うのも無理はないか。


「莉緒ちゃんが小さい頃から親友の代わりに遊んだり面倒を見る事が多かったからな。だから今でもこうやって一緒に遊びに来たりするんだ」

「へぇ~、センパイにそんな一面があるなんて知りませんでした。まるで親子・・・ってあれ?」


 仙堂が莉緒ちゃんの方を見て首を傾げる。何かあったのだろうか。


「・・・ふ~ん、そういう事」


 何かを呟くと莉緒ちゃんをまじまじと見つめ、なぜか不敵な笑みを浮かべる。


「っ!」


 仙堂の笑みを見た莉緒ちゃんはますます険しい表情になっていく。おかしい、周りは賑やかで明るいのに2人の間だけ重苦しい雰囲気が漂っていてまるで別世界に感じる。

 と思ったけどすぐに霧散し、仙堂が俺に向けてニコッと笑顔を浮かべてくる。何だか嫌な予感がしてきたぞ・・・


「ねえ、センパイ!私もご一緒して良いですか~?」


 うわ、案の定というべきか面倒そうな提案をしてきたな。


「何言ってんだ。仙堂だって誰かと遊びに来たんじゃないのか?」


 対する仙堂はフフンと余裕の笑みを浮かべる。まるで俺の質問が想定内と言わんばかりである。


「勿論友達と2人で遊びに来ましたけど、急用が出来たとかで帰っちゃったんですよね~。なので帰ろうと思ってたところにセンパイを見かけたのでちょうど良かったですっ」

「いやいや、友達が居ないんなら帰ったら良かったんじゃないか?」

「ええ~、せっかく可愛い後輩が誘ってるんですから一緒に遊びましょうよ~」


 あざとく上目遣いで見つめてくる仙堂に溜め息を吐くしかない。普通の男ならコロッと行くかもしれないけど、あいにく俺は仙堂の言動に慣れているので何ら惑わされる事は無い。


「おまえなぁ・・・こっちは莉緒ちゃんが居るんだからダメだ」


 キッパリと断ってみたものの、仙堂の表情に変化はなく諦める様子は微塵も感じない。と、今度は莉緒ちゃんへと視線を向ける。


「ねえ、私と一緒に遊ぶのは嫌?」


 仙堂が笑顔で話し掛ける。どうやら今度は莉緒ちゃんをターゲットにしたようだけど、結果は変わらないと思っている。


「すみませんが、初対面の方と一緒に遊ぶのは少し・・・」


 予想通り莉緒ちゃんが断りを入れようとしたその時、仙堂が莉緒ちゃんの方へと近づく。


「~~~~~~~~~~~~~?」


 仙堂が小声で何かを言うと、莉緒ちゃんの表情が硬くなる。しかも仙堂の方はどこか挑発的な笑みを浮かべているように見える。


「~~~~~~~~?~~~~~~~~~~!」


 しかしすぐに莉緒ちゃんは何かを言い返して仙堂へ厳しい視線を向けている。一体何だろうか。

 どういう話をしているのか分からないけど、しばらくすると2人は俺の方へと戻ってきて、


「この方と一緒でも構いません」


 と莉緒ちゃんが言ったので仙堂も一緒に遊ぶ事になった。

 ただ、莉緒ちゃんの表情は未だに少し険しいのに対し、仙堂の表情が明るかった理由は結局分からずじまいであった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

そろそろ梅雨の時期が近づいてきて少し憂鬱です。

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