表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/93

第33話 中間テストとご褒美

お待たせしました。

 夕飯を食べてリビングでテレビを観ていると、隣に居た莉緒ちゃんが腰を上げる。


「弘人さん、私テスト勉強をしますので部屋に戻りますね」

「了解。そういえばもうすぐ中間テストの時期か~」


 莉緒ちゃんが肯定するように頷く。中間テストってだいたい5月下旬にあったようなイメージだし、時期的にはテスト1、2週間前ってところだろう。

 俺にしてみれば高校時代はもう15年以上前の話になるので何とも懐かしい響きである。当時は両親からよく「勉強しろ」と言われていたけど、あれって言われれば言われる程にやる気が逆に無くなっていくんだよな。

 おかげで勉強をするのが結構しんどかったけど、一応それなりの成績を取ってはいた(成績が悪いと両親に説教じみた事を言われたし)。


 では誠也の成績はというと・・・かなり壊滅的であった。部活に力を入れていたというのもあるけど、何より勉強が嫌いだったというのが大きい。まあ高校の勉強が好きな人なんてかなり少数だろうけど、特に誠也は教科書を開けて数秒見ただけでも頭痛がするとか言ってた記憶がある。

 だからテスト前になると毎回泣きついてきて、仕方なく勉強を教えていたものである。ただ、元々の基礎力がないからテスト直前になって最初から教えたところで間に合うはずもなく、大抵はヤマを張ってひたすら暗記をさせるという事をやらざるを得なかったが。

 それでも赤点をほぼ取らなかった辺り感心する部分ではある(別に褒めている訳ではない)。


「最初なので傾向がよく分からないですし、慎重に行こうかと思っています」


 莉緒ちゃんの心掛けは立派で、誠也と比べると時々どっちが親だか分からないくらいである。


「うん、良いと思う」


 高校生になって初めての大きなテストだろうけど、最初だから出題範囲はそんなに広くないはずである。しかも莉緒ちゃんは元々成績優秀だし、予習と復習をきちんとやっている事も知っているので特に心配はないだろう。

 ただ、モチベーションが有るのと無いのとでは効率に差が出てくるものである。何かしてあげられば良いんだけど・・・


「そうだ、成績が良かったら何かご褒美でもあげようか?」


 ふと思いついたアイデア、という訳ではない。たまに誠也が使っていた手である。確か莉緒ちゃんが今の高校に合格した時はタブレット端末をプレゼントしていたはずである。

 ちなみに俺は入学祝いも込めてバッグをプレゼントしたけど、かなり喜んでくれたみたいで良かったと思う。


 さて、果たしてどんな反応が返ってくるか・・・


「ご、ご褒美ですか!?」


 莉緒ちゃんが距離を詰めて過剰なまでに食い付いてくる。目がキラキラと輝いているように見えるのも気のせいではないだろう。


「う、うん、その方がやる気が出るかなと思ったから」

「ふふ、嬉しいです!それで条件とご褒美の内容はどうするのですか?」

「条件か・・・よし、全教科90点以上ってのはどう?」


 中学時代のテストはほとんどが90点以上だったと誠也から自慢された記憶があるけど、莉緒ちゃんが通う高校はこの区域で偏差値が一番高い公立高校だったはず。いくら最初のテストとはいえ、レベルがかなり高いと思うのでそう簡単に取れる点数ではないだろう。


「90点以上ですか・・・。分かりました、頑張ってみます!」


 提示した条件に了承した莉緒ちゃん。その表情からはやる気に満ちて溢れているのが分かる。どうやら予想以上の効果がありそうだった。


「ご褒美は何か決めているのですか?」

「う〜ん、内容はまだ決めてないんだ」


 俺がそう答えると、莉緒ちゃんは少し考えた後にこう切り出した。


「あの、ご褒美内容は私が決めても良いですか?」

「えっ?それでも良いけど、内容によっては出来ないかもしれないよ」

「大丈夫です、それ程無理な要求をするつもりはありませんから。ではそろそろ勉強しますね」

「うん、頑張って」

「はいっ!」


 その日から莉緒ちゃんは勉強にかなり時間を使うようになった。

 なので晩御飯の準備に時間を取られるから外食にしようかと提案したけど、「いえ、これは好きでやっていますので」と笑顔で頑なに断られてしまってはこれ以上は何も言う事が出来なかった。こういう頑固なところは誠也に似てしまったなと改めて苦笑したものである。


 テスト期間が始まるとむしろ勉強する時間を減らして体調管理に努めていた。確かに体調が悪いと本番で充分な力は発揮出来ないだろう。

 ちなみにテスト期間中は午前中までなので、送る事は出来ても下校時に迎えに行く事が出来ないため莉緒ちゃんには自転車で登下校してもらう他なかった。


 そして、テスト結果はというと・・・


「やりました!」


 満面の笑顔を浮かべながら答案用紙を俺に見せる莉緒ちゃん。そこには全科目90点以上どころかほぼ満点という驚異的な結果を目の当たりにした。

 当然ながら学生1位という事で大きく注目を浴びたようである。

 ちょっと気合いが入りすぎじゃないかと半ば苦笑になりはしたけれども、莉緒ちゃんへのご褒美が決定したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

今回は中間テストの話となりましたが、学生の皆さんはもう結果が出た頃ではないでしょうか。

ホッとしているのも束の間、あと1ヶ月先には期末テストが・・・ってあまり言わないほうが良いですね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ