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第31話 オンライン通話

お待たせしました。3章開幕です。

 GWが終わって1週間程経ち、莉緒ちゃんとの同居生活もすっかり慣れてきた。


 朝は莉緒ちゃんを送り、送った後は仕事に行き、仕事が終われば莉緒ちゃんを迎えに行く。時々その帰りに買い物へ行き、家に帰ると莉緒ちゃんが夕飯の準備をして一緒に食べ、少しゆっくりした後にそれぞれがお風呂に入り、最後には就寝する。


 当初は不安要素もあったけど、今では日常になりつつあるのだから人が環境に適応する能力というのはすごいと感じる。


 しかしその日の夜はいつもと少し状況が違っていた。


「ん?オンライン通話?」

「はい、お父さんが今から出来るか弘人さんに聞くように言われましたので」


 莉緒ちゃんが言うお父さんというのは祭川誠也といい、俺とは長い付き合いになる親友であり、莉緒ちゃんと同居するきっかけとなった張本人でもある。

 そういえば莉緒ちゃんを預かって欲しいという電話以降で誠也が連絡してくるのは初めてである。仕事が忙しかったというのもあるだろうけど、少し後ろめたさもあったのではないだろうか。

 ちなみに莉緒ちゃんにはたまに電話が掛かってくるらしい。まああれだけ溺愛しているのだから当然か。


「ん、良いよ」

「ではお父さんに連絡しますね」


 莉緒ちゃんが連絡して10分後、パソコンでオンライン通話アプリを立ち上げて2人で待っていると誠也から着信が来る。

 通話ボタンをクリックすると、画面には誠也の顔と今住んでいるであろう部屋が映し出された。


『よう、久しぶりだな弘人!』


 軽く手を上げて笑みを浮かべる誠也。これは勢いで誤魔化すつもりだな。


「久しぶり、一方的な連絡を入れて今まで連絡をよこさなかった誰かさん」


 せめて嫌味の1つでも言っておかないと気が済まない。


『うっ、わ、悪かったって・・・』


 さすがに申し訳無さそうな表情をする誠也。


「いつも言ってるけど、重要な相談事は事前にしてくれないと困るぞ」


 誠也って重要な相談事がある時はだいたい突然来ると今までの経験で分かっているけど、そろそろ直してほしいものである。


 ・・・というか今まで俺が誠也に相談した記憶はないのだが。


『わりぃわりぃ、今度からは気をつけるぜ!』


 誠也の様子を見ていると今後も同じ事になりそうだとつくづく思った。


「で、どうしたんだ?オンライン通話を使うなんて珍しいじゃないか」

『まあ用は別に無いんだけどよ、今日は少し時間があったから久しぶりに莉緒と弘人の顔が見たくなってな』

「はっ、どうせ莉緒ちゃんの顔が見たかっただけだろ?別に取って付けなくても分かってるぞ」

『おいおい、水臭いやつだなぁ。弘人の顔が見たかったってのも本当だぜ?』


 とか言ってるけど、絶対に9割以上は莉緒ちゃんの顔が見たかったに決まっている。


「男に言われても嬉しくないけどな」

『けっ、素直じゃねえんだから。莉緒は迷惑掛けてねえよな?』

「迷惑どころかだいぶ世話になってて助かってる。誠也と違ってな」

『ちっ、いちいち余計な一言を言うんじゃねえ。まあそれなら良かったぜ。莉緒は元気にしてるか?』


 誠也は次に莉緒ちゃんに向けて声を掛ける。


「お父さん、それ一昨日の電話でも聞かれたから答えたと思うけど」

『何言ってんだ。我が愛する娘の状態は毎日気になるもんだぜ?』

「お父さんの場合はやりすぎなの!中学の時だって色々恥ずかしかったんだから!」


 莉緒ちゃんが少し怒った表情になるのも無理はない。登下校時の送迎だけならまだ良かったのだけど、莉緒ちゃんに声を掛けている男子生徒には必ず「莉緒とはどんな関係なんだ?」とか言って脅しにも近い圧を出したり、文化祭といったイベントには必ず参加してその溺愛ぶりを発揮したりとある意味で有名になっていたし。もし俺が誠也の子供だったとしても相当恥ずかしいと思う。


『弘人ぉ〜、莉緒が反抗期になっちまった・・・』

「いや、自業自得だろ」


 自分の行動を棚に上げているので思わず突っ込みたくもなる。


『弘人は莉緒の味方かよ!ま、まあ莉緒が可愛いから仕方ないか!』


 久しぶりに見る親バカぶりに俺も苦笑するしかない。


「何だそりゃ。で、仕事の方はどうなんだ?」


 俺の問い掛けに誠也はげんなりした表情になる。


『・・・まだ全然片付きそうにねえ。GWも返上で出勤する羽目になるしよ』


 確かにいつもの誠也だったら莉緒ちゃん会うためにどんな手を使っても戻ってきそうだし、その点は同情を禁じ得ない。


『すまねえがもうしばらく莉緒を頼むぜ』

「ああ、任せておけ」


 ここまでなら上手く話が収まったと言えるのだけど・・・


「時間が掛かっても私は大丈夫だからね」


 莉緒ちゃんの一言を曲解(?)したのか、誠也の表情に悲壮感が漂う。


『そ、そんな・・・、莉緒は俺が帰ってこない方が良いっていうのか〜!や、やっぱり反抗期なんだ!』

「えっ、ち、ちょっとお父さん!?」


 この後誠也を宥めるのに俺と莉緒ちゃんが多大な労力を使う羽目になったのはまた別の話である。

お読みいただきありがとうございます。

GWは仕事もありましたが比較的休めました。

ただ、休み明けの出勤は憂鬱でしたね・・・。

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